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炎は孰れ月を染める  作者: 鴇羽ほたる
旅路
13/25

ホンモノ

お待たせしました〜

 取り敢えず噛みつくのは口だけでもいいだろうと捉え、敬語を外して会話を続けていた。


「ねえ、今度、遊びに行かない?」


「ははっ。貴様が永遠に愚かな夢を見続けられるよう、手伝ってやるよ。」


 というふうに。聞かれれば返す。2人揃って嘘偽りで。妙に気を使ってしまい、肩が凝る。



 そんな折。ふとテオ様が耳打ちをした。


「気づいた?」


「ええ。」


 視線の先には2人の男。先程、こちらを見るなり「backがいるぞ」と囁きあっていた。


「荷物は?」


「こちらに。」


 指定場所に置くフリをしただけ。否、ちょっと係の人間に幻覚を見てもらっただけ。()()()()はここにある。


「いや、しっかし驚いたよ。今まで見せてくれたこと、なかったじゃない?使い方忘れちゃったのかな〜とか、ホンモノなのかな〜とか色々考えてちゃってたんだよ。小さい頃からずっと、ね。」


 ホンモノでなければあの日、貴方を助けることができなかったというのに。まあ、記憶がすっぽり抜けてしまっているようだから仕方ないか。


「はあ。そんな、見たって面白くもないモノでしょうに。まあ、些細なモノばかりかけていましたから、気づかなくても致し方ないかと。」


 まさに船を待っている間や、クマと闘っている間、いや、彼と出会った次の日から魔法を使い続けている。それは稽古であったり、彼を守るためであったり、俺が()()()()()()()()であったり。理由なんて様々だ。


 ()()したじゃないですか。


 紋がありますでしょう?


 俺は左胸に。貴方は左手の小指のネイルベッドに。


 お互いがお互いを永遠に束縛する印が。



「ふふふ。さて、時に瞬間移動とかってできたりする?」


「ええ。勿論です。」


「じゃあさ、黒雲に満ちた国(たみをみすてたくに)の旧市街、83番地と84番地の狭間辺りまで飛べる?」


「貴方が望むのなら。」


 彼は腕に巻いた銀の時計を指して、小首を傾げた。


「この船よりも早く着くことってできる?」


「無論。もう出発しますか?」


「え、何か用意しなきゃいけないのとかある?」


「いえ、せいぜい荷物を抱えて私と手を離さないことくらいですね。」


「了解。よっと。いつでもいいよ〜」


「承りました。」


 黒雲に満ちた国(たみをみすてたくに)の旧市街、83番地と84番地の狭間…………よし。視えた………っとその前に。



 消しておかなくては。我々がいた、という記憶を。見つかってしまったようだから。







 そうだ。まずはこの船の背後に着こうか。

いつも読んでくださる方々がいることが励みになっております。ありがとうございます。繁忙期故、更新速度低下中ですが、頑張って参ります。

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