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90話

レイドラッシュの準備に更に3週間要した。

エディさんからいよいよ催促が来たので、梓には少し無理をしてもらっている。

行くのはオレ、アリス、ユキ、ジュリアの正式パーティーメンバーに遥香とアクア、メイプルを加えた。

戦闘はオレ、遥香、ユキ、ジュリアで行うが、アリス、アクアは他との調整に回ってもらう事にした。メイプルはバトルソング要員である。

わざわざ出てこなくても良かったのだが、実際にパフォーマンスしているところを売り込みたかったらしい。アリス、アクアはその際の護衛も兼ねる。

フィオナも連れてきたかったが、母親の説得が難航しており、バニラ、梓も協力していた。やたらバニラが気に入られたらしいとは聞いている。

家にはカトリーナ、柊、ノラが常に居る形だ。

カトリーナと柊は、なかなか親子らしい事をしてこなかったので、良い機会だろう。


「失礼します。」

「おお…おおお!やっと来てくれたか!!」


泣き出しそうな顔でエディさんが飛んでくる。

会議中だったようで、他の偉い人たちがとても驚いた顔をしていた。

商会の潤沢な資金を使い、私兵騎士団を擁するエディさん。前魔王陛下は退位しても祖国のために働く事を選んだようだ。

うちで育った獣人が多く、装備も充実しているせいかちゃんとした騎士団より戦えているらしい。


「リンゴ、また大きくなったな!もう私よりずっと大きいじゃないか!」

「エディさん、今は遥香って本名の方が有名かも。」

「そうだったな!ちゃんとこっちまで活躍は届いている。

ヒガン、同族であることを選んでもらってとても誇らしいぞ。」

「恐縮です。待たせた分、しっかり働かせてもらいます。」


エディさんに手を引かれ、円卓に連れてこられる。

広げられている地図を見ると、当初より奪還はできているが、それでも芳しくはない。


「英雄殿、お噂はかねがね…ヒュマスだったと聞いたが…」


商会の私設騎士団の団長が驚いた様子でオレを見る。エディさんから事情は聞いているだろうし、驚かれてしまうのも仕方ない。


「正確にはヒュマスではない亜人だったのですが…イグドラシルを登りきった結果ですよ。」

「噂は本当でしたか…」


オレの角に視線が向いているのが分かる。

分かってしまうと、アリスの角ばかり見ていたのが申し訳なくなってしまう。


「まあ、その話は置いておきましょう。現状はどうなっていますか?」


以前、遥香たちが撃破したボス地点を拠点化し、そこから何体か倒したようだがそこまで。現状では戦力が足りず、防戦一方のようだ。

世界の技術や戦力がスタンピードに対抗しきれていないのだろう。いくつか策は用意してきた。

一つ目は、とにかく回復力を上げ、損耗を減らすこと。3週間の間にオレも手伝って色々と大量に用意してきた。

二つ目は、とにかく深刻な汚染地域をオレたちが制圧すること。これがオレたちの目的だ。

三つ目は、メイプルのバトルソングで全ての味方を強化するということ。とりあえず、歌っていれば効果が出るので宣伝と一石二鳥である。


「こちらもリソースが有限なので全てをとはいきません。それに、戦果の独り占めは皆様にとっても楽しくないでしょう?

特に大きくなっている発生源を五つ、我々で潰させてもらいます。」


どよめきが起こる。

実力は認めてくれているが、流石にビッグマウスだと受け取られるか?


