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俺の、結末

異世界に転生召喚された ”斎藤 拓真”

彼は翻弄されながらも、遂にその目標を達成する

故に、彼の最後の物語を披露しよう

「じゃあ、いくぜ!!」

拓真たくまはすでに合体変形した

”スモルガー・マークⅡ”と”ミドルオー”の合体形態

”ミド・ルガー”のコックピット内から叫ぶ

眼下には不安そうに見上げる仲間達の姿がある

城塞都市騎士団団長 サリオ

騎士団所属、炎の3騎士”爆炎” ミース

同じく、炎の3騎士”焦熱” セイム

同じく、炎の3騎士”煉獄” ソーネ

集落フロスト自警団団長 カイム

その妻で俺の元№1 ケリス

城塞都市所属、魔導士 ズンダ

熊型獣人 アイゼンレッグ

その娘 ティピレッグ

城塞都市騎士団名無しのモブ 10人

魔族軍魔王ベルリムこと元勇者 カナコ

その配下の名無しの魔族軍数十名

そして

涙目で見つめる少女

”閃光”の二つ名を名乗っていた キラッセ

「そういや最初は少年だと思ってたな」

懐かしむように拓真は呟く


全員に最終ノルマの達成報酬である

”魔法スクロールの詠唱・一回分”の説明をした後

ズンダに断りを入れて

誰も使う事の出来なかった先代ズンダの遺産

魔法スクロール”リヴァー”を使う話をしたのだ


どんな効果か判らないし、何かあったら困るから、と

最後まで付いていくと言い張ったキラッセを

何とか説き伏せて今、拓真は”ミド・ルガー”のコックピットにいるのだ

「とは言っても俺にはうすうす、どんな効果の魔法か解りかけてるけどな」

そう言うと拓真は預かった魔法スクロールを手に取る

そしてモニターに向かい叫んだ

「魔法詠唱、リヴァー!」

瞬間、モニターが発光しそれに呼応するように魔法スクロールも発光する

外に待機していたキラッセ達にもその発光は見て取れた

「タクマッ!!」

キラッセがそう叫ぶと同時に拓真の乗った”ミド・ルガー”は

光の中に消えていった



「やっぱり思った通りか。この魔法”リヴァー”は時を遡る魔法か」

光の渦の中、”ミド・ルガー”と共に流されている拓真は呟く

渦に浮かぶ沢山の光球に、映画の様に映像が映し出されている

「成程、成程、この渦の流れが時間の流れで、光球に映っている映像の時間帯に移動出来るのか」

『さすがは転生者じゃ。よくぞこの魔法を理解した』

拓真の呟きに呼応する者が現れた

「まさか・・・アンタは?」

『そうじゃ。お前の読み通り”先代魔導士ズンダ”の意識体じゃ』

拓真の意思を先読みするように意識体、もやの様なものがまとわりつく

『わしの弟子”スィー”が世話になったようじゃな』

「スィーって、今のズンダの本名か」

初めて本名知ったな、と考える拓真をよそに説明が続く

『この魔法を発動したと言う事は、この世界の争いの根源を無くしに行こうとしているのじゃろう?違うか?』

あらら、鋭いねこのバァさん

拓真が頭で考えると

『バァさんは余計じゃ』

すぐさま突っ込みが入る

「まぁ、その通りだ」

それ以上突っ込むのはヤバイと感じて、拓真は話題を切り替える

「争いの根源を無くせば、今までの時間の流れが変わって」

『無くしたもの、死んでしまった者達が蘇る、そう考えているのじゃろう?』

先読みを展開する先代ズンダに驚く拓真

「へぇ、さすがだな」

『じゃが、そう上手くはいかないのじゃ』

感心する拓真に冷や水を浴びせるように、言葉をかぶせる先代ズンダ

『わしもそう考えて幾度かリヴァーを発動させたのじゃが』

「ちょい待ち。バァさん、この魔法使えたのか?」

話の腰を折って拓真が問う

『当り前じゃ。この魔法を開発したのは、わしじゃからな』

「すげぇな。優秀じゃないか」

『じゃが余りの魔力を消費する為、わしの体は弱っていったのじゃ』

「ふぅむ?万全だったら例の事件で死亡することも無かったと?」

