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魔界決戦編 第十二試合 それぞれの義

おとこは、寒村で育った

おとこは、それを苦にはしなかった

おとこは、逞しく成長し自警団のリーダーになった

おとこは、何故か異世界の乗り物のパイロットになった

おとこは、美しい女を妻にめとった

影は薄いが中身は濃い 集落フロスト自警団リーダー

おとこカイム、怒涛の入場!!

「魔王、いやカナコ!二人の魔族は死んだぜ」

拓真たくまは”スモルガー・マークⅡ”のコクピットからマイクで呼びかけた

既にロボットモードにチェンジしているその機体と

魔王ベルリムこと、カナコとの対比は顕著だ

「・・・そうか」

魔王はその言葉を軽く受け流す

「この無益な争い、ここで終わらせるぜ!」

淡白な反応に拓真は憤りを隠さずに叫ぶ

「・・・ふふふ、・・・くっくっく・・・あっははははは!」

突然、魔王ベルリムが笑い出す

「何が可笑しい?」

その様子に拓真がいぶかしむ

「救世主タクマ、自慢のシモベ”ビッグ・ダイン”とやらはどうした?」

「ぬぅ・・・」

魔王の言葉に詰まる拓真


拓真のシモベの一つである超弩級戦艦”ビッグ・ダイン”は

魔王の仕掛けた地核への攻撃を回避する為

禁呪魔法ストーンワールドの核となり

拓真の元から失われてしまっていた

「ふふふ」

そんな拓真の反応を見てほくそ笑み、すっと片手をあげる魔王ベルリム

その背後に巨大な魔方陣が現れる

「何?!」

その大きさに驚く拓真

「見るがいい。我の最終兵器”巨大・石像”を!」

叫ぶと同時に魔方陣を突き破り”巨大・石像”なるものが現れる

「ぶっ!!なんじゃい、そりゃあ!!」

その姿を見るなり噴き出す拓真

”巨大・石像”は”ビッグ・ダイン”そっくりだったのだ

「ったくボキャブラリーが無いつうか、元からパクリ好きなのか」

散々戦った何かの版権キャラクターもどきを思い浮かべる拓真

「その”人型”や、後ろに飛んでる”飛行機”なぞでは相手になるまい?」

”巨大・石像”の大きさは本家”ビッグ・ダイン”程では無い物の

ゆうに”スモルガー・マークⅡ”の大きさを凌駕している

「ふふふ・・・我が最後の魔力を使った最終兵器よ!」

「・・・自分から弱点フラグを立てちゃう口かな」

自慢気に胸を張る魔王に、ぼそっと拓真がこぼす

「ゆけ!”巨大・石像”!殲滅するのだ!」

呼び出した”巨大・石像”に指示を飛ばす魔王ベルリム

どずぅん

重々しい第一歩を踏み出す”巨大・石像”

