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龍には見えている。

 私は将来、美女に騙されて高級な壺とかかわされて自己破産、あるいは結婚詐欺に会って財産を持ち逃げされるだろう……と、いう想像が簡単にできるくらいホイホイされた私は、はなちゃんとの待ち合わせ場所の公園にウキウキしながら来ていた。


 ちなみに待ち合わせの2時間前だ。

 ……我ながら馬鹿だとは思う……前に熱中症で倒れているわけだし。だけど、私の胸に宿る熱き想い(下心)は止められない!


「にひひひ、美少女とお話~~」


 もう、今に踊り出しそうだ。

 だって、この身体になって僅か1か月たらずで、ロリ巨乳ツンデレの水落ちゃん、銀髪ミステリアス天然プロのはなちゃん、そして……そのはなちゃんが自分よりも7倍美人だという子に今日会えるのだ。


 目をひく美少女のはなちゃんの7倍の美少女とか、もはや天災だ。それか神。


 人が神になる瞬間とは確かに存在する。考えて欲しい、ワールドカップで逆転ゴールを決めた人は神並みの求心力を得る(個人的見解です)。


 ならば常に人々を魅了している美少女は神そのものではないか?(個人的見解です)。

 いやむしろ、手が届く範囲にいるということを考えれば神を越えているのではないか?(個人的見解です)。


 なら、この人生最大のと言っても過言ではない。


「にひひひ、巨乳系かな? スレンダー系かな? 可愛い系かな ううん、それとも美人系かな? いやいや、ロリって言うことも…」


 私が期待に胸を膨らませていると、スマホが鳴る。はなちゃんか……と、思ったが、ディスプレイに表示されている名前は水落ちゃんだった。


「はいはい、水落ちゃ――」


『あんた馬鹿じゃないの!?!?!?』


 軽い気持ちで電話に出たら、思いっきり怒鳴りつけられた……電話越しでもわかる、いつも怒り顔が可愛いと思えるぐらい怒っている。


 これには女の子に怒鳴られるもプレイの一環、と考えている私でも戸惑ってしまう。

 何か怒られせることしたっけ……?


「え、えっと……何でそんなに怒ってるの?」


『なんでもへちまもないわよ! あんた熱中症で倒れたあとなのに、何をフラフラ出歩いてるのよ!! また倒れたらどうすんの!?』


「あ、あー」


 あー、お母さんから伝わったのかな? 昨日、熱中症対策の料理を作ってもらおうと相談したし……お母さんと水落ちゃんって本当の親子の様に仲がいいからなぁ。


「そんな、大したことじゃないって、ちょっとふらっーしただけだから」


『あんたねぇ~! あんたは他の人間の倍の体重があるんだから、人一倍気を遣わなきゃダメでしょ!? いい? 何の用かは知らないけど、今日は早く帰ってきなさい!』


「は、はい……」


 な、なんか、幼馴染って言うか、手間のかかる弟に対する態度ですね。まあ、私のことを考えてくれているのは、ナイヤガラよりも深く伝わってくるので、申し訳なってくる。


「ご、ごめんね、心配かけて」


『は、はぁ!? 心配なんてしてないわよ!? か、勘違いするんじゃないわよ!! た、ただ、私はあんたがもし熱中症で倒れた時に救急車を呼んで、駆け付けた救急車の人が体重の重いあんたをタンカーに運ぶのを可哀そうと思っただけよ! ああ、もし、あんたの多重が重すぎて腕は骨折、タンカーは大破。さらには救急車もパンクして、新聞の一面に乗ったら、取材する記者の人も大変で、それから――』


「わ、わかった、今日はすぐに帰るから」


 早口でまくし立ててくる水落ちゃん。ほっておくと、いつまで怒られそうなので、ここでストップ。


『ふん、いい頃がけね。今日はおばさんと料理をしてるの。あんたのしょぼいスタミナを強化して、精が付く料理で元気いっぱいにしてあげる! もう、ギンギンよ!』


「…………それって、深い意味あります?」


『??? どういう意味』


 わかった。この子、ものすごく清純だ。自分の心が汚れているのがいけない。


『あっ……別にあんたのために料理するわけじゃないわよ! 勘違いするんじゃないわよ!!!』


 と言って、電話が切られた。

 勘違いも何も水落ちゃん……私、というか正人くんのこと大好き過ぎでしょ……う、うーん、正直水落ちゃんなら、拝み倒せばエッチできそうだけど……な、なんか正人くんの好感度に付け込んでる感があってなぁ……。


 ここは転生者としてはつらいところだ……。


「はぁ……」


『? まさと、やっぱり、悩みあるのかぁ。さすが『りゅうか』』


 その時、私の背後から聞き覚えのある声が……振り向くとそこには無表情のはなちゃんが立っていた。


「は、はなちゃん、待ち合わせ2時間前だよね?」


「うん、だけど……りゅうかが……「正人さんはきっと早くるんじゃない? だから、あまりお待たせするのはだめだめだよ? あー、そうそう、幼馴染さんのことで落ち込んでるから、慰めてあげて?」、だって……さすがプロ、言い当てた」


「…………」


 えっ? 私の真理を読まれたの……? い、いやぁ、偶然でしょ……? もしくはトリック? それか、はなちゃんが嘘を……って雰囲気ではなさそう。


「…………」


 ……なんか、嫌な予感がする。

 一筋縄ではいかなそうな女の子かも。

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