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炎は孰れ月を染める  作者: 鴇羽ほたる
敵地巡り
20/25

或る少年の手記より(一部不鮮明箇所あり)

こちら、とある少年の日記と思われるものから一部抜粋して表記しております。

一部不鮮明な箇所があり、「…」で表示しております。

※密かにこの物語のキーとなることが書かれていたり、どうしてテオちゃんが罪悪感を感じているか分かったりするかもしれないという回になります。

母さん、父さんと出かけた。楽しかった。






この日記だけはだれにもわたさない。だからほごまほうをかけてみた。






母さん、こっち向いてよ。なんで…っかかわいがるの?…がうらやましい。おれもなけばいい?





かっこいいえんぴつ。お気に入り。




えんぴつと日記、守る。






2人を守れなかった。俺はひとりぼっちだ。……を守れないなんて、…失格だ。



変な集団がきて、拉致られて、牢屋生活。共同部屋らしい。仮面被ってた。今、床に寝そべって書いてる。





ダメだ。やられた。名前が思い出せない。






以降これは日記じゃなくて、脱走作戦書にする!








俺は捕まって、名前を奪われて名前を与えられた。可笑しな話だが、魔法使いである俺たちにとってそれは一生奴隷であると言われたようなものだ。魂に刻まれた名前が無ければ、本当の意味で自由に魔法を使うことができない。奪われたなら奪った人物のためにしか使えない。新たに与えられた名を刻めばそいつに絶対服従で、最悪精神まで持っていかれる。つまり、自分らしく生きたいなら、初めて与えられた名を守り続けるしかない。俺のような奴もいれば、過去の記憶を奪われた奴もいるらしい。それもそれで大変だ。記憶から魔法を創造し、応用させることができないからだ。さて、俺は新しく与えられた名が気に入らなかったから、刻み直さなかった。操りたいならやってみろ。自爆して拒んでやる。どうせ、逃げ切れないのなら、誰かが逃げ切れるだけの時間稼ぎはする。助けを呼んで、1人でもいいから生き残る。俺の新しいお願い事だ。仲間が調べたことによると、俺たちを誘拐したカルト集団は………………ために帝国中から魔法使いの子どもをかき集め、魔力の低いのは実験台、魔力が高いものは貢物にする予定らしい。名前で判断がつくそうだ。自分がどっち側でいつなのか。





正直者で真面目な、…………………枷がついているのに魔法が使えるやつと最近仲良くなった。アイツだけは逃してやりたい。自由にしてやりたい。1番………だろうから。そして、母さんに届け物をして欲しい。できるなら、灰になる前に。無理ならせめて生きた証だけでも。









アイツは面白い。冗談を冗談だと気づかず真に受ける。不器用なんだが変なところは器用で十三夜に花冠を作って喜ばせていた。だのに腕輪は作れないらしい。他にも誰が裏切り者役か当てるゲームで動揺しだしたり、看守の発言に鋭い質問を投げかけたり。もっと知りたい。観察してるだけでだいぶ心が和む。こんな、地獄よりも酷い場所にいても。









可哀想なことをした。嘘を吐いた。アイツはそれを信じ込んだ。ごめん。








逃げる方法は前述した通り。生きろよ。頼むから。








とうとう明日でお別れだ。上手く逃げろよ。

そういや寝る前にアイツ、すごいこと言ってた。冥土の土産にさせてもらう。



「ボクは朔みたいに強くなりたい。絶対に生き残ろう!」







ごめんな。666番。磔にされる前に知りたかったよ。お前の魂に刻…名を。

読んでくださり、誠にありがとうございます。次話は最短で今週の土曜ごろに更新できるかと。誤字脱字、文章構成に時間がかかってしまう場合もございますのでご容赦ください。

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