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炎は孰れ月を染める  作者: 鴇羽ほたる
船出
6/25

じいやsideエイダン

すみません。あげ忘れてました。番外編みたいな扱いなので何とも、ですが、読んだ方がすっきりするかな、と思いまして。あと、折角書いたので。楽しんでいただければ。

〈テオがじいやと話すほんの少し前。〉




 司祭、しさい…、火、火、火!



 呼吸が徐々におかしくなっていく。独りそっとしゃがみ込む。手を口元にもっていく。そのまま大きく息を吸って吐いて。落ち着けと念じながら思考を過去から現在へと移行させた。



 彼の言っていることは危険極まりなく、無計画で、想定している通り事が進むとは思えない。第一、教団一つつぶしたところで魔法使いを悪しき者ととらえ、害をす連中や、彼のような特異体質のニンゲンをねら残忍ざんにんなイキモノが絶滅するわけがない。誰に頼まれたのか教えてくれないのが気がかりだが、指名手配犯を捕まえるのだって相当難儀(なんぎ)なことだろう。それこそ俺だったら全力で断る。とはいえ彼は泣いて逃げたくなるほどの善人だ。消えた少女を心配しているのも誠のことだろう。でもきっと理由はそれだけじゃない。俺のことも心配してくれているのだろう。…ただの思い上がりという可能性も十分にあるが。そうグダグダ考えた後、彼の行動パターン的に今回は異例だろうという結論が弾き出された。普段なら相談も無しにアジトへ突入して作戦勝ちで勝利を修め、事後報告。普段から防御魔法をかけ、安全に気を使っているとはいえ、正直、こちらとしては大変困る行いを平気でするのだ。手に負えな…コホンッ。…よし。脳内で会議をしている間に大分落ち着いてき…



 ドンッ



「ウッ…」


 何故か今日はよく他人に呼吸を止められる日らしい。心底面倒に思いながら顔を上げればテオ様がなついている『じいや』だった。


「なんの用?俺はこれからテオ様を逃がす準備を…」


 フンヌと腕を組み、威圧するかのように見下ろしている彼は呆れたように口を開いた。


「全くお前は。何時まで経っても逃げ惑って、現実から目を逸らす。追手は倒さなければどこまでもついてくる。新たな地で大切な何かを得れば、自分の命と共に()()は狙われる。何時まで力の弱い子どもでいるつもりだ?本当に守りたいんなら逃げてばっかいないでちっとは戦ってみろ。昔と今は違う。そうだろう?」


 乱れた口調でありながら、甘やかすような声色。ああ、そうだ。この人は戦い抜いた結果、平和と住処と生きがいと。その他多くのことを得た人だった。そして俺はこの人に育てられ、今も生きている。


「はいはい。死んでもテオ様のことだけは守りま~す。」


 もしかしたら仲間を失った地に帰ることになるかもしれない。そしたら、そこで恨みと恐怖が晴らせれば万々歳だろう。…もう逃げるのはやめたい。今度こそ失いたくない。立ち向かってやる。



「生きて帰ってこいよ。」


 さっきの発言が引っかかったのか、再確認をしてきた。勿論、俺はあの地以外で横たわる気など毛頭もうとうない。


われずとも。まだ死にたくないんで。」



 彼は満足したのか瞬間移動で何処かへ去っていった。最近、「私はもう老いぼれですので」とか言ってテオ様が「魔法見せて~」とせがむのを断っていたが、実は面倒なだけで、全然年老いてないだろう。嘘つき。

閲覧ありがとうございました。続きます。

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