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召喚者は一家を支える。  作者: RayRim
第1.5部
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番外編 〈魔国英雄〉は実家に帰る

〈魔国英雄ヒガン〉


「思った以上に大変なことになった…」


転生ラッシュでオーディンと会った際、各人が自由に質問した内容を纏めたものを、自室で読んでいた。

今は娘たちだけだが、世界の根幹に触れてしまった気がしている。

ここにココアが加わるとどうなってしまうのか…



バニラはマナとは、魔力とは何かという事を質問した。ココアに関したもっと直接的な質問をすると思っていただけに、少し意外である。何か、助力の取っ掛かりを探るつもりかもしれないが。

答えは、マナは世界を構成する要素の一つというもの。魔力はそれを利用しやすくする為に、解りやすく変換したものに過ぎず、オレたちがやっている魔力の錬成は無駄が多いと笑っていたらしい。

認識、理解できる部分だけを形にしているに過ぎないから、そう言われるのも当然だろう。より高みを目指すなら、更なる感知能力を身に付けるべきだ、と助言をもらって時間切れとなったそうだ。


非常に有意義な解答だったというのは、オレとバニラの共通意見である。

制御だけでなく、感知もというのは盲点だったからな。疎かにしていなかったつもりではあるが。

進むべき道が示されたのは、更に修練を励む理由になる。



柊は試験からとんでもない事態となった。

予想通り、オーディンのエインヘリャルとの戦いになったが、なんと柊が瞬殺してしまったのだ。正確には、カウンターの投げからの絞め殺しという完全な初見殺しである。

流石のオーディンも、この状況にビビってたし、同行してた連中も困ってたよ…

エインヘリャルのスペックを、柊に合わせて落としていたのが完全に裏目に出たのだろう。技術の差で圧倒されてしまったようだ。


気まずい状況ながら、試験は合格という事で、柊はオーディンに世界の事を尋ねた。柊には『全く無関係だが良いのか?』とオーディンに気を使われた辺り、本当に相性が悪い相手なのだと思われる。

具体的には他の可能性、異なる世界線について尋ねたそうだ。これは一家の皆が気にしていることだろう。ひょっとしたら、ココアの死が世界の終了なのではないか、という疑問もあったからな。


結論としては、ココアたちがやり直す度に世界が増えてしまっているそうだ。同時に、管理する神と呼ぶべき存在も増えており、更に100、200と繰り返すと、何かしら措置が発動する可能性があるらしい。


神の物差しにおいて、この世界は極めて短命らしく、数千万年の内に滅ぶ世界が100増えた所で、誤差みたいなものだそうだ。神の物差しすごい。

どうやら魔法の存在がエネルギーを喰っているようで、寿命を削っているそうなのだが、星一つが省エネしても、何の影響もないとも言われる。

世界が増える事で、外の世界のリソースを消費しているようだが、崩壊時に発生するエネルギーを回収する方法があると教えてもらえた。増えすぎの特殊な措置は、同時に崩壊し過ぎた時のトラブルを回避する為らしい。


気になるのはオーディンの立場だが、残念ながら柊にはこの壮大過ぎる答えを聞いた上で、そこまで尋ねる余裕はなかったようだ。



先走った梓は物質について尋ねた。実に梓らしい質問である。

この星で最高の素材はこの大陸では産出されず、世界最高の素材もこの星では産出されないそうだ。

近付ける方法も聞いており、どうやら魔力との化学変化のような現象で強力な素材を作れるだけでなく、自分の魔力に頼らずとも刻印だけで素材に変化を起こせるという事まで教わったのは、ココアにとって非常に有益な情報だったのではないだろうか。

