報酬
まだ戦闘が終わっていないことを思い出し、街へと戻る。しかし、移動している最中先ほどのゴブリンとオークが逃げていた。
森を抜けて戦闘が終わり素材を剥ぎ取っている冒険者らと合流した。
「よく生き残ってたな坊主!強襲隊の一番槍をよく務めてくれたな。だが、どうして森に入っていった?」
「魔法で攻撃をしていた者を確認するためです。相手は魔族でした」
その場が凍る。これが本当のことならば魔族と人間の戦争の始まりを意味しているのだから。
「それは、本当か少年」
騎士団長と思われる人物がヴィダールに真偽を問う。
「本当です。名前はハシュバル」
その名を聞いた刹那、周りが騒がしくなった。それほどその名は恐れられる物だとヴィダールは察した。
「本格的にあいつらは戦争を始めるつもりか。それで、そいつはどうした?」
そうそれこそが本題だった。ハシュバルがその後どうしたのか。魔物が撤退したことよりある程度は汲み取れるものの、始めたての冒険者がハシュバルを撃退できるはずがないからである。
「誰かと魔法で会話していました。何を話していたのかは不明ですが、話終えるとどこかにいってしまいました」
「戦力不足と援軍の騎士団の情報を得て一度退いたのだろうか・・・しかし、やつなら援軍が来る前に我々を葬れるはずだ。もしや、先の戦闘では魔物が統制が取れすぎていた。新しい魔法の試運転か。可能性はいくらでもあるな・・・」
騎士団が考え込む中、ヴィダールにオークの高く売却できる素材が多く入れられた袋を老練な冒険者から渡された。
「これが今日のお前の成果だ。俺はジーク自己紹介が遅れてすまんな坊主」
「僕はヴィダールっていいます」
「ヴィダール冒険者で生きてくなら『僕』はやめろ。他の冒険者に舐められるぞ。使うなら『俺』を使え。丁寧な言葉使いもなしだ」
「わかりッ!わかった。そうする」
よしっ!っと声を上げジークは魔物の素材の入った袋を持ち上げ、そのまま街中へと行ってしまった。
ヴィダールはジークから渡された魔物の素材を売却するべく、冒険者ギルドへと足を運んだ。
「お疲れ様です。素材の買取ですよね?こちらでも買取はできます」
ヴィダールは魔物の素材が入った袋を受付嬢に渡す。受付嬢はその袋を開けて、別の机に丁寧に置いていく。
ボードと紙を取り出して次々とメモを取っていく。全ての素材の確認が終わり。値段の確認のため解体屋に素材の質を確認してもらう。
「ただいま鑑定が終わりました。防衛任務報酬と素材買取でざっとこんな感じです」
ヴィダールは渡された紙を確認すると今まで見たことのない金額が書かれていた。動揺のあまり受付嬢の顔をみる。
「ランクが上がるとこれ以上の報酬がもらえますよ」
「そ、そうなんですね」
金額の確認が終わりヴィダールの目の前には未だ自分が手にしたことのない金額が入った袋が置かれた。それをポケットにサッとしまいすぐに自宅に帰った。