共闘
リスカがリプリスに攻撃をしかけるが、
リプリスがそれをうまく無力化する……
「全く、リスカ君?いったいどこの敵地に攻めてきたんだ……相手を間違わないでほしいけど」
そうリプリスがリスカの敵意を反らそうとする。
「壊せれば……誰からでもいいけどさ……」
リスカの目線がリプリスに誘導されるようにこちらを向く。
「いいや、あんたたちから壊すっ」
そう標的が移る。
「……猛特訓の成果を見せる時だ、しょーねん」
そう他人任せのようにセティが俺に言う。
「こんな短時間で、こんな化け物に対処できるだけの力が簡単につくかよ……」
そんなセティに返すが……
「さぁて、私はどうしようっかなぁ」
そうリスカの相手をこちらに押し付け、自分は別の目的を果たそうとリプリスがきょろきょろとしていたが……
「オーダースキルッ」
その一撃を防ぐために再びレスの能力《結界》を発動する。
「なんのつもりっすか~、イロハさんは大事なお得意様なんで敵対したくないんだけどなぁ」
そう言いながらも、手にした獅子王を握りなおす。
「……レス、こっちの相手は任せろ、あんたはそっちのやべぇのを相手しろ」
そうイロハがだらりと隙だらけに構える。
「……人の庭に攻め込んで……随分と無自覚なもの言いだな、リプリス」
そうイロハが冷たくリプリスを睨みつける。
「……なるほどね、あんたが言葉巧みに商売が目的かと思っていたが、そうやって他人の商品をかき集めていたってことか……」
「人聞きが悪いなぁ……」
そう……ため息混じりにリプリスが言い、同じく冷めた目をイロハに返す。
「……手を抜くなよ、一瞬で終わらせる」
そうイロハが、目線を右下に落とす。
リプリスがイロハの持つ小鳥丸に目を向ける。
イロハが一瞬で手にした小鳥丸を逆手に持ち直すと、リプリスの頭上目掛け刀を振るう。
が、即座に動きを読み……
「オーダーウェポン……モード鉄」
そう呟くと、左手だけ、ナイツの鉄の鎧をまとい、シールドを発動する。
だが、イロハの小鳥丸は寸止めするようにリプリスの発動したシールドの手前でピタリと止まり……
左手に掴んでいた鞘でリプリスの頭を激しく叩く。
「くっ……」
まともに受け、さらにその場にバランスを崩すように後退する。
「刀技……牙閃」
容赦なく更なる追撃がリプリスを貫く。
さすがにその場にリプリスが崩れるように後ろに倒れる。
「相変わらず……規格外だろ……」
そう……イロハの勝利を確信するように俺は呟くが……
「オーダースキル……」
リプリスの身体が歪む……
「……戻れ」
リプリスがそう呟く様に言う。
後ろに倒れ地面につきそうな身体が一瞬でその場から消えると……
数秒前に立っていた場所に身体が戻る。
「……時戻し?……いったいどれだけの能力を把握しているんだ?」
レイフィスとも面識があってもおかしくはないが……
「しょーねん……学園に奇妙な監視カメラのような存在があったのは覚えているか?」
決闘を受理していた、なぞの球体システムを思い返す。
「あんなものを準備する奴が居たとして、その監視した情報すら自分の糧にしていたら……?」
そう、セティが苦笑交じりに言う。
……俺が見てきた、ほとんどの能力を下手をすれば使えるってことか?