具体的な方法までは教えてもらえなかったようだが、出来るという保証だけで十分に違いない。



遥香はオーディン本体と死闘の末、他の世界との行き来について尋ねた。

答えはシンプルで、世界にその機能がなく、神ならざる者には叶わぬという事だった。

オレたちの召喚も多大な代償を払っての行為だった様で、特にオレに関しては記憶の調整で更にコストが掛かっているようだ。

ただ、便宜上召喚と呼称するが、と言った事を指摘したら笑顔で時間切れだと打ち切られたらしい。

遥香としては、収穫も与えられた時間も少なく非常に不満なようだが、オーディンに終始圧倒されていたので仕方がない、と納得したようだ。

オレだったら秒でやられている気がする…



紙を置き、額に納めてある色褪せたいつか撮った写真を眺める。

まだ遥香は小さく、オレとカトリーナに距離感がある写真。

3年という時間は短かったが、非常に濃い時間でもあった。顔付きが変わったのは遥香だけではない。バニラも、柊も、梓もだ。

それに、今はもっとたくさん一緒に写るべき家族が居る。


「また、新しいのを撮らないとな。」


アクアの絵も良いが、やはり集合写真は残しておきたいものだ。




姉妹の絵を描く都合もあり、アクアの修練完了には3週間掛かる。

梓にとってはゆったりとした準備期間となり、小さくなったバニラも魔法の研究に時間が使えたと気にした様子は無い。

この脱法ロリ、成長期に成長できなかったのが悔しかった様で、ソニアと同じ年齢で成長期からやり直すようだ。清く正しい転生生活を是非とも謳歌していただきたい。

服の再調整で、アリスが忙しくなりそうに思えたが、あっという間に終わってそんな事もなかったようだ。

メイプルとアクアの発想を借り、ロリ?トリオの服を作るのは特に楽しいらしい。ジゼルを着せ替えたいとよく言っているので、そろそろ餌食になりそうである。



研究は他にも行っている者がいた。メイプルである。

歌の可能性の追究をしたいと言われ、ずっとそれに付き合っていた。内容はラグナロクの限界というものだ。

好きな歌だが、効果があまりにも強烈なので、奥の手指定のまま放置していたからな。

そのままも気の毒なので、研究に付き合う事にした。

具体的に何が伸びるのか、という事だ。

物理攻撃は精密にコントロールできるフィオナが担当し、オレは魔法を担当することになった。


初回の結果は大惨事を引き起こしてしまう。


聞きたいからという理由で、いきなりメイプルの全力演奏を許可したのが良くなかった。

手加減したはずのフィオナの振った木剣は、地を割り木っ端微塵に。オレの火球は制御を失い、目の前で打ち上げ花火を暴発させたようになった。

家の内外に損害をもたらし、爆発でメイプルの魔導楽器はほぼ大破、オレも普段着だったために大火傷を負ってしまっている。

二人がオレの影になって本当に良かったよ…

当然ながら、カトリーナとアリスだけでなく、フェルナンドさんと、楽器を作ったバニラにもめちゃくちゃ怒られた…


「メイプル、次は楽器一つでやろう…」

「旦那様もめげないですね…」


罰として、ミイラ男状態で謹慎を喰らったオレの提案に乗ってくれないメイプル。


「歌が好きなだけに残念だよ…」

「大変光栄ですが、奥の手のままにしておきますね…

歌うだけならいつでもリクエストに応えますので。」


こうして、悪巧みは秒で潰えるのであった。




謹慎の三週間、フェルナンドさんの元で何もしていないという訳にはいかない。


オレたちはエルフ領を離れ、ルエーリヴへと戻ることにした。いよいよ決心の時である。

ミイラ男状態で事情を話すと、フェルナンドさんは我が事の様に喜んでくれ、夫婦揃って同行してくれる事になった。

奥方との面会は初めてだったが、線が細いが部分的に大きくなったフィオナという印象だ。ただし、カトリーナの比ではないくらい気に入った娘を甘やかす欠点がある。

