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龍と出会う日

 それからはなちゃんに連れられて貝島龍香という女の子の元に向かった。はなちゃん自身、すごく天然ではあるが、お洒落に気を使っているのは見てすぐにわかるので、なんとなく、カフェとかに連れていかれると思っていたのだが……


「とうちゃく。ここだよ。りゅうかはここに『入院』してるの」


「…………」


(そ、そうきたか……)


 私は焦りと罪悪感を感じつつ、その5階建ての大きな建物――病院を見上げる。あ、あー、なんで私を初回すると思ったら、こういう理由か……。


 身体でも悪いのかな……いや、悪いから入院してるんだよね。しかも私みたいな初対面の人と話したいって言うことは……結構体調悪い……?


「…………」


 うん、軽い気持ちで「可愛い! おっぱい触らせて!」みたいなテンションで会っていい相手じゃな気がする……。


 と、とにかく、何か手土産を買わないと、手ぶらじゃまずい! あー、世間体は気にしないはずだったのに! 


 私は周りをキョロキョロと見渡す、するとそこには昔ながらの和菓子屋があった。


(うーん、和菓子の差し入れっていいのかな? うぅ、最近ダイエットサプリとかいっぱい買っちゃったから、お父さんから貰ったお小遣いあまり残ってないんだけど……で、でも)


「は、はなちゃん、龍香ちゃんって、甘い物食べても大丈夫ですか?」


「うん、ある程度なら大丈夫だけど……りゅうかは気にしなくてもいいって言ってたよ? でも……」


「でも?」


「ハナはクリームどら焼きが好き、大きくて濃厚なやつ」


「にひひひ、はいはい」


「まさと、いい男だ」


 美少女に貢げるなら本望だ。変に遠慮されるよりも甘えられる方が気分がいいし。私は足早に和菓子屋に向かって、適当にいくつか和菓子を買った。


 まあ、龍香ちゃんってのが、何が好きかわからないけど……焼き菓子なら少しは日持ちするし、邪魔にはならないよね。


   ◇◇◇


 私は和菓子を買って病院に来た……のはいいのだが、はなちゃんに案内されたのは病院の最上階でセキュリティが厳重にかかった扉を何枚も通り抜けた病室だった。


 ふ、普通じゃない……やたら分厚い扉の先にある、病室というよりは高級マンションの廊下みたいな空間も……ここに住んでるのは絶対に悪い人だ。


 というか、無表情で次々とロックを解除していくはなちゃんもただ者じゃないでしょ……。


「まさと、ここ。着いた」


「えっ? は、はなちゃんどこ行くの?」


 やたら大きな扉の前に着いたら、はなちゃんは踵を返して、その場を去ろうする。


「ん? だって、りゅうかがまさとと2人で話したいって言うから。プロであるハナはずばっと空気を読む。これがプロの仕事。あっ、はなのクリームどら焼きは残しておいてね」


「ちょ、ちょっと、待ってください!」


 はなちゃんは私の静止に手をひらひらさせて、何故か満足そうに去っていった。ここで1人にしないでよ! 


「はぁ……勝手なんだから。まあ、でも、可愛い女の子と2人っきりで、逃げられない密室にいられるんだからいいでしょう」


 さすがは私、考え方が犯罪者ちっく。

 まあ、なんとかなるでしょう。


 私は軽い気持ちで、扉をノックする。するとすぐに。


『はいはい~~入って、入って~~』


 部屋の中から明るい女の子の声が聞こえてくる。


(あっ、可愛い声)


 私は期待に胸を膨らませて、扉を開くと――。


「…………」


 同い年ぐらいの女の子……もう、黒髪の超美少女がこちらを気にせず……上半身をベッドから起こして、着替えていた……今、ブラを外したところだ。


 やはり病気なのか、体の線は驚くほど細い。だが、胸は主張をし、目をひくものがある。


 い、いやぁ。いきなりいい物見た。もう病院とは思えなぐらい豪華な部屋の内装とか、強大なぬいぐるみとか、なんか本棚いっぱいにあるエッチなゲームとか、気にならないぐらいいい物だ。


『あはは、私、今叫んで恥ずかしがった方がいい?』


 少女は悪戯っぽく笑う。

 その笑みには無邪気ながらも妖艶さが含まれており頭にふと『魔女』という言葉が浮かんだ。

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