はじめまして
続き書けました。どこまであげようか悩みましたが、とりあえずキリの良いここまでで。
エイダンと初めて出会ったのは字が書けるようになった頃だった。
おじいちゃんは僕に新しい家族だよ、と紹介してくれた。
おじいちゃんはよく親のない黒猫を拾ってきていたけれど、人間を拾って来たのはその日が最初で最後だった。彼は本物のニンゲンだったら致命傷になりそうなものをたくさん抱えて苦しそうに胸を忙しなく上下させていた。おじいちゃんに許可を取って、子指に小さな切り傷を作ってから、彼の口に含ませた。彼はぎょっとした顔をしていたけれど、彼の身体の怪我が治っていくのを見て更にびっくりしていた。そりゃそうだよね…って思いながら大分回復したと思われる頃、名前を尋ねた。そしたら
「名前…、マギア、忌み子、裏切り者、背教者、とか言うふうに呼ばれてたから本名は分からない。司祭に僕を突き出せばきっと永遠の幸福だか何だか訳分かんないのが貰えるんじゃない?ニンゲンに捕まったのが運の尽き。もう、好きにしてくれて構わないよ。」
なんて返されて。これにはおじいちゃんも驚いていた。僕は思い切って聞いてみた。
「僕のお兄ちゃんになってくれないかな?名前は…」
彼はパチパチと爆ぜる炎のような紅色の目をしていた。人を引き付けて止まない、どこか神聖さを感じさせる燃え盛る炎のようで。
「エイダン、でどうだろう?」
彼が実は魔法使いで、火がとっても苦手だということを当時の僕は知らなかった。彼が僕のお世話係として傍でずっと守ると約束するって言った日に初めておじいちゃんが教えてくれた。その日は「一緒に暮らすようになってからもう少しで二年経つね。」なんて話していたから、悲しいほどよく覚えている。
閲覧ありがとうございます。まだ続きます。