情報交換
古馴染みと再開したカイ。
聖騎士団の目的は、遺跡の最深部にあった物の情報だった。
「あ、アインスさん。どうして…?」
「すまないが、積もる話は後だ。今は君の処遇を決めなければならないのでね」
(なんだ、知り合いなのか?)
実家の方で随分と世話になったものだ。
彼は妙なほど、じっとこちらを見つめていた。
大扉をくぐると、誰も触れていないのにそれは閉じた。
扉の大きさの割に部屋は小さく、左右の壁には本棚が設われ、資料や文献と思われる書物が大量に並んでいた。
奥の事務机は木製で、扉に比べて一見地味だが、それでいて気品のある質感を持っていた。
大きく開放的な窓に、鮮やかな赤色の地が金色に縁取られた絨毯が敷かれ、それぞれの内装は、団長室の名に恥じぬ美しさを持っていた。
「アインス、その少年が例の?」
「はい。魔導修練を修め、第一級魔導師と認められているはずの私ですら、彼からは正体の分からない魔力が感じ取れたので…是非、団長に見極めて頂きたく存じます」
「ふむ…そうだな…」
聖騎士団長とアインスさんは、俺を差し置いて、俺の取調べを始めていた。
「彼は…青銅級なんだろう?なぜそんな高価な剣を身に付けているんだ?」
「それは私も疑問に思っていたところですが…まあ、本人を連れてきたので聞いておきましょうか。…さて、なぜ聖騎士でも手を出すのを躊躇うような、高価な剣を持っているんだい?」
こればっかりはいつかは足が着く話だ。正直に話しておいた方が、身の為だろう。
「先日行われた、遺跡調査で手に入れた遺物を…信頼のおける人物に売り渡したので、それで手に入った泡銭を使いました」
「その人物というのは?」
「彼の店に出入りする条件として、彼の名や場所を他人に話さないことを言い渡されているので、申し訳ないですけど…言えません」
「では、金額にして幾らだい?」
あまりに巨大な額なので、他人に言うのに、固唾を飲む必要があった。
「…白金貨3枚です」
そう答えると、2人とも目を見開いて、頭を抱えていた。
当たり前だろう。貴族でもそうそう持たない金額なのだ。
「やはり、それほどの価値があったということか…団長、これについてはどうしましょうか?」
「冒険者に委託したのが運の尽きだ。仕方ないだろう」
「そうですね…そればかりはどうにも…」
やはり、まずいことをしたらしい。しかし、そのまま持ち帰る訳にも行かなかった、ということを伝えた。
「他には?例えば…君の剣のことなんだが、一振は我々の契約店の商品なのは確認したが、もう一振は…出処が分からないんだ」
「それは…」
アインスさんの質問に対し、言葉に詰まっていると、聖騎士団長が重く声を響かせた。
「言えば今回の事件については不問にする、と言ったら…正直に話してくれるか?」
なんと、ほぼ尋問のような手法を取ってきた。
(お前の為に黙ってたが、こうなっちまったからには、俺が出るしかないよな)
それでいいのだろうか?
(仕方ないさ、こういう状況だ。お前だけではどうにもならんことは、幾らでもあるんだからな)
そう言うと、ゼルシオはクレオで見せた広範囲念話(?)を始めた。
《初めまして。聖騎士団長さんと、カイの知り合いさん。俺の名はゼルシオ…は、仮の名で、真名は「ゼル・シオール・ウルティモア」。先の時代に、『禁忌の魔剣』として封印された魔族だ》
初耳の情報と共に、会話は始まった。
ウルティモア家やゼルの立ち位置については、まだしばらく語ることはありません。
が、他の設定も色々ありますので、そちらでご勘弁と言ったところ。




