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魔界決戦編 第八試合 罠

高みに登る為ならば、人に恨まれても構わない

障害を排除する為ならば、どんな手を使おうが臆さない

目的の為ならば、命を賭けても惜しくは無い

そんなアタナに誰がした!

人類最後の砦、宰相ペッスム、正面切って堂々入場!!

「くっ、さすが魔王城!後から後から敵が来る!」

騎士団団長サリオは悪態をつきながらも剣を振るっていた

魔王城正面の城門を”ミドルオー”の攻撃で破壊し

拓真たくまが先陣切って突入した後

上空から”ビッグ・ダイン”で制空権を抑えたまま

タンク・モードに変形した”ミドルオー”を先陣に

騎士団員、ペッスムの私兵団と共に魔王城内に切り込んだのだが

”スモルガー・マークⅡ”で突っ込んでいった拓真の後を追えずに

城門を超えた所の広場で足止めを喰らっていたのだった

「先に行ったタクマさんも心配ですがっ!」

炎の3騎士のミースが豪快に敵を切り倒しながら叫ぶ

「こんな所で足止めをされていたら!」

同じく3騎士のセイムも敵を切り倒す

「転移魔方陣を探せません!」

背後の敵を3騎士のソーネが倒して同意する

「サリオ殿!」

すっかり某国海兵隊と化したペッスムの私兵団リーダー

スームが声をかけてきた

「ここは我々が道を切り開きます!その隙に!」

そう言い残すと他のメンバーと共に手に持ったマシンガンを振り回した

「いくぞぉぉぉ!!!」

おぉ、という掛け声と共に私兵団は

くさび形陣形を取りマシンガンを撃ち始めた

あっと言う間に敵がなぎ倒され視界が開けていく

「済まない!」

サリオは小さく叫ぶと他の騎士団員と共に城内に向けて走り出す

「カカカ・・・無理はされるなよ!」

獣人ホークアイがそう言葉を残し後を追って行く

後に残されたのはマシンガンを撃ちまくる私兵団

そしてタンク・モードの”ミドルオー”だ

『スームさん、あまり無茶はしないように』

”ミドルオー”の搭乗員カイムが拡声器で声をかけてきた

「わかって、ます、よぉ!!」

そう答えつつもスームとその仲間である私兵団は

込み上げる高揚感と使命感で最高の士気に盛り上がっていた

近代兵器の塊の”ミドルオー”と私兵団ではあるが

後から後から押し寄せる敵が

無数のアリの様に彼等に群がっていくのだった



がいん

「ッ!?」

拓真はレーザー・ソードの光の刃を弾いた四天王ヤーンに驚く

どうやら両手の爪はそれに対抗出来るほどに強化されているようだ

「ヤーン・・・そこまでして強化したら・・・」

拓真は彼女が体の負傷に加え過度の強化により

相当消耗しているのでは、と推測した

「余計な、お世話、よッ!!」

その心配そうな声を振り払い無心に両手の爪を振り回す

その刹那的な動きが彼女の終わりが近いのではと想像させる

「もう、よせっ!?ヤーン!」

武道の心得がある拓真ではあるが剣術はさほどでもない

武器の威力で押してきた感がある

つまり加減が利かないのだ

支離滅裂に近い刹那的な攻撃は捌く方にも限界が来ていた

「っぐっふっ!!?」

ヤーンが大きくむせて、口から血を吐いた

やはり前回の戦いの怪我が回復しきって無かったのだ

おまけに手の爪の強化による付加が加わり、素人目にも危機的状況だ

「ぐぐぐ・・・」

口から溢れ出る血液を片手で押さえ身体を震わせるヤーン

「・・・」

それを悲しそうな目で見つめる拓真

ヤーンは拓真の乗って来た”スモルガー・マークⅡ”へと向きを変える

そしてよたよたと歩き始める

「・・・ヤーン?」

拓真がいぶかしむ

「せめ・・て・・・貴様にも・・・同じ・・・」

狙いはどうやら同乗してきたキラッセのようだった

