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魔界決戦編 第十試合 最終防衛戦線

団長!その肩書きは伊達ではない!

団長!その言葉の響きは皆を奮い立たせる!

団長!その意味する所はすなわち要である!

団長!今こそ真価を発揮する時!

テンペロスト騎士団団長 サリオ 期待を背負って 今、入場!!

「こ、これは・・・・!?」

拓真たくまは目の前に現れた真っ黒な球体を見て驚愕した

魔王ベルリムの言葉通り、離れの地下には

魔力の塊である球体型の危険物が鎮座していた

だが

それは今にも破裂せんとばかり歪に揺らめいていたのだ

「ま、まずいぞタクマ!今にも爆発しそうだ!」

その場に着いた全員の思いを

宰相ペッスムが声に出して言う

「あぁ、確かにまずいな。だが、コイツをどうにかしなきゃ」

「そうです!皆お終いですぅ!」

拓真の台詞にあわせて魔道士ズンダが声を繋げる

「そ、そう言うからには手立てがあるのだな!?」

ペッスムがズンダに向かって叫ぶ

ズンダはペッスムに顔を向けると

口元をニッっとさせる

「どうにか、しますです!」

そう言うと両手を前に突き出す

「・・・ちょっと・・・いや、かなりでかい魔力ですけど・・・」

小声でそう言うと目を瞑り意識を集中させ始めた

「カイム、外の様子はどうだ?」

魔力爆弾本体をどうにかできそうだと判断した拓真は

外で警戒中の”ミドルオー”操縦士カイムに無線で問いかける

『すまないなタクマ。絶賛戦闘中だ』

雑音と共に帰ってきたのは拓真の想像通りの返答だった


「くっ、ガトリング・アタック!」

カイムが呻きながら操作する

”ミドルオー”の周りには崩壊しかかった離れに飛び込もうと

ガーゴイルの群れが殺到している所だった

魔力爆弾の無効化に尽力している拓真達を邪魔しようとしているのか

形振り構わぬように突進してくる

抜群の火力と殲滅力を持つ”ミドルオー”だが

その火力の源である兵器は無尽蔵と言うわけではない

動力源を他の”三つのシモベ”と同じく空気中に漂う”魔素”を取り込み

活動している訳だが、その精製による火器類の弾丸等は

補充にはある程度の時間を必要としているのだ

「早くそっちを何とかしてくれないと・・・!」

思わず声に出すカイム

「弱音を吐かないで!アナタはそんなにヤワじゃないでしょ!」

隣に座っているカイムの妻ケリスがキッと睨む

初めて聞く最愛の妻の叱責に目を丸くするカイム

「き、キミがそんな・・・」

だがその目に浮かぶ涙を見て、ハッとする

「そ、そうだな。ここを無事乗り切って、先に向かった仲間の所に向かわないとな!」

カイムは盛大なフラグをおったてて

迫り来る敵の群れに再びトリガーを握った



「んぐぐぐぐぐ・・・」

ズンダは真っ黒い魔力爆弾に込められた魔力を吸収しているようだ

「ズンダ、それって全部吸収出来るのか?」

拓真がさすがに心配になって聞いて見る

「んぐっ、ど、どうでしょう・・・?」

何か無理して液体の一気飲みをしている風情なズンダはかろうじてそう答える

最初に見たときは直径が10mはあった球体が

今は3m位にまで小さくなっている

「吸収した魔力がどうなっているのか、凄く気になるが・・・」

取り合えずこの星が爆発する程の魔力は無くなりそうだと拓真は判断し少し安堵する

「後は、向こうに向かった連中か」

拓真は先に転移魔方陣の場所に向かったランチの面々を思い浮かべた




「巨大な魔獣やゴーレムは居ませんね・・・」

「でも、普通に魔族の軍隊ですよね・・・」

「人海戦術、てヤツですか・・・」

炎の3騎士を称する、ミース、セイム、ソーネは

目的地である転移魔方陣があるであろう巨大な門の前に

くさび形に配置されている武装兵をみて呟く

「カカカ・・・彼奴等も手駒が尽きたのであろう」

獣人ホークアイは敵の隊列を見ながら自身の装備を点検する

「そう言う事だな。敵の数は多い。だが、突破出来ない数ではない」