拓真は先代ズンダが勇者暗殺事件の折に

勇者カナコをかばって死亡した時の事を尋ねる

『そうじゃの。わしゃこれでも人族最強と呼ばれた魔導士じゃ。あれしきの』

「オッケーオッケー。んで、この魔法の危険性を感じて簡単に使えない様にしたと?」

長くなりそうなので話を戻す拓真

『む・・・その通りじゃ。特殊なプロテクトをかけて勇者以外には使えんようにしたんじゃが』

「ふふん、まさか特例でこの俺が使うとは思わなかったかな?」

もっと話したそうな先代ズンダだったが、話を繋げてきたので拓真も満足だ

『結果が同じなら、勇者だろうが救世主だろうが構わん』

「なんだ・・・」

少しガッカリした拓真

『何度かこの魔法リヴァーを試した結果、わしは弱体化したがこの領域内に意識体を残す事に成功していたのじゃ。さすが”わし”じゃ』

自分で言うかね?と拓真は突っ込みを入れつつ

「了解だ。そしたら争いの根源、てとこも知ってるんだな?」

『無論じゃ』

「なら案内頼むぜ、バァさん!」

『バァさん、は余計じゃ!』

ぐいと操縦桿を押し込み、移動を開始する拓真


『あそこじゃ』

相当時を遡ったと思われる辺り

映像の光球が少なくなった頃

意識体の先代ズンダは一つの光球を指し示した

「ぉ、何時の間にか体ポイ形状に?」

恐らくは生前の姿であろう形になっている先代ズンダに拓真は驚く

『む。そんな細かい事はよい。あそこじゃ。見よ』

言われるまま光球に映る映像に目を凝らす拓真

そこには

幼い子供達が遊んでいる光景が映し出されている

「あれは?」

『おそらく、あそこに映し出されているのが根源となる事件じゃ』

無邪気に遊んでいる子供達

だが、よく見ると角が生えている子供がいる

獣耳をもつ獣人の子供も見える

何もない子供も見える

『あの角の生えている子供が恐らく魔族の先祖じゃ』

「へぇ、大昔?はみんな仲良く遊んでたんじゃないか?」

『そうじゃ。ここで起こる事件が元で後に魔族だけが阻害されていき、現代につながる遺恨になったのじゃ』

「じゃあここで起こる事件を阻止出来れば、後の争いは起きないんだな?」

『恐らく、じゃ。確実ではないがの』

先代ズンダとの会話を経て、拓真は光球の映像に再び目を凝らす

すると

魔族の子供が倒れこんだ

それを獣人の子供が助けようとする

だが他の子供がそれを止めた

そこに他の子供が集まってきて

倒れこんだ魔族の子供を冷やかした

そしてそのまま魔族の子供を置いてきぼりにして

走り去って行ってしまった

その様子を見つめていた魔族の子供の目に

怪しい光が灯った

「これだけ?」

拓真がその映像を見て驚きの声を上げる

『そうじゃ。たったこれだけの事じゃ』

先代ズンダがそれに答える

『なんのたわいもない、子供の無邪気さが生んだ一コマじゃ。じゃが』

先代ズンダが目をかっと見開く

『このたわいもない出来事が、後の大きな禍根の引き金になったのじゃ』

「なんて・・・こった・・・」

拓真は驚愕すると同時に小さな事件の恐ろしさに言葉を失った

『この時の子供が成長し、後に魔族の指導者になるのじゃがそこからまた・・・』

「解った、もういい!」

少し怒ったように拓真が怒鳴る

「要はこの”置いてきぼり事件”を未然に防げばいいんだな?!」

拓真は勢いで言い切る

『そうじゃが・・・』

勢いに圧倒された先代ズンダがそう答えるか答えないか

拓真はこの世界に来た当時の装備

私服のジーンズにジャンパー&グローブ、フルフェイスのヘルメットを被ると

同じ映像が繰り返し流される光球に向かって

「いってくらぁ!」

そう叫んで飛び込んで行った

『あっ、馬鹿者!話を最後まで・・・』

先代ズンダが何か叫んでいたがそんな事はどうでもいい

この馬鹿気た出来事を阻止するだけで全てが変わるなら・・・



「あっ」

魔族の子供ベムは、友達と遊んでいたが

ふとした拍子に躓いて転びかけた

待って、置いてかないで!

