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雪国

 荷馬車は激しく揺れていた。先の魔族との戦闘を終えた荷馬車はまた同様の戦闘が起こる事を危惧し全力で王都へと向かっていた。

「先ほどは助けていただいてありがとうございます!お礼はどうした方がよろしいですか?」

「別に、お礼が目的ってわけじゃないし。君を守ることが僕・・・じゃなくて俺の役目だから」

「ですが、それでは私のプライドが許せません。そもそもこれはお父様がやったことですから、私個人からのお礼がしたいんです」

「そうとも言われても・・・じゃあ今後とも冒険者ヴィダールを贔屓に頼みます」

「はい!」

 ヴィダールに妬みの念がこもった視線が集中する。それでも、彼女の放つ笑顔でその場の雰囲気は和んでいた。

「あっ。私としたことが、自己紹介を忘れていましたわ。私は第一王女のエレシュ・システィーです。よろしくお願いしますヴィダールとみなさま」

 システィーの放った笑顔が次々と冒険者のハートを貫きダウンする人が続出するなか、ヴィダールは荷馬車の外をまた眺めていた。

 先頭の荷馬車が王都の城に到着すると少数の近衛が城の正門からゾロゾロと、ヴィダールの荷馬車を囲うように出てきた。

「王女様、王城へいきましょう。王様が再開を待っておられます」

「わかりました。冒険者のみなさま、今回の護衛誠にありがとうございました」

 近衛に周囲を固められシスティーは城内へと消えて行った。

「護衛任務お疲れ様です。こちらが報酬となっております」

 冒険者ギルドで今回の報酬を受け取る。今回参加した冒険者も今回の割高な報酬に喜んでいた。

 仕事がひと段落した事により、ヴィダールに重い疲労感が一気に襲い掛かった。

 近場の椅子を手繰り寄せて、体を預ける。ドシッと重苦しい音が鳴り響くと同時にとてつも無いほどに声を出したくなる気持ちを抑えて、深く呼吸をする。

「よしっ!」

 疲労が溜まり切った体を起こし、宿を探すためにギルドを後にする。

 時間はまだ正午に成ったばかりと告げるように街は活気で溢れかえっていた。

 人混みをかき分けていくつもの宿を訪れて、やっと泊まれる宿にたどり着く。

 シャワーと食事付きで割高な宿だが今回の自分に対するご褒美としては上々な物だと思い、すばやくチャックインを済ませる。

 部屋に入り込むと全ての荷物を机に置き、すぐさまシャワーに飛び入る。

 栓を捻るとお湯が出てくる。体にまとわり付いた疲労と汚れを洗い落とす。

 体を洗い、下着を履いてさっぱりとした状態でベットに横たわり、魔族との戦闘を思い返す。

 冒険者を始めた初日と比べて何十倍と言っても差し支えないほどに身体能力が跳ね上がっている。全てはこの剣の仕業だろうと考える。しかし、そのおかげで守れるものを守る力が得られた事には変わりない。

 そんな事を考えているうちに深い眠りについてしまうのであった

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