「なぁ、ヒガン。特に大きな五つは魔物の海の向こうだ。どうやって行くつもりだ?」

「歩いていきます。」

「ハ?」

「? 歩いていきます。」


聞こえなかったのかと思い、言い直す。


「いやいや、聞こえている。聞こえているから意味が…」

「道中に獲物がひしめいているのですから、倒さないともったいないではないですか。」

「あっ、そう…」


何言ってんだこいつという顔を一斉にされる。

まあ、散々攻撃を仕掛けて削りきれない相手なのだ。そういう顔をするのも分かる。


「神に比べれば、万単位のレッドキャップなんて一匹の蟻同然ですよ。」

「お、おう…そうか…」


ドン引きするエディさん。流石に聞き捨てならなかったのか、偉い人が顔を真っ赤にして怒る。


「英雄だか知らんが調子に乗るなよ。第一、貴様の武勇の話など聞いたことがない。そんなヤツの言うことなど」

「そう言われるかと思いまして、準備をしておきました。取り出したるはこの一枚の薄いオリハルコンとミスリルの合金。

増幅3、拡大2のエンチャント、増量の刻印が施されております。御覧になっても構いません。あ、迂闊に魔力を込めると大変なことになりますからね。」


名刺サイズの板に細かくびっしりと刻印が施された物を渡す。


「お、オリハルコンとミスリルの合金…そして、非常識過ぎるエンチャントだ…」

「増幅3に拡大2など扱えるはずが…」

「まあ、ちょっと使うので外で見ていてください。」


全員を外に出し、最寄りの大型発生源の方角を向く。

容量いっぱいに魔力を充填し、投げる。


【ファイナルストライク】


目標地点で解放。

夜が昼になるほどの巨大な光が真っ直ぐ伸び、魔物の群れを飲み込んでいった。

状況はこちらからでも見える。地面は無事で魔物だけが綺麗に一掃されていた。地平線の向こうはわからんが。

あまりの轟音に、オレ以外全員が耳を塞いでいた。

ゲームではミスコン砲とかボムとか言われた、使い捨て兵器となるただの端材。放置スタンピード攻略の基本アイテムだ。


「…ヒガン、好きにして良いぞ。私にお前の手綱を握れる自信がない。」

「ここにアリス達を置いておくので、用があればそっちに。」

「分かった。アリス、頼りにするぞ。私だけでは説明ができぬ…」


想像を越えてしまったのか、思考を止め欠けてるように見える。


「任せてエディさん。この人の尻拭いは私の使命のようだから…」


腕を組み、眉間にシワを寄せた酷い顔でアリスが言う。

最近気付いたのだが、このポーズは胃が痛むのを隠しているだけではないのだろうか?


「多分、合ってる。」


遥香が察した様子でオレの肩に手を乗せる。

相変わらず口に出してない事に答えてくるの怖いのでやめてくれませんかね?