団長サリオも自身の装備を点検し終え腰の剣に手をかける

その身に纏う鎧や武器は”ビッグ・ダイン”のテクノロジーによる

カスタムが加えられ、軽くて丈夫な素材に変更されている

だから、元々の技量が数段アップされている状態だ

「我々は20名足らずの人数で相手はざっと見て100名程だ」

サリオは脱出用ランチにいる全員を見渡す

「だが、戦力的には同等か此方が上だ」

心配そうな顔をしている獣人ティピレッグに気付き

しゃがみ込んでその頭を撫でる

「だから大丈夫。直ぐにタクマ達も来てくれる」

そういって微笑むとティピレッグも少しだけ笑った

「そう言う事だ。我も出させてもらう」

その様子を見ていた元四天王ユウゼスが武装を整える

「・・・信じて、いいのだな?」

立ち上がったサリオがユウゼスに問いかける

どうやらまだ完全に信頼を置いている訳では無い様子だ

「フッ無理も無いか。だが・・・」

ユウゼスはそう言うと腕を突き出す

「今は娘にかけて誓おう。最善を尽くすと!」

その目を覗き込むサリオ

見つめ返すユウゼス

「・・・解った」

先に声を出したのはサリオ

「・・・感謝する」

突き出した腕を握手するような形にして下げるユウゼス

無言でその手を握るサリオ

それを見ていたその場の全員が緊張から解き放たれた

「・・・俺も、出るぞ」

獣人アイゼンレッグがあつらえた装備に身を固めていた所だ

「おいおい、アンタが出たら誰が娘さんを守るんだい?」

ミースが呆れた声でアイゼンレッグを抑えようとする

「む、だがしかし・・・」

「そーそー、後詰も大事なお仕事ですよー?」

反論しようとしたアイゼンレッグに

セイムが自身の装備を確かめながら相槌を打つ

「そう言う訳でパパにはティピちゃんの守りを御願いするわね」

ソーネがしゃがみ込んでティピレッグの頭を撫で付ける

「うん!」

嬉しそうに返事をするティピレッグに全員がほっこりする

「では、総員、打って出るぞ!」

サリオが総括して全員に出陣を促す

全員がおぉ、と雄叫びを上げた

目指すは目の前の巨大な門の中にある転移魔方陣

それを封印する為の魔法の巻物は

今、サリオの装備の中にしまってある・・・




「ぐっぷ・・・・!!」

魔力爆弾が直径1mを切った頃

ついにズンダが嘔吐する様な声をあげて膝を折った

「大丈夫か!?」

拓真がその背中をさする

キラッセも反対側から背中をさする

「え、えぇ・・・もうお腹一杯ですぅ・・・」

顔を上げたズンダの口元からは何故か涎が光っている

ホントに飲み込んでたのか?といぶかしむ拓真

「だがまぁ、この位の大きさなら・・・」

「貴様を巻き込んで爆発させるには丁度いいな!」

拓真の声に合わせて叫ぶ人物

その声の方向を見る

そこには魔族軍大将ローバクウの姿があった

「お前は、確か・・・」

「ローバクウだ!」

名前を絶叫したローバクウは手にした武器を振り上げて高みから飛び降りて来た

「へ、おいでなすったな!」

拓真は臨戦態勢を整えるとローバクウと対峙する

「さっきは不意打ちを喰らったが、今度はそうは行かないぜ?」

拓真は左手を手前に突き出し右手を手前に引いて半身に構える

「フン、武器も無いくせに我と無手で立ち会うとな?」

ローバクウはそう言うと長大な両手剣を片手でぶぅんと振り鳴らした

「・・・細切れにしてくれる!」

そのまま武器を振りかぶると雄叫びを上げて突進して来た

「ふっ!!」

その突進を素早い動きでかわし、がら空きの腹部に蹴りを叩き込む拓真

「ぬぅぅ!?」

その衝撃に振り返り様、唸るローバクウ

「こぉぉぉ・・・」

うろ覚えの空手の息吹をする拓真

この手の猪武者には冷静な対応で充分だ

そう確信した拓真は相手の出方を伺う

「なめるなぁぁぁぁ!!」

怒声をあげて再び襲い来る敵に対し

拓真の頭は冷静だった


「ぬうん!」

先陣を切るユウゼスの武器は軽々と魔族の兵隊を蹴散らす

その背後と左右を囲む敵を切り伏せて騎士団の面々が続く

「さっすが元勇者パーティメン、元四天王!」