それに気付いたキラッセはシートの上で怯えた表情を作る

「ひっ・・・!」

ヤーンの形相は凄まじいモノだったのだろう

キラッセは動けなくなっていた

「よせッ!!」

一瞬の出来事でシート上のキラッセにヤーンが踊りかかった瞬間

拓真の手からレーザー・ソードが投げられヤーンの背中に突き刺さった

「ふぐぅっ!!」

寸での所でヤーンの動きが止まり

その手の爪はキラッセの目の前で止まっていた

胸からはレーザー・ソードの刃が突き出ていた

ふらふらと”スモルガー・マークⅡ”から離れるヤーン

「ふふ・・・この、武器は、貰っていくわ、よ・・・」

拓真に向けて笑みを浮かべるとヤーンはレーザーの刃をその手で掴んだ

じゅうじゅうと掌が焦げる音がしたが、もはや関係ないようだ

「ヨーディ・・・いま、いく、わ・・・」

そのまま陸橋の端ににじり寄るとそこからそのまま倒れこむ

「あっ」「ヤーン!」

キラッセと拓真が同時に叫ぶ

倒れこんだヤーンはそのまま陸橋から下の谷底に落ちていった

陸橋の端に近寄った拓真はその表情を見たが

遠すぎてよく解らなかった

「・・・タクマ・・・」

ヤーンの落ちて行った谷底を見つめたままの拓真にキラッセが声をかける

「・・・あぁ、解っている」

この先には恐らく魔王ベルリムが居るのだろう

手持ち武器が無くなってしまったが戦う術が無い訳ではない

無言でキラッセの元に戻った拓真は”スモルガー・マークⅡ”に跨る

「行こう」

短くキラッセに告げるとエンジンをスタートさせる

アクセルを握る拓真はやるせない思いで一杯だった



どかーーん

ロボット・モードに変形した”スモルガー・マークⅡ”が重い扉を蹴破る

広いスペースの中央に長い階段があり

その頂点に置かれた立派な椅子に座る人物

「魔王!」

叫ぶ拓真

かなりの距離があるが声が良く通る

「遅かったな、転生者。いや・・・タクマ!」

その洗練された容姿に似合う透き通った、それでいて張りのある声で

魔王ベルリムことカナコは拓真の名を呼んだ

「道が混んでてね!でもまぁ時間指定は無かっただろ?」

何時もの憎まれ口を叩きつつ

”スモルガー・マークⅡ”から拓真は降り立った

その身体はモトクロッサー風なプロテクターに包まれていた

レーザー・ソードを失った拓真は無手で挑む決心をしたのだ

「フッフフ・・・自慢のレーザー剣はどうした?」

その姿を見てほくそ笑む魔王ベルリム

「フ・・・お宅の配下のヤーンにね、プレゼントしたのさ」

「ほう?」

「しらばっくれちゃって・・・相当、欲しがってたぜ?」

つかつかと、正面の階段を上る拓真

「そうか。ようやく彼女も務めを果たしたという訳か」

「それがアンタに恭順を誓った仲間に向ける言葉かよ!」

魔王の言い草にやや怒りを滲ませて拓真が詰め寄る

階段の中ほどを登りきった時、突然影から何者かが現れる

「む?」

「魔族軍大将、ローバクウ推参!!」

影から現れた人物はそう名乗りを上げると大剣を振るい襲い掛かってきた

「ぐがっ!!」

その大剣を柄の所で両手のプロテクターで受け止める拓真

体格差と距離により丁度懐に入り込む形に成ったのが良かったのか

力押しでくるローバクウの斬撃を受け止め続ける

「ふふ、タクマよ、良い事を教えてやろう」

魔王はそう言うと椅子から立ち上がる

「下の谷底はな、この星の核へと繋がっている」

「!?そ、それがどうしたってんだぁ?」

言葉の意味が解らず、聞き返す拓真

「この離れの建物、実は我が魔力が詰まった爆弾にしてあるのだよ?」

「ばくだん、だと・・・?」

「そう、爆弾だ。この星を消し飛ばす程の、な?」

「どういう、いみ、だ?」

「まだ解らぬか?」

「ま、まさか・・・・!?」

ようやく言葉の意味を理解した拓真が驚く