迫り来る脅威にしかし拓真は冷静に対応する

「・・・さっき、切り札とかいってたよな?」

「む?」

今度は魔王がいぶかしむ番だ

「来い”ミドルオー”!合体だッ!!」

「何だと!?」

拓真の言葉に驚く魔王

背後でホバリングしていた”ミドルオー”が反応し上空に急上昇する

それに合わせて”スモルガー・マークⅡ”も脚部のバーニアを吹かして空へ飛翔する

目を光らせて両腕を腰だめにした”スモルガー・マークⅡ”の背後で

”ミドルオー”はバラバラに分解し合体体制に入る

分解したパーツが手足に延長するような形で次々にドッキングし

飛行翼部分が背中にドッキング

正面にボリュームアップのパーツが張り付いていく

最後に頭部に冑の様にパーツが被せられ

合体は完了した

『完成、”ミド・ルガー”!!』

もはやネーミングセンスもへったくれもないが

おざなりの前後分離合体しか披露してなかったこれまでのうっ憤を晴らし

題名の状線回収にも成功した拓真は雄々しく叫ぶ

そんな光景を呆けた表情で眺めていた拓真陣営の面々

完成した”ミド・ルガー”が着地した振動で全員我に返り

「うおー」「タクマー」「素敵ー」「うおおー」「カカー」

全員が”外人四コマ”みたいに声援を送っていた


「・・・な、なによ、それぇぇぇぇ!!」

魔王ベルリムが素っ頓狂な声を上げる

「切り札ってのはなぁ・・・最後まで取っておくもんだぜ!?」

コックピット内で拓真が威勢よく操縦桿を操作する

合体完成した”ミド・ルガー”は”巨大・石像”よりも小さいが

各部パーツのボリュームアップにより、充分に渡り合えるだけの力強さを持っていた

がっしと組み合った2体の巨人の戦闘開始と共に

周囲で様子をうかがっていた魔族軍と拓真側の陣営が動き出した

「今だ、転移魔方陣に向かうぞ!」

騎士団団長サリオが気を見て敏と気勢を上げる

「カカカ、魔王はタクマを相手にしている故、動けぬ様子。今が好機である」

珍しく獣人ホークアイが出張ってきた

「言われなくても!」

炎の3騎士のミースも続く

「好都合ですわ!」

同じくセイムも続く

「後はお願いね!?」

同じくソーネが飛び出していく

「解った!」

何となく後詰を任された形の獣人アイゼンレッグである

娘のテイピレッグ、キラッセ等の非戦闘員を守護する様子だ

「俺も手伝おう!」

疲労から回復したカイムも武器を手に並ぶ

妻のケリスも移動用ランチの出入口を固める

おつきの騎士団員達は、気勢を上げて後を追っていった

「置いてかないでください~~」

出遅れた魔導士ズンダがあたふたと追いかけていく

「くっ、皆の者、侵入を許すな!!」

どうやら”巨大・石像”を操作する為に他に気を回せなくなったらしい魔王は

慌てて配下の魔族軍に指示を飛ばす

「行くぜ、”ミド・ルガー”!ここが見せ場だ!!」



ばごぉぉん

鋼鉄の腕が”巨大・石像”の頭部を破壊する

「そ、そんな・・・」

崩れ落ちる”巨大・石像”を見てがっくりと膝をつく魔王ベルリム

ジャイアント・何某の如く常に指示を飛ばさないと動作出来ない仕組みだったらしく

相当に消耗した感じだ

同時にサリオ達騎士団達が転移魔方陣が設置してある建物の門に辿り着く

それを見て取った拓真が叫ぶ

『門を吹き飛ばす!左右に散開してくれ!』

響く声にサリオ達騎士団員らが散開する

どしゅどしゅ

元は”ミドルオー”のパーツであった部分からミサイルが発射される

どごぉぉん

爆音と共に門が破壊され道が開ける

もうもうと立ち込める粉塵の中、サリオ達が内部に突入していく

その様子を見てハッと我に返った魔王が立ち直る

「させない・・・!」

素早く粉塵の中へ飛び込んで行った

「あ、くそ!」

それを見た拓真は悪態をつくと素早くコックピットから飛び降りた

魔王の後を追いかけ振り向き様にヘルメットの通信機で指示を飛ばす

「”ミドル・ガー”、分離しろ!カイム、”ミドルオー”をそっちへ回す!」

指示を受けた”ミド・ルガー”は素早く分離し

”ミドルオー”だけが後方へ飛び去った

「こい!”スモルガー・マークⅡ”!」

がきがきん

バイクモードに変形した”スモルガー・マークⅡ”は後を追い

拓真は追いついた”スモルガー・マークⅡ”に飛び乗った

「もう犠牲は出させない!」

粉塵の中へアクセルを回して突っ込んでいく



