あさ
三題噺もどき―ろくじゅうご。
※事後の朝のお話です。Rー15※
お題:暗闇・朝・ベット
ぼんやりとした暗闇の中に、小さな光が灯る。
うっすらと目を開けると、カーテンの隙間から朝日が差し込んでいた。
(…朝……)
ほどよい倦怠感と、幸福に包まれて、ゆっくりと意識を覚醒させていく。
体を起こし、目をこする。
その拍子に、ぱさ―と掛け布団が滑り落ちる。
朝だからか、ふるりと、寒さに体が震えた。
「ん、おはよ」
そこへ、ショートパンツにシャツといったラフな格好で、二人分のマグカップを持った彼がやって来た。
「おはよぅ。」
未だ覚醒しきらぬ頭を彼の方に動かしながら、返事をかえす。
「まだ、寝惚けてる?…てか、体、痛いところとか無い?」
「んぇ?」
そう言われて、昨夜のことを思い出す。
ぼう―と靄がかかっていたような、頭が、瞬間的に記憶を掘り起こしてきた。
―その瞬間、顔が真っ赤になった。
「っ――//」
そうだ。そうだった。
昨夜、初めて彼と、体を、重ねたのだ。
―軋むベットの音が、少し掠れた彼の声が、囁く愛しい言葉が。
次々と蘇って、恥ずかしくなって、声が出なくなって、つい、毛布に隠れてしまった。
「それだけ、動ければ、大丈夫っぽい?」
クスクスと笑いながら、こちらへ向かってくる。
ことり―とサイドテーブルにマグカップを置く彼。
それから、優しく、毛布の上から覆いかぶさってきて。
「起きて。ご飯出来てるから。一緒に食べよ。」
「ん……」
―ありがとう。
その言葉は、彼に届いたか分からないけど、彼は、振り返って、微笑むのだった。