「そう!もはや面倒!全てをこの星と共に消し去ってくれる!!」

魔王ベルリムはそう叫ぶと高笑いを始めた

「我が此処を出てから10分程でこの離れは崩落を始める」

そう言うとふわりと浮かび上がり天窓に向かって飛んでいく

「精々、そこで最後の足掻きをするのだな?」

最後の言葉にエコーをかけ、魔王ベルリムはそのまま飛び去って行ってしまった

その姿を目で追いつつ拓真は驚愕した

外から見たこの離れの建物は、少なく見積もっても

某レジャーランドのお城並みの大きさはあったと思われる

そんなものが魔力のつまった爆弾、とは・・・

しかも星の核に直撃

どう考えても最悪の結果しか思い浮かばなかった

「お、おぃィ!?ローバクウとか言ったか!」

「なんだ!!」

「このままじゃ、お前も道連れだぞ!」

「元よりその所存!!」

ダメだこりゃ。拓真は目の前の大将ローバクウの説得を諦める

兎に角、今はコイツを何とかしなくては・・・

そう考えていた時

「タクマッ!!」

後から突入して来たサリオら騎士団員達だ

蹴破った扉から、わらわらと突入して来た

サリオが先陣切って抜刀しローバクウに斬りかかる

「ぬぐっ!」

押し込んで拓真の動きを止めていたローバクウであったが

切り込んできたサリオの斬撃を受けるべくその場を離れる

「タクマさん!」「タクマ!!」「カカカ!!」

ローバクウに斬りかかって行ったサリオを除き

3騎士のセイムとミース、そして獣人ホークアイが側に駆け寄る

「話は後だ!”ビッグ・ダイン”に連絡を!」

圧力から開放された拓真は急ぎ、そう告げる

”スモルガー・マークⅡ”の通信機を入れるとすぐさま

”ビッグ・ダイン”を呼び出す


「なんだ?」

城門広場でマシンガン片手に敵を蹴散らしていた私兵団は

急に響きだした地鳴りに気を取られる

そしてひび割れ始めた地面に次々と飲み込まれていく敵を見て驚く

「わわッ!?」

スーム達私兵団は驚きつつも素早く”ミドルオー”にしがみつく

”ミドルオー”はタンク・モードからフライト・モードへ変形した

上昇する”ミドルオー”の眼下には崩れ落ちる魔王城が見える

「どういうことだ・・・?」

その光景に息を呑む


「そう言うわけだ。急いで俺達を回収してくれ!」

拓真の無線に”ビッグ・ダイン”のペッスムが応答する

『了解した。こちらもたった今、魔王城の崩落を確認した』

無線の向こうからペッスムの緊迫した声が聞こえる

「くそっ、それじゃここには転移魔方陣は無かったって事か?」

事前に魔族四天王だったユウゼスの証言や魔道士ズンダの話から

転移魔方陣はてっきり魔王城にあるものと思い込んでいたのだが

どうやら魔王城ではない所に封印すべき魔方陣があるらしい

「それよりもどうする?これだけの質量を持つ物体をどうする?」

拓真の頭の中はその事でいっぱいだった

「っく、タクマ、無事か?」

ローバクウと切り結んでいたサリオが戻って来た

「ローバクウは?」

拓真がサリオに相手にしていた人物の名を尋ねる

「ローバクウ?そういう名前だったか。すまぬ、逃げられた」

申し訳無さそうに答えるサリオに拓真はわかった、と答える

それよりも、だ

「コイツを”ビッグ・ダイン”で受け止めるしか・・・」

そこまで考えて拓真はハッとした

まさか、最初からそれが狙いで・・・

拓真最大の武器である”三つのシモベ”

そのひとつが今、失われようとしていた・・・

次回予告!!

魔王の罠により拓真の最大の武器”三つのシモベ”

”ビッグ・ダイン”喪失の危機!!

だが、事はそれだけでは収まらず・・・

”魔界決戦編 第九試合 英雄”

犠牲の上に並び立つ、そんなモノがそう呼ばれるのか?!

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