転んだ後に自分が置いて行かれるビジョンを思い浮かべ

少し涙目になってしまう

が、彼は転ばなかった

寸前で何者かに受け止められたのだ

「う・・・」

何者かの腕の中でそう呟く

『大丈夫かい?』

黒くて丸い頭とつるんとした表情

・・・ヘルメットを被った拓真であるが・・・

最初の印象は凄く怖かった

すると、それに気づいた友達達が駆け寄ってくる

「なんだー」「どうした」「だれ、そいつ」「なにしてんだ」

口々に話しかけてくる

するとすっくと、その人物は立ち上がり

『今、彼が転びそうになったから助けたんだ』

そう、言った。確かに、そう、言った。

「へー」「そうか」「そうなんだー」「よかったね」

口々に言う子供達を見渡して、彼はしゃがみ込む

目線を子供に合わせたのだ

『こまけぇ事はいい。友達同士、仲良くな!!』

力強く、しかし心に刻み込むように彼は皆にそう話しかけた

皆はその迫力に、うんうんと頷くしかなかった

その様子を頷きながら確認した後

その何者かは何時の間にか居なくなっていた

「いこっ」

仲の良い獣人の子に手を取られ

魔族の子供ベムは皆と共に走って行った



『この、馬鹿者がぁ!!』

戻った拓真を先代ズンダが叱責する

「なんでだよ!根源を無くしたんだから、いいじゃねぇか!」

拓真もヘルメットのバイザーを上げて反論する

『わしが何度もこの魔法リヴァーで行き来して、この方法を試さなかった訳があるんじゃ!』

「なんだい?そりゃ」

何食わぬ顔で拓真は聞き流す

『良いか!?過去の出来事を変えたと言う事はこの先の未来も変わる!すなわち』

そう言うと同時に”ミド・ルガー”の機体が揺れる

『そら、始まった!』

見ると周りを流れる光の潮流が激しさを増していく

『たった今、おぬしが時間の流れを変えてしまった為に』

激しい勢いはまるで嵐の中の激流の如き動きを見せる

『時間軸もが変わり始めているのじゃ!』

ごうごうとうねりを上げて光の渦が動き始める

『・・・無事で元の時間軸へは戻れんぞ?』

恐らくは物凄い歪みが生じているのだろう

光の渦の中で軋む機体を感じて拓真は言う

「上等!いくぜぇ」

バイザーを下ろし、操縦桿を握りこむ


ばきばきばき  ぼきぼきぼき  びきびきびき

”ミド・ルガー”の機体は限界を超えた

あちこち亀裂が入り、パーツがひしゃげて砕け散っていく

『がんばれ、もうすぐじゃ!』

先代ズンダも応援している

だが

遂に全ての外装がはがれ、コックピットが剥き出しになる

「くっそ!わかってた、わかってたけどよぉ!!」

光の激流の刃に体を切り裂かれ始めた拓真

『・・・転生者、救世主タクマ。すまなんだ』

「なに?!」

急に謝罪を始めた先代ズンダに、訝しむ拓真

『わしは、時間を変えればこうなる事が予想出来た。危険だったのじゃ』

「なーにを、いま、さら」

激流に身を切り裂かれながら拓真は答える

『怖かったのじゃ。だから出来なかった』

「へっ、きーに、すん、なってぇ」

拓真はその謝罪に努めて明るく答える

『わしはこのまま消え去るが・・・最後にお前を・・・』

その問いに最早拓真は答える事が出来ない

バイザーが砕け、破片が刺さり右目が潰れる

操縦桿を握っていた右手や

左足の感覚も、無い

『元の時間軸へ、戻す。それが最後にしてやれる事じゃ』

薄れゆく意識の中、拓真は確かに感じた

光の中心に帰っていく感覚を


”おかえりなさい”


誰に言われる訳でも無く

誰に指示された訳でもない

拓真は傷だらけの体を引き摺って歩いていた

体中から流れ出た血が

後を引いている

だが、彼は歩みを止めない

確かめる為だ

ここは、何処かの街中

人目につかないように路地裏を隠れるように移動してきた

向かっているのはこの町の中央

俺の”カン”が正しければ必ず”アレ”があるはず

そう信じて歩き続けた

時折、街中を眺めると見知った顔が見えた

どうやら歴史改変は上手くいったらしい

死んでしまっていた連中や

存在しなかった人物達と

笑顔で歩いている光景に出くわしたのだ

「へっへ、よかったなぁ、キラッセ・・・」

両親らしい人物と仲良く歩いている姿を見とめて拓真は呟く

そして人目につかないように隠れて移動していたが

遂に中央の広場に辿り着く

拓真の想像した”アレ”

銅像が立っていた

最早遠目では分からない

人目もはばからず拓真は路地裏から飛び出す

沢山の人がいて獣人や魔族

その他の種族も沢山入り乱れていた

拓真の血だらけの姿を見とめて、あちこちで悲鳴が上がる

構うもんか

拓真はその銅像の前に立つ

その銅像の姿、それは自身が過去の世界で見せた姿

特徴的な、フルフェイスのヘルメットを被った姿の銅像だった

その銅像の前には石碑文が書かれており

説明文が書かれていた

その中央にひときわ太く、大きくこう書かれていた


『こまけぇ事はいい。友達同士、仲良くな!!』


その文章を読んで拓真は苦笑する

「ここまで、忠実じゃなくても、いいのに、な・・・」

そしてそのまま意識を失い、倒れ掛かった拓真を

周りで取り囲むように見ていた人々が

自らの衣服が汚れるのも構わずに

血だらけの救世主を

優しく受け止めるのであった



思い付きで書いた。公開をして、若干、後悔した。


この駄文を読んで少しでも


読んだアナタに心の変化が現れたら


少し、嬉しい。


2019/06/27 22:37  しゃもじ おひつ

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