その結果がジュリアとちょっと前のバニラなので、少し自重していただきたい。移動の間はソニアもターゲットにされていた。


「危なかったですわ…気が付くと大量のお菓子が用意されていて、手が止まらなくなっておりましたので…」


なにやら厄介な技術を持っているようであり、バニラに止められなかったら用意したドレスが着れないと泣いていた可能性もあった…


そんなトラブルも起きていたが、無事に5日の旅程を終え、ルエーリヴへと帰還を果たした。

その間も、アクアの修練は行われており、移動以外の全ての時間で誰かが相手をしていた。

わりと贅沢な特訓期間だった気がする。


フェルナンドさんたちと別れ、フィオナ以外の一家メンバーは実家でしばらく過ごすこととなった。


「お帰りなさいませ。旦那様。お嬢様。」


セバスが綺麗な礼をして迎えてくれた。


『皆様、お帰りなさい。』


練習をしていたのか、メラニーとミレアも緊張した様子でオレたちを迎えてくれた。


「セバス、メラニー、ミレア、留守の間ご苦労様でした。何か、問題はありましたか?」


中心に居たソニアが、代表して三人に声を掛けた。

もう、この家の主はソニアで良いだろう。少し寂しい気はするが。


「問題はございませんでした。

最近は代表の選抜戦が近いからと、皆励んでおります。」


「そうですか。労ってあげないといけませんわね…」

「そういう事でしたら、英雄様の指導が一番かと。皆様、なかなか課題が克服出来ずに困っておりましたので…」

「魔法なら構わないが、アクア、メイプルも一緒が良いだろう。」

「そうですわね。お二人とも、高等部の子達に匹敵するほどですから大丈夫でしょう。」


ビックリする二人。

外と比べる機会が無かったので、自分達がどの程度なのか把握できていないのだろう。


「アクアさんの腕前は、代表に選ばれた頃のフィオナ様と遜色ございませんわ。

当時、戦っていたらどんなだったのだろうと、時々思いますもの。」

「きょ、恐縮です…」


短期間で磨き上げられたものだ。ただ、そういう技術は油断するとすぐ使い物にならなくなるので、よく見ておいてやらないとな。


「つまり、アクアで当時との比較が出来ると…」


オレの呟きに反応する餓えた気配が二つ。怯える気配が一つ。


「柊、遥香。比べるまでもないから止めておけ。」

『はい…』


気配が一気にしぼみ、アクアの安堵のタメ息が聞こえてきた。


「立ち話もここまでにしましょう。皆様、お風呂の支度は整っておりますので。」


セバスが良いタイミングで介入してくれる。

それぞれがそれぞれの部屋で荷物を置き、風呂を済ませて居間でゆっくりしていると、見慣れないドワーフと西方エルフがジゼルとも違うメイド服を着て、グラスを運んできた。


「見たことの無い顔ね。」


横にいたアリスが興味深そうに二人を見る。

驚いた様子でバランスを崩し、グラスを落としそうになるが、カトリーナとユキが支えて事なきを得た。


「ああ、ごめんなさい。脅かすつもりはなかったのよ。」


取り繕うように、手を振って謝るアリス。

二人はグラスを並べ終えると、深々と礼をして自己紹介を始める。


「私はサンドラ、ドワーフの娘はアンナと申します。」


特徴的なのはメイド服だけではない。それぞれが身に付けている物だ。サンドラはいつかアリスが用意した布で目を覆い、アンナは首に刻印が施されていた。

アリスからソニアへ、そして、セバスへ渡っていた様だ。


「ご覧の通り、私は魅了の魔眼を、アンナは衝動の魔声を持っており、エディアーナ様に拾われ、ここでメイドをやらせていただいております。」

「魔声…魔声か…」


バニラと梓を見るが、流石に二人も心当たりは無いようで首を横に振る。


「沈黙の刻印か…なるほどな。」


刻印を読み取り、納得するバニラ。ココアも興味深そうに眺めていた。