「こ、これが・・・!」

サリオ達は建物の奥に鎮座していた巨大な魔方陣に遭遇していた

平面だが縦に展開されているその魔方陣は異様な迫力だ

おもむろに胸当てのポケットから二本の巻物を取り出すサリオ

「後はこれを・・・」

そう呟くが正直魔導書の知識が少なく自信が無さげだ

「はぁはぁ、追いつきました・・・」

魔導士ズンダが息を切らせて後ろから現れた

「ズンダ!」

それを見て3騎士のソーネが叫ぶ

彼女とは集落ヘローンからの縁がある

「わ、私に、その魔導書を使わせて下さい・・・!」

真剣な眼差しでサリオに訴えるズンダ

「・・・正直、私はお前を心から信用はしていない」

喧噪の中サリオはズンダを見据える

その眼差しを瓶底メガネの奥からしっかりと見つめ返すズンダ

「・・・だが、ユウゼスも最後は信頼した」

その眼差しにふっと表情を緩めたサリオはズンダに笑いかける

そして手に持った二本の巻物をズンダに手渡す

「コーディについで、これを使用できるのはお前以外にいない」

それを受け取りながら頷くズンダ

「任せた!」

そう言うと素早くズンダの背後に回り剣を抜く

その視線の先には魔王ベルリム

「そこをどけ・・・」

幽鬼と化した風貌で抜刀する

「早く行け!封印さえしてしまえば後はどうとでもなる!」

背中越しにズンダを促す

無言で切り付けてきた魔王ベルリムの斬撃を受け止めるサリオ

「っく・・・!」

ぎゃりぎゃり

刃と刃が耳障りな音を出す

「それを・・・封印されたら・・・困るのだッ!」

怒気をはらんだ声で威嚇する魔王ベルリム

「コーディから聞いたぞ。この地下世界から地上の世界に行き来する魔方陣は特別だと言う事を!」

渾身の力で振り払うサリオ

「そしてそう簡単に作れる物では無い事も!」

武器を正面に構えて魔王を見据える

「・・・その通りだ。我では同じ魔方陣はもはや作れぬ。何せそれは先代魔王の置き土産なのだからな」

魔王ベルリムもその問いに答えるように説明を補足する

「封印はさせぬ・・・!!」

かっと目を見開き、刃に何がしかの魔力を送り込む

刃に怪しげなオーラを纏った魔王の剣は魔剣とも言うべき趣きだ

「妖刀ムラマサ・・・この刃に切れぬ物はない・・・」

魔王は上段に構えると突っ込んでくる

「フウッ!!」

その剣劇を抑えるべく同時に突っ込むサリオ

だが受けた剣が砕け散る

同時に肩口から血飛沫が上がる

「サリオ様!」「あぁっ!」「そんなッ!」

3騎士から悲鳴が上がる

その声を無視してそのままズンダに切りかかる魔王

「カカカッ!!させぬわッ!!」

その間に割り込んで手にした槍でその刃を受けるホークアイ

だが妖刀と化した刃に槍の受けは砕かれてそのまま体で刃を受けてしまった

「ぐカッ、カカ、カ」

鳩尾まで切り込まれた刃を素手で握るホークアイ

「く、こやつ・・・!」

武器を押さえられ、使えなくなった魔王が悪態をつく

「ホークアイ!!」

その光景を後から来た拓真が見て声を上げる

「カカカ・・・遅い、ぞ、た、ク、マ・・・」

その姿を見とめたホークアイが言葉を絞り出す

「むおおお!!」

バイクから飛び降り、魔王を羽交い絞めにする

「は、放せ救世主!スケベ!馬鹿!」

「うるせぇ!」

どさくさに紛れて罵倒される拓真

「今だズンダ!巻物を使え!そんなモンさっさと封印しちまえ!」

固まっているズンダに檄を飛ばすと

「は、はいぃッ!!」

我に返ったようにズンダは魔方陣に向き直り二本の巻物を紐解く

「や、やめろぉぉっ!」

その様子を見て絶叫する魔王ベルリム

紐解かれた巻物は光の粒子となりズンダの体に吸い込まれていく

そしてかっと目を見開いたズンダはぶつぶつと呪文を詠唱した

「魔方陣、永久封印術!!」

最後にそう叫ぶとズンダの体から光がほとばしる

その場にいた全員が目をつぶる

そして再び目を開けた時、巨大な魔方陣は消え去っていた



次回予告!!

ついに封印なった転移魔方陣!

だが払った犠牲は大きく、拓真達は悲観に暮れる

果たしてこれで世界は救われたのか?

”魔界決戦編 第十三試合 解放された最後の力”

全てを引き換えに得る物は、何だ?!

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