「その強さ、顕在ですわね!」

「そこに痺れる、憧れるゥ!」

3騎士の面々が敵の魔族を切り伏せながら声に出す

「カカカ・・・敵にしたら手強かったが味方にしたら頼もしいの!」

ホークアイもなんだかんだ言いながら付いてくる

「はぁっ」「とぅ」「へぁっ」「だーっ」

どこかの巨大異星人みたいな掛け声をあげて他の騎士団員も付いて来ている

敵の数も見た目ほど脅威では無い

このまま目的地の門へ辿り着けそうだ

誰もがそう頭に思い描いた時

目の前に”絶望”が舞い降りた

「あっ」

誰とも無くそう小さな叫び声をあげる

門の前に上空から降り立った人物

魔王ベルリムその人だったのだ

「・・・魔王様・・・いや、カナコ・・・」

先頭にいたユウゼスがその姿を見て動きを止める

「・・・ユウゼス。悲しいぞ・・・」

魔王ベルリムこと、カナコはそう言って暗い顔をした

「カナコ、すまないね。我は魔族でありながら肉親の情に負けたのだ」

ユウゼスはそう言うと手にした武器を振りかぶる

「だから、謝罪はこれまで!押し通る!」

雄叫びをあげて突進するユウゼス

その斬撃が当たると誰もが思った瞬間

魔王の体がその脇をすり抜けて背後に抜ける

「!?」

それを見ていた全員が驚く

一瞬の後、肩口から血飛沫をあげて倒れるユウゼス

「さて、次は誰ぞ?」

薄目でサリオ達を見回す魔王ベルリム

「城塞都市騎士団団長サリオ!お相手いたす!」

サリオが動揺も見せずに魔王の眼前に立つ

「・・・貴様か」

それを一瞥する魔王

周りを囲む魔族の兵達もその場の空気に固まり、ただ見守っているだけだ

「ここでお前を倒せば、全てが終わる!」

手に持った武器を構えるサリオ

対して涼しい顔で腰の長剣の柄に片手を添える魔王ベルリム

「・・・そう思った時期が私にもあった」

「何?」

「フフ・・・肩に力が入りすぎだぞ?」

「むっ!」

対峙した2人の間に火花が散る

じりじりと間合いを詰めるサリオ

それを見守る周りの面々

勝負は一瞬の内に決まりそうだった



「はぁ、はぁ、はぁ、ぐふっ!!」

ローバクウは痛みの走る腹部と脚部を押さえて呻いた

拓真と何度か向き合い交差する度に、何処かしら蹴られるのだ

しかも自分の斬撃は全てかわされる

次第に蓄積した痛みが鈍痛となり、動きを更に鈍くするのだった

「もう止めといた方がいいぞ?」

敵である拓真から情けとも思える言葉が発せられる

元々、武道の心得がある拓真だが

二度目の復活の際、世界管理者機構の”メノン”から身体能力の強化を貰っている

なので、余程の実力差が無い限りこの世界の住人では拓真に勝てないのだ

・・・つまり、ローバクウ程の剛の者でも

まともに拓真と向かい合えば、敵ではなかったのである

「ぬぐぐ・・・!!」

歯を食いしばり、敵意を見せるローバクウ

だが、もはや体が思うように動かない様だ

ガクリと膝を突く

決着が付いたか・・・

一瞬の油断が拓真の緊張を緩めてしまった

その隙を狙っていたかのように、皆の背後の暗闇から影が走る

その影の狙いは、魔道士ズンダ!

殺気に気付いて振り返った拓真

その時にはズンダの背後に長剣を振りかぶった影・・・

魔族軍副将レゾウの凶刃が迫っていた!

「ズンダッ!!」

拓真が叫んだ瞬間、その場に居た全員がその方向を見る

魔力爆弾の魔力を吸収し続けたズンダ

恐らくはその”死”は行き場の無くなった魔力の暴走と同等の効果が得られるはず

直感的にそう悟った拓真は自分の油断を悔いた


全てが終わった・・・そう、思った


その間、ほんの一瞬・・・


だが


その凶刃の前に


立ち塞がって代わりになった人物が、いた


その人物、は・・・



「ペッスム!?」


次回予告!!

次々と散っていく仲間達

ついに魔王と対峙する拓真

果たして世界の命運は!?

”魔界決戦編 第十一試合 救世主 対 魔王”

決着の時、来る!!

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