「あなたに封印は施されていないんだね。」


看破が通ったのか、遥香がサンドラに問う。


「不便でしたが、目を閉じていれば良いですからね。…成人して、里から出されるまで目が悪いで通していましたから。」

「大事な事だから聞くけど、魅了の魔眼で悪さはしていない?」


遥香が尋問に似た雰囲気で問う。

震え上がっているのがよく分かるが、大事なことなので皆が注目する。


「…子供の頃にやりました。大事になって、私の身も危うくなって…それからはずっと目を閉じたままです。」


魅了の魔眼のレベルは一桁。言っていることに間違いはないのだろう。

やはり、感知系のスキルが高い。生命、魔力ともに感知が80を越えている。更に見慣れないスキル、多次元感知という物が生えていた。

他は弓と錬金術のスキルが高い。魔眼持ち特有か、魔力制御のレベルも高いが、MP自体は然程ではないな。


「面白いスキルがあるようだな。多次元感知か…」

「…話には聞いていましたが、本当に見破られてしまうのですね。」

「看破持ちが誤魔化すな。バレるんだから。」


訳ありが多いからか、最初はこのやり取りを繰り返している気がする。


「はい。申し訳ございません。」

「嘘、大きな隠し事、他所に迷惑を掛けるのだけ止めろ。その時は、」

「…こ、心得ました。」


剣の柄を撫でただけだが、震え声で納得してくれたようだ。


「問題はアンナか…いや、サンドラの問題も厄介だが。」


魅了は悪用の想像が容易すぎる。そして、衝動なんていう危ういものとセットになったら恐ろしいにも程がある。


「魔声もレアですからね。あたしも伝聞でしか聞いたことありやせんぜ。」

「そうね。魔眼とは違って、隠しやすい特別だもの。表にほとんど出てこないと思うわ。」


ユキとアリスが話すと、バニラが得意気に現れ、通話器を掲げて声を上げる。


「通話器バージョン2ー!」


どこから声を出してるのか分からん変な声でその名称を教えてくれた。


「この魔導具さえあれば、登録した通話器同士で誰でも念話が使えるんだー。」

「すごいやバニえもんそれさえあればもんだいかいけつだねー」


変な声のバニラと乗っかるメイプルのやり取り。妙なコンビが出来上がってしまった。


「おお…即席とは思えぬ親和性…」


感嘆するべきところはそこじゃないと思うぞ梓。


「という事で、早速使ってみよー」


流石に無茶していたのか、そこで何度か咳き込んだ。コンビは解散である。


『何言ってんだこのふざけた小娘は。』

「おう、良い度胸だな。」

『思ったことが!?』


メイプルを低くしたような声が、全員の通話器から聞こえてくる。


「メイプル、お前も一枚噛んでたのか。」

「バレちゃいましたか。」


恐らく、いつも歌っているから参考にしやすかったのだろう。同じだと分からなくなるので、低くしてあるようだ。


「一応、切り替えるスイッチはある。ここだな。

触れている時だけ、触れなくとも、聴くだけ、無効化の四種に切り替えられる。基本、聴くだけにしておけ。

まあ、念話専用だから2というより1.5だな。」


有効化した全員に送られるのは一緒らしい。

刻印による制御と、魔石や金属へのインストールで成り立つ魔導具。それがバニラの魔導具の特色だった。

恐らく、魔法に精通しており、オレたちの世界の道具の知識があるからこその組み方だろう。一般的にはごちゃごちゃな物が多いらしい。


『わかりました…』

「番号式はVer2からだ。改造よりも新しく作った方が良いからな。」


算段がついたのか、自信たっぷりに話す。


「エディさんから事前に手紙をもらっていたんだ。準備、調整は移動中に済ませたよ。」

「流石だよバニラ。」


長女を褒めると嬉しそうにニカッと笑う。なんだか体に精神が引っ張られていませんかね。