「飛び出してきちゃったけど良いの?」

「良くない。もう少し色々と調べたり練ったりしたかった。」


大きなタメ息をを吐いて後ろを振り向く。

既に通ってきた道は魔物、大型ゴブリンのレッドキャップで埋め尽くされ始めていた。


「急ぐぞ。すぐにここにも押し寄せてくる。」

「うん。」

「久し振りの旦那との戦で、ワクワクしやすぜ。」

「あ、足手まといにならないようにするよ。」

「期待してるぞパワー型。」


【インクリース・オール】


「ちょ、ちょっと!?」


全員に強化魔法を掛けると、ジュリアが戸惑い始める。


「わ、私、オール使って移動は…」

「慣れてくれ。」


きっと、ジュリアにはパワーとスピードのバランスが取れないのだろう。改善すべき課題として認識してもらいたい。


「跳び跳ねれば問題ない。行くぞ。」

「ま、待って!」


オレたちが走り出すと、ジュリアも追い付こうとぴょんぴょんと跳ねるように走ってくる。昔の動画で見た、ジャンピングシューズ履いている様だ。


周囲を見ると、かなり汚染が進んでいるのが分かる。これだけ魔物が居るのだ、不浄が不浄を呼び寄せるような状況だろう。後始末が大変だ。


【ファイナルストライク】


再び目の前を切り開く。ストックはまだまだあるぞ。


「だ、旦那、一言くだせい!光も音も尋常じゃねぇんで…」


ユキが目を閉じ、耳を塞いで抗議の声を上げる。


「悪い。次はそうするよ。」


軽く謝りながら魔物の合間を走り抜ける。

頭の上部の赤いゴブリンことレッドキャップだった顔触れがオーク、オーガに変わってきていた。

目標地点に何がいるか楽しみにしながら走り続ける事30分。最初の大型発生源に到着する。

もっと大きいところを目指したかったが、ここを潰さないと無理に進んでも意味がなさそうだ。


「ユキ、ジュリアの世話を任せるぞ。」

「承りやした。」

「ジュリア、デカいのを狙えば良い。細かいのは気にしなくて良いぞ。」

「ひぃ…ひぃ…わ、わかったよ…」


完全に息が上がっているようなので、グラスを出して水を入れて渡した。


「私はどうすれば良い?」

「常に位置関係を気にして、射線に入らないようにちょっかい出せば良い。お前も細かいのは気にするな。」

「分かった。」


遥香にもグラスを差し出すが、いらないと断られてしまった。まあ、まだ何もしてないしな。


「メイプル、聞こえてるな?」

『はいはーい。聞こえてますよー。準備できてまーす。』

『討伐隊には聴くだけのを持たせてるわ。気にしないで始めて。』

「わかった。…では、クエストスタートだ。」

『人よ、魔物よ、私の歌を聴けー!』


通話器から、プレアデスとは違う勢いのある演奏が流れ始めると、オレたちも頷き合って再び走り出す。

高台の狙撃地点を制圧し、ユキが防御魔法を展開する。これの効果時間が作戦制限時間だ。

外からの攻撃を遮断し、内から射撃は増幅して通す優れもの。


「ギガ・アシッドハウンドか。」


目標の姿を確認する。元プレイヤーでなくては、少人数で対峙するのは無謀だろう。


「酸…いや、岩を溶かす程の猛毒には気を付けろ。遠くまで飛ばしてくるからな。」

「わかりやした。」

「ケルベロスはもう別物だったけど、犬系はやりにくいなぁ…」


遥香がぼやくが、気持ちは分かる。

正直、オレもやりにくい。


「酸を吐くからアッシュとは別物だ。割り切っていけ。」

「うん…」

「可愛げも全くありやせんぜ。」

「アッシュも私には大概…」

「舐められてるな。」

「やっぱり…」


舐められてるジュリアの背を軽く叩いて小さく笑い、一度深く呼吸。三人もオレに倣う。


「行くぞ。狩りの始まりだ。」


【インクリース・オール】

【ファイナルストライク】


能力向上と道を開くための一撃。

オレと遥香は抜刀し、一気に高台を駆け抜ける。一人一つ通話器を持っており、そこからメイプルの歌声が流れ続けている。

足の一本でも持っていければ御の字の一撃だったが、かすっただけのようだ。

矢が飛んできてアシッドハウンドの首元に当たる。渾身の第一矢は、矢が当たったとは思えない衝撃音を上げた。

強烈な一撃に、流石のギガ付きも怯んでしまう。


【ヴォイド・ブラスト】


周囲の雑魚を巻き込みつつ、ヴォイド属性の奔流を正面から叩き込む。

正面から直撃を喰らったが流石のギガ付き、それでも後退りするだけだ。

此方をギロッと睨み付けると槍の雨のような猛毒の雨。


【シールドスフィア】


シールドを構え、増幅された防壁で受け流す。

受け流したつもりだが、それでも衝撃が伝わってくる。全て、というわけにはいかなかった。


【エンチャント・ヴォイド】


弾丸のような遥香の一突きが、アシッドハウンドの左横腹に突き刺さった。


【バースト】


エンチャントの即破棄。零距離の一撃がアシッドハウンドの巨体を吹き飛ばした。

弱い部類とはいえ、レイドボスを吹っ飛ばすとか…流石にここまで育つと、ゲームの常識すら越えてくる。

そもそも、数字が壊れるような育成は出来なかったのだ。もう少し発想を飛ばした戦法、戦術も可能だろう。


アシッドハウンドは遥香が飛んできた方向に体ごと向ける。だが、それは狙い通り。

再びジュリアの強烈な一矢がアシッドハウンドの横腹にぶち当たる。矢とは思えない衝撃が遥香にやられた方と逆の方からも来たのだ。堪ったものではないだろう。

二方向からの攻撃に混乱したようで、どちらを狙うか戸惑いを見せる。その隙は逃さない。


【ヴォイド・ブラスト】


再びヴォイド属性の奔流がアシッドハウンドの顔面に襲い掛かり、再び軽く怯む。


【ヴォイド・ファランクス】


怯んでいる間にオレの横に二つ、自動迎撃ポイントを作る。

対空用の魔法だが、速射だからかヘイト稼ぎにも使える。防御を抜けているか怪しい威力の速射だが無視は出来まい。

やはり鬱陶しいのか、オレを優先して狙うようだ。


【ヴォイド・ファランクス】


更に高所に2ヶ所追加設置。こちらは雑魚をターゲットにした。

魔法の効きがいまいちな犬には鬱陶しいだけだろうが、雑魚にとっては一発一発が致命傷。面白いように敵が溶けていく。

アシッドハウンドもいよいよ発狂モードに入る。

一吠えし、避けようのない衝撃波でオレと遥香を押し返すと、でたらめに酸の槍を降らせてくる。

ただ、ジュリアたちは眼中にないようで、オレと遥香を狙う。


「遥香、様子見だ。」

『わかった。』


【スーパーノヴァ】


人がいないからこそ出来る対抗策。

液体を飛ばしてくるなら蒸発させちゃえば良いじゃない戦法である。

フロストノヴァの真逆。犬を中心に大爆発を起こし、200度近くまで温度を上げてやる。中に居れば流石にオレたちもダメージを貰うが、ちょうど良い感じに弾き飛ばしてくれるからこそ取れる戦法だ。

纏っている酸が蒸発していき、徐々に勢いを失っていく。

この戦法、思わぬ副産物が発生していた。纏っている酸は、蒸発すると可燃性のガスに変化する。そこにちょっと引火させてやる。


「爆裂矢!」


オレが合図をすると、ジュリアの放った矢が爆発。引火してスーパーノヴァ内が灼熱地獄に変貌した。

灼熱地獄から強烈な一撃がオレに向けられる。来ると思っていたよ!

