二度目の人生を変える龍
◇◇◇
電波少女ハナちゃんとの出会いから、数時間後――。
日も傾きかけた夕方ごろ、私は……。
「うぅぅ」
熱中症でダウンしていた……
やばいこの身体……暑さに極端に弱い……気が付いた時には吐き気や、頭痛が襲ってきていた。
「大丈夫……? ハナは貴方の体調不良を見抜けなかった……プロとして失格かもしれない。こんなことはプロの恥」
無表情ながらも肩をがっくり落として、落ち込むはなちゃん。
「い、いや……そんな。私がはなちゃんと話すのが楽しくて、自分の体調をおろそかにしていたのが原因だよ。ごめんね……はなちゃんはプロ中のプロだよ。ハナちゃんが買ってくれたお水のおかげで復活できたわけだし」
「そうだよね、ハナはプロ……」
立ち直り早っ。
「これくらいの気遣いは当たり前……貴方はもっと私に甘えていいよ? ハナはプロだから」
「えっ!? はなちゃんに甘えたい! 甘えていいの!?」
「ふぅ、任せて、ハナはプロだから」
「わーーい!!!」
ところでそろそろ、ツッコんでもいいかな? プロって。何……?
まあ、可愛いからいいか。
そんなことを考えているとはなちゃんはじぃーと私のことを見つめてくる。その蒼い瞳と、銀髪の髪はどこかミステリアスな雰囲気を感じさせる。
はなちゃんってハーフかな?
「じぃぃぃぃぃぃぃ」
「ど、どうかしたの?」
「うん、『まさと』は思った通りのプロだった。合格」
「えっ……なんで私の名前を……」
もしかして、この身体の持ち主の正人くんの知り合い……? うぅ、わからない……でも、正人くんと同じ学校の制服だし……接点があってもおかしくはないよね。
正人くんはいじめられてたし……失礼だけど、あまり社交的でもなかったと思うんだけど……。
「貴方に会って欲しい人がいるの。貴方をプロと見込んでのお願い……」
「会って欲しい人……?」
「うん、私が認める3人のプロのうちの1人……『貝島龍香』。世界を憎んでいる憎悪のプロだよ」
「…………」
えっ? 何そのあからさまに怪しい、称号は……それを受け入れてるんだったら、絶対にやばい人でしょ……まあ、はなちゃんが勝手に言ってるだけの可能性は十分ありそうだけど……。
「えっと……どなた?」
「私の『恩人』で城の中の囚われたお姫様だよ。聖なる気を纏わせながら、邪気を払う摩竜……のプロ。人間という究極系である……それはプロ」
「…………」
どうしよう、可愛いはなちゃんのお願いだけど……全然会いたくない。
「…………何か不満?」
「え、えっと……意外と鋭いね、はなちゃん」
「ハナはプロ……人の感情を読むなんておちゃのこさいさい」
「そ、そうですか……」
「まあ、貴方の気持ちもわかる。知らない人に会うのは恐いもの……だから、一つ情報を上げるわ」
「……な、何?」
「その子……私の7倍以上は可愛いい」
「会う、にひひひ」
「……………」
即答した私をジト目で見るはなちゃん。ご褒美です。
「はぁ、まさとって結構えっちなんだね……」
「いやぁ、それほどでも」
「そこ照れるところ? 別に褒めてないよ? はぁ、それじゃ次の土曜日の朝10時にここに来て。貴方に星を見せてあげる。プロとして」
「うん!」
いやぁ、楽しみだなぁ……女の子可愛いはあんまり信じられないって言うけど、はなちゃんの7倍はもはや神。
さすがに神と人を間違えたりしないだろう(???)
――私はこの時「可愛い子と会える! お話しできる! あわよくばおっぱいを!」とか、軽い気持ちでいた。
しかし、『貝島龍香』との出会いは良くも悪くも、私の人生を大きく変えることになり、一生消えない記憶を刻み込むことになるのだったーー。