「アンナ、魔声について教えてくれ。魔眼のように、何か出来ることがあるかもしれない。」

『それは…』


通話器を切り、考え込む。


「ちょっと待ってください、魔眼がどうにかなるというのはいったい…

この様に誤魔化すだけでは…?」


そう言われ、ジゼルを見る。

腕をまくり掌を見せると、察したカトリーナと遥香が立ち上がるが、逆の手で制した。見てもらう方が良いからな。


「やってくれ。」


長い時間躊躇った後、眼鏡を外し、カースフレイムを自分の意思で発動した。

黒い炎がオレの手を燃え上がらせる。たしかに熱いが…まあ、この前の自爆に比べたら気にするほどではない。


【アンティマジック】


黒い炎は消え、オレの手は赤くなる程度だった。

手を握って開いてをヒラヒラさせると、ホッとした様子でカトリーナと遥香が座ってくれる。レベルが低いのだから心配しすぎだ。


「く、黒い炎…!?

それに、魔法の発動すらせずに燃えた…?」

「私も魔眼持ちですから。」


眼鏡をかけ直すジゼル。

カトリーナと遥香の視線が気になるようで、少し居心地が悪そうだ。すまんな。


「まだ完璧ではありませんが、ある程度のコントロールはできます。英雄様の言うことに間違いはありませんよ。」

「…そうですよね。」


完全ではないようだが、納得してくれたようだ。


「まだ対策の最中で、参考に出来る人間は多い方が良いからな。」


バニラと梓が頷く。

カースフレイムと魅了。全く方向性の違う効果だ。言葉は悪いが、良いサンプルになるだろう。


「サンドラには、しばらく父さんの近くに居て貰うぞ。何かあっても対処できるだろうし、魅了はまず通らない。」

「通らない?」

「極まった耐性スキルとレベル130オーバーを破れるなら破ってみせろ。」


おもむろに布を外し、深い緑色の眼でオレを見る。むず痒い。


「…なんともない?」

「なんともないな?」


精神の貞操は無事に守り切れたようだ。


「本当にそんな嘘みたいなステータスなのですね…」


言われ慣れたよ。その言葉。


「サンドラの魔眼は判った。アンナ、決心はついたか?」


やり取りを見て、頷く。


『全ての感情を極端に揺り動かしてしまうものです。』


それで衝動か。

しかし、魅了と衝動…凄い組み合わせを送ってきたな。いや、コントロール出来るところに置きたかったのか?


『破壊、悲しみ、あらゆる欲求を極端に増幅させてしまう呪いです。』

「悲しみ、と言ったな。喜びもか?」

『…試したことはありませんが恐らく。』


メイプルの方を見ると、意図を理解した様で俯く。

きっと、その後に感じるのは虚無感だろう。偽られた喜びは、後で悲劇を生む可能性がある。


「厄介だな。少し、平和的な用途が思い浮かばない…」


過剰な衝動は、どう足掻いても混乱しか生まないだろう。難しい課題だ。


「おい、カースフレイムを何に使おうと思っている?」

「冬の暖房。」

「止めろ。火事と雪崩しか引き起こさないから。」


バニラに全力で却下されてしまう。

流石に消えないのは厄介か。


「炭作りには良さそうだけどねー」

「竈門が燃える!」

「むう…」


攻撃的すぎるぞ魔のつく部位。


「だが、撹乱には使える。魔物狩りの役に立ちそうだな。二人とも、対策が準備できたらソニアを頼むぞ。」

「私の元ですか?」


意外そうな顔でオレを見る。


「こっちは十分な人数だからな。

それに、こういうタイプはソニアの方が上手く扱えると思うよ。」

「お兄様がそう仰るのなら…」


帰宅早々の問題は一先ず片付く。

さて、これから忙しくなる。オレも気合いを入れて挑まなくてはならないな。

身内だけのささやかな結婚式に向け、それぞれが行動を始めるのだった。

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