飛び掛かりからのパンチを盾で受け流し、続く噛みつきを避けて顎を蹴り上げる。


【ヴォイド・ストライク】


縦に回転しながら首元に魔法を1発叩き込み、灼熱地獄にお帰り願う。

再び酸を纏おうとしたのか、中で再び大爆発が起きた。こういうこともある。


【トルネード】


酸の処理を兼ねて竜巻を起こし、雑魚も適当に巻き込みつつスーパーノヴァ内へ入れると、三度目の爆発。竜巻も炎を纏ってしまう。

スーパーノヴァはそのまま、竜巻の制御は手放す。


『どう?』

「まだだな。何を狙っている?」


防御態勢を維持しつつ、様子を見る。

竜巻が治まり、中が見えそうだと思った瞬間、


「結界強化!」


【エンハンス・シールド】


強力なファイアブレスが飛んできた。

オレは二人と重なる位置で防御魔法を展開する。

オーディン戦の反省を踏まえ、よりシールドによる前面防御に特化した魔法だ。


『お父さん!』

「側面攻撃!」

『っ!』


【ヴォイド・ブラスト】


スーパーノヴァが仇となった。中がまだ見えないようで、遥香が魔法をぶちかます。

しかし、アシッドハウンドに当たらず、炎と雑魚を大量に消し去る。

ファイアブレスも止まっていた。


『いない!?』

「上!」


火だるまとなったアシッドハウンドは跳躍しており、最短距離でジュリアたちに一撃与える。

だが、結界はぎりぎり破れず、ジュリアの渾身の一矢が巨体をぶっ飛ばした。


「仕上げ!」


【エンチャント・ヴォイド】


オレはエンチャントをし、無防備となった腹に一撃叩き込む。


【バースト】


遥香と同じ攻撃だが、今度は内臓を完全に破壊する一撃。

身体が跳ね上がり、ドス黒い液体を吐き出す。

以前のレイドで遥香が被った物だ。血などという生易しい物ではない。あらゆるバッドステータスの塊だ。


【エンチャント・ヴォイド】


身体がもう動かせないところを遥香の斬擊が決まる。

ギガ・アシッドハウンドの首が落ちた。


「見事だ。よくやったな遥香。」

「えへへ。やっとお父さんに戦場で誉められた…」


すぐにオレの横に移動してきた遥香を誉めてやる。すぐに浄化と洗浄を掛け、後始末を始めた。

ギガ・アシッドハウンドの巨躯は亜空間収納に片付けておく。


『旦那、見つけやした。…酷い有り様でさぁ。』

「わかった。今行く。」


ユキが呼ぶ場所へと向かい、酷い光景を目の当たりにする。


「…何人居るのこれ。」


想像を越える大きさの死体の山だった。

既に朽ち果てており、死因やなんかは見て分かるものでは無い。


「詳しく調べる必要はないぞ。やることをやって去るだけで良い。」

「うん…でも…」

「一人、二人なら良い。だが、この数は背負いきれるものじゃない。置いていかなきゃいけないものだ。」

「…わかった。」


割り切れない娘の頭を撫でてから、埋葬を始める。

洗浄と浄化で周囲と一緒に綺麗にし、死体の山は真下に穴を作って落として埋める。出来るのはこの程度だ。


「ちょっと大きな岩を持ってきたよ。」

「助かる。」


ジュリアが持ってきた岩を真上に置いた。


「ユキ、慰霊碑って刻めるか?オレは文字が書けないから…」

「お任せくだせい。」


ディモスの言葉で慰霊碑と刻まれる。こういう文字なのか…

裏には、無数のスタンピードの犠牲者を悼む、とも刻んでもらった。


「死者の安寧を祈ろう。」


オレは手を合わせ、他三人は胸に手を当てを祈った。


「アリス、片付いたから一度戻るぞ。」

『わかったわ。解体はこっちでする?』

「そのつもりだ。」

『場所を手配しておくわね。帰りも気を抜かないように。』

「ああ。わかったよ。」

『旦那様、お疲れ様でしたー』

「メイプルもな。今日も助かったよ。」

『いえいえー。好きでやっておりますのでー。では、私も後片付けがありますから…』

「おう。」


周囲を見ると魔物が減る、どころか全く近寄って来なくなった。

明らかに格が落ちる連中で、踏み入れないのだろう。ここはしばらく安泰だ。


「戻ろう。反省会はその後だ。」

「異次元過ぎて反省する要素が分からないよ…」


矢であの巨体をぶっ飛ばした、異次元パワー型エルフが何を言っているのか。

道中も適度に雑魚処理をしつつ、無事に砦へ帰還を果たした。


潤んだ目で抱き締めて迎えてくれたアリス。流石に距離があって戦う姿は見えなかった様だが、初めての戦う様子を聴いて、というより今度は無事に戻って来れた事で安心した様子だ。

一番、心配と苦労を掛けてきたのがアリスだろう。ちゃんとそれに報いてやらないといけない。

オレのに比べ、(いびつ)な形の角の生える頭を撫でながら、そんな事を考えていた。

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