「しょーねん、二人の決着をこちらさんも待ってはくれないようだぜ?」
そのセティの言葉と同時にリスカが地面から石を拾う。
「分析……」
そう呟くと石が手のひらで砕け散る。
「コメット……」
大岩が空から雨の様に降り注ぐ。
結界でそれを防ぐ。
「ロックシュート」
いくつか隠し持っていた石を今度はストレートにこちらに目掛け放つ。
セティが黙ってリスカを睨みつけながら……
俺とセティの目の前に歪みができると……
大岩は空間に吸い込まれるように消えていく。
「なるほど……壊すっ壊せっ壊れろぉ」
リスカは狂ったようにそう叫び、右手を地面に置く。
「分析……アースウェーブ」
「ちっ」
瞬間、俺とセティの周囲の地面が天に向かい突きあがるように地盤が変化する。
「……まったく、私はあんな神代理に乗せられたみたいに争いに参加したくないんだけどさぁ」
そう地面から起き上がり、セティがリスカを見る。
「……起きろよ、しょーねん、一緒にあの神もどきを黙らせるためにさ、まずはこいつを壊すとしようぜ」
そう、リスカを睨み目を離さず俺に言う。
「やってみろ……僕が先に壊すけどね」
そうリスカが不気味に楽しそうに笑う。
「フィル……いくぞ」
俺はそう自分の身体の中に呼びかける様に言う。
青白い光が飛び出すと紫色の炎を宿す。
俺はその場から走り出すと、紫色の炎が俺の周囲に付きまとうように飛び交う。
そのまま、リスカ目掛け飛び蹴りをかます。
それなりに様に動けるようになったとは言え、自分の能力で自分の身体を強化したリスカに俺の攻撃は簡単に回避される。
「……!?」
だが、反らしたリスカの表情が変わる。
飛び蹴りで空振りした俺の右足はリスカの後方にいつの間にかはった結界を蹴り上げ、そのまま三角飛びするように、飛び交う紫の炎は俺の右足に宿ると、そのままリスカの側頭部を捕らえる。
「ぶんせき……」
付け焼き刃程度に身に着けた技だが……多少効果はあったか?
多少、ふらついたものの、すぐに自分の破損個所を補うように魔力で身体を補強に保つ。
「……てめぇ、壊す」
静かに……そう激怒したようにリスカが俺に言う。
不意に視界からリスカが消えると……
「後ろだ、少年」
「ちぃ……」
俺は振り返り結界を目の前に貼る。
「壊すっ」
そう取り出した折り畳み式のバタフライナイフの刃を起こし、俺の結界に突き立てる。
「何かを壊すのに……これ以上のものは使ったことがない」
リスカはそう少しだけ腕に力を込めると……
俺の結界が脆く簡単に音を立てて砕け散る。
「くっ……鋭くも脆くもなる……ってわけか」
そう……リスカの能力を改めて認識する。
「後ろに飛べ、しょーねん」
セティの声で、迫るナイフを避けるように後ろに飛ぶと空間に吸い込まれるように、セティの近くにワープするように姿が現れる。
「コメットっ」
いつの間にか手にした石で再度、大岩の雨を降らせる。
それも、俺の結界で防ぐが……
威力が高い分、魔力の消費も激しい。
「全く、こうも早く新しい手の内を出す羽目になるとはねぇ」
そう言ったセティの両手の指の間に数本の小さな魔力で創り出された光のナイフが挟まれている。
両手を逆手でバンザイするように振り上げ手のひらを広げ、上空にナイフを放り投げると、すべてのナイフがそれぞれ上空でパッと姿を消す。
ジジジッと空間にノイズが入るように……
「……なんだ?」
リスカが周囲に目を泳がせる。
先ほどのナイフが何倍にも分離するようにリスカの周囲の空間から現れ……
数十本のナイフがリスカ目掛け飛んでくる。
飛び交うナイフの斬撃が衝撃に変換されリスカを襲う。
パチンっと乾いた音が響く。
セティが親指と中指をこすり合わせ音を鳴らすと……
周囲のナイフがリスカの近くで次々と爆破していく。
「……ぶんせき……」
壊れた場所を補強する……
「……反撃の隙はあたえるな、いっきに畳みかけようぜ、しょーねん」
「私たちの初の共闘戦だっ!」
そう、セティが悪役じみた笑みでリスカに圧をかけるように見る。
「よくわからないけど……宜しく頼むぜ」
打ち合わせなどしていない……
でも、この天才の女なら……
全てうまいことやってくれるような気さえしてしまう。
「いくぜっ……セティ」
俺とリスカが同時に地面を蹴り上げる。
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