少年の仲間
空は既に暗くなっていた。ヴィダールはメリアルと共にギルドで食事を取りながら自己紹介を行っていた。
「私丁度三年前にこの街で僧侶になって昨日でその課程を終わらせたの。それで今日近くの農村に出向こうとしたらゴブリンに襲われちゃって。あぁ、冒険者カードは既に作ってあるから心配しないで」
「それって僧侶の仕事はどうするんですか?」
「僧侶はね、エロオヤジが来たりで嫌だったんだけど課程さえ終わらせとけばいつでも復帰できるから気にしないでね」
「僕は今日冒険者になったんです。なった理由としてはみんなを助けたいからって言うただそれだけでです」
「いいんじゃない?今日だっていろんな人を助けれたんだしね」
そんな事を話てある程度の自己紹介を終えた。そして次に出てきたのは明日の行動であった。
「それで、明日はどうするの?旅にでも出ます?」
「いや、今回の件で僕の冒険者ランクが上がったから討伐クエストを受けれるようになったんだ。ちょっと怒られたけど。で、明日は今日逃したゴブリンの討伐をしようかなとは思ってるんだ」
「それでいいんじゃない?あのゴブリン達が人を襲わないとは思えないし。集合場所はここでいいよね」
コクリとヴィダールが頷くのを見ると続けて喋り続ける。
「なら早朝から行きますか?それともお昼ですか?」
「早朝から始めよう」
「わかりました」
話がまとまると、二人はそれぞれの家に帰った。ヴィダールの両親は初日からボロボロになって帰ってきたヴィダールを見て驚いていた。
翌朝すぐに冒険者ギルドへと向かうヴィダール。彼の正面から姿を見せたのは歩いて冒険者ギルドに向かっているメリアルだった。
「おはようございます。さっそく行きましょうか」
「はい、行きましょう!」
ヴィダールが先をいくような形で後ろにメリアルが付いてくる。まだ、太陽が地平線から出てきたのを知らせるように街から出ると眩しい光が目に入った。
「昨日ここにゴブリンの集落があったんだ。あいつらはあっちに逃げていった」
「けど、追いかけたら後ろからやられるかもしれない、ですか?」
メリアルがヴィダールの言いたい事を言う。ヴィダールは頷く。そうすると自身ありげに胸を叩いたメリアル。
「私索敵魔法使えるんです!範囲は狭いけど・・・ないよりマシですからね!我存ずる神に申す、我が身の危機を知らせよ!」
ポケットから小さい杖を振り魔法を唱える。特に変わった所などは見当たらないが、彼女自身がやり切ったような表情をしているので効果は発動中なのだろう。
「これで大丈夫です。どっからでもかかってこいです、私の脳が演算できる限りで・・・」
「この索敵魔法ってもしかして脳に負担をかけるのですか?」
「的確に敵の位置を知ろうと思えば空間認識が得意じゃないと頭痛がおこるくらいだから。それに、今は敵が来たらわかるぐらいだけだらあんまり心配しなくていいよ」
ヴィダールは彼女の言葉を信じてゴブリンの後を追うべく森の奥へ奥へと進むのだった。