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受け継がれる意志

   ◇◇◇


 私は前に来た心の中の草原に来ていた……。

 前来た時と同じ『夢』だ……。


 前の自分の姿……作られた美人優等生の姿と……周りには大きなテーブルにしかなく……見渡す限りに清々しい青空。


「ごめん……本当にごめん……本当に……ごめん」


 そしてテーブルには100キロ近い身体の制服姿の大男……久木正人が大きい身体を縮こまらせていた。何かに怯えていて、恐怖しているようだ。


「はぁぁぁ、何に怯えてるんだか……イライラするなぁ」


 私は大きくため息つく。

 内心では正人くんへの不満が溢れていた……その理由はわれながら個人的で、自己嫌悪になるが……正人くんを前にして感情を抑えることができない。


「ごめん……ごめんなさい。ごめん……本当にごめんなさい」


「はぁ、謝ることしかできないんですか? 私は別に男に対してはドSじゃないし。可愛い美少女はいじめたいし、いじめられたいけど。それに……正人くんは何にたいして謝ってるの?」


 私はいい笑顔で聞く。

 もう優等生の記憶のフル活用だ。


「な、何って……?」


「にひひ、何ですか? 貝島龍香と共謀して勝手に私を作りだしたことですか? それとも久木正人という役割を押し付けたこと? それとも……」


「ぜ、全部かな? 君を作りだしたのはいじめから逃げたかっただけだし……えっと……笑顔だけどものすごく怒ってるよね?」


「ええ、かつてないほど。前世の記憶でもここまで怒りを覚えたことはないっていうぐらいあなたを憎んでます。ちょっと前に撃退した学校のチンピラなんて話にならなぐらい」


「ご、ごめん……僕には謝ることしか――」


「にひひひひ、私が『何に怒ってる』かもわからないのに……何に謝ろうって言うの? 面白いぐらいに滑稽だね」


「えっ?」


 ああ……本当に滑稽だ。滑稽過ぎて笑みが止まらない……怒りが止まらない。ああ、私は心の底から怒っているんだ……。


「私は別に……勝手に作られたことを怒っているわけじゃない。むしろ感謝してるぐらいです……私は短い間でしたが、『人生』を楽しめた。あと久木正人という役割を押し付けた? それも感謝しています……水落ちゃんとたくさんお喋りできたし。だけど……」


 私は正人くんの元に歩み寄り、制服の胸倉を掴む。

 ああ……喧嘩なんかやった記憶はないんだけどね……。でも!


「私は……水落ちゃんを泣かせるのだけは我慢ならないです!!! 早く、正人くんが『久木正人』に戻ってください!! 私は…………水落ちゃんが泣くなら、消えてもいい!!」


「み、水落を……? で、でも、君の方が水落と仲がいいみたいだし。君の方が優秀だし……水落もその方が喜ぶ……」


「喜ぶわけないじゃないですか!! この能無し!! 水落ちゃんはずっと本当の『久木正人』しか、見てない!! 水落ちゃんが好きなのは私じゃなくて、貴方なんですから!!」


「だ、だって――」


「言い訳すんな!!! さっさと戻れ!!! あんたの『大切な幼馴染』を泣かせてるんじゃないわよ!!!!」


「………………」


 私は叫ぶ。

 きっと……伝わるとこの信じて……。


   ◇◇◇


 久木正人は覚醒する。

 自ら作りだした『相棒』に無理やり『席』につかせられた。


「……ここは」


 正人は龍香の病室の床でうつむせで倒れていた。

 身体を起こして周りを見渡すと、龍香がベッドで上半身を起こして、呆れたような視線を向けてくる。ちなみに……きちんと入院服を着ている。


「やっと、目が覚めたのねぇ~~、あはは、どう? 『相棒』に説教をされた気分は?」


「……最悪だよ、『催眠術師』」


「あはは、私たちは『共犯者』なんだから、少しは仲良くしようよ~。まったく、相棒共々つれないんだからぁ」


「…………僕は」


 正人の心に罪悪感が密てくる……自分よりも、この身体が相応しい人はいるんじゃないかと。


「正人…………!!!!!!」


 その時、病室に水落が飛び込んできた。


「み、水落何でここに……」


 水落の背後にはハナが無表情ながらどこか不機嫌そうに立っていた。


「ハナはプロ……私怨があっても仕事はきちんと果たす。私怨があっても……」


 恨みたっぷりにそう言いつつ、顔をそむけた。その瞬間、水落は正人に抱きつく。


「正人、正人、正人、正人…………!!!! 私、正人が居なくなると思って!!!」


「…………」


 正人は水落の泣き顔を見て……頭に後悔がよぎる。


(僕は……僕のせいで…………)


「あはは、久木正人。『相棒』が言う通り、少し……頑張ってみたら? 泣かせたくない人……貴方にもいるんでしょ?」


「………………そうだね」


 正人は小さくうなづく……。

 失敗は何度もしてきた……罪も重ねた……何度も泣かした。


「都合のいい話かもしれないけど……もう泣かせないって約束するよ」


 正人は小さく呟いた。

最終回です!!

今まで読んで頂きありがとうございます!

別作品も読んで頂けると嬉しいです!


次回作は来週の月曜日24時に投稿予定です

(余裕があれば少しフライングするかもしれませんが)

「メスガキ」がテーマ予定です!!!(なんで?)


よければユーザー登録して頂けると幸いです!

では本当にありがとうございました!!!!

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