魔界決戦編 第一試合 魔界に住むモノ
魔界風吹き荒ぶ大地に現れた地上世界からの使者
見よ!これが世界を救う救世主の姿だ!
異世界よりの救世主、斉藤拓真入場!!
「どうだピグロン、見当は付くか?」
拓真は少々イラついていた
目指す魔界に到着し、いよいよ目的の
”魔方陣封印”を成し遂げようとしたのだが
頼みの魔力探知機には沢山の反応が現れて
本命が全く判らないという状況に陥ってしまったのだ
その為に拓真は”ミドルオー”に周囲の捜索をする為
数人のメンバーを選出し出立させていた
現在は報告待ちといった状況だ
『すみませン。現状で判断するにハ情報が少なすぎまス』
案内ロボット”ピグロン”は申し訳無さそうに返答する
「情報、ねぇ」
拓真は大型モニターに映し出された魔力反応のあるマップを見る
現在地”ビッグ・ダイン”のいる中心部から放射線状に
大小合わせて200以上の赤い反応点が映し出されている
「兎に角、一番大きい反応から消していくしかなかろう?」
横から口を出したのはテンペロスト騎士団団長”サリオ”だ
胸元までかかる金髪のストレートヘアーが麗しい
「一番近くて一番大きい反応だろ?」
更に口を挟んできたのは閃光の異名を名乗る”キラッセ”だ
紅いショートヘアーがボーイッシュだ。言葉遣いを直して欲しい
「マップで言う所のこの点だな。現在私の兵が出張って偵察しておる」
偉そうに口を挟んだのはテンペロスト宰相”ペッスム”だ
茶色い天然パーマの抜け目ない男だ。今は仲間ぽいが以前は敵対もしていた
「兵が出ているのは騎士団もだ。その反対側の偵察に行ったぜ」
負けじと口を挟んだのは、炎の3騎士爆炎の”ミース”だ
キラッセと同じ髪色だがこちらはセミロングだ。間違えない様に
「偵察に出ているのは5名編成の2部隊ですが、すでに報告が上がっています」
続くのは勿論、炎の3騎士焦熱の”セイム”だ
銀髪のショートヘアーが印象的な細身の美人さんだ
「偵察出来たのは大小合わせて4箇所だ。魔力の源はダミーらしい」
結果報告してきたのは炎の3騎士煉獄の”ソーネ”さん
黒髪のロングが似合う。拓真とは城塞都市編でちょっとだけ付き合いが長い
「つまりどういうことだ?」
全員の話を聞き終えた拓真が誰ともなしに聞く
「ペッスム殿の部隊の報告待ちという事だ」
サリオが纏めると全員がうんうんと頷く
当のペッスムは全員の視線を受けると少しだけむっとして
「問題ない。私の選んだ私兵達だ。きっと成果をあげて来る」
そう言うとすでに組んでいた腕をぐいと組みなおしモニターを睨んだ
「人が・・・いや、魔族が沢山いるな」
SFチックな双眼鏡から目を離してそう呟いたのは
ペッスムの私兵団のリーダー”スーム”だ
「ですがリーダー、魔方陣らしき物が発見出来ません」
配下の者がそう報告する
「外側からだけでは判り難いが・・・魔族に直接接触は避けたい」
迂闊に中の調査が出来ない状況だ
「だが、この携帯魔力検知器の数値を見ろ」
小型の如何わしい計測器のメーターは振り切っている
「このポイントは最重要箇所として報告するべきだ」
スームはそう言うと小型の無線機に手を伸ばした
ペッスムの私兵団から連絡を受けた拓真達は
”ビッグ・ダイン”を出発し、現地で合流した
「さて、どうやってあそこに潜入して情報を得るかね」
ペッスムの私兵が捜索していた集落・・・
そう呼ぶには大きな”町”を見つめ拓真は思案する
魔界では攻めてくる相手が居ないのだろうか
周囲には防壁や柵などが存在しなかった
「こうして見るとなんと安全な所に住んでいるんだと言う感じだな」
少しおどけた感じで言葉にした拓真だが
拓真の背後に潜んでいるメンバー全員の表情は硬い
「んー・・・」
その様子を見て拓真は再び町に目を向ける
無理も無いか、と拓真は考える
地上世界、人族の住む世界は同じ人族同士での争いに加え
常に魔族の脅威や、何時襲い繰るかも知れぬ魔獣等の脅威もあるのだ
そんな世界の住人からしたら元凶であるはずの魔界の住人の
安穏たる生活振りが、苛立ちを募らせるのだろう
「とは言え・・・いきなり武装して攻め入るってのもな」
道行く魔族の顔立ちがなんとなく覇気が無いのも気になる
「考え込んだって仕方ねぇ」
拓真は隠れていた場所から身を翻すと姿を見せる
「当たって砕けろ、だ」
そう宣言すると1人、づかづかと町に向かって歩き出した
「ちょ」「タクマッ」「待ってって」「えーっ」
背後で小声で騒ぐ声が聞こえたが無視する
一番手前に歩いて来た魔族の1人に的を絞ると拓真は声をかけた
「やぁ!ハウ・ドゥー・ユー・デュー?」
片手を挙げて嘘くさいカタコト英語で話しかける
声をかけられた魔族はその顔を拓真に向ける
と
みるみる柔和だったその顔は悪鬼の形相に変わる
「ぐぎゃぁああああああああああああ」
突然大声で咆哮すると背中から翼を展開し、飛び立ってしまった
「んなっ?!」
突然の豹変に拓真が驚く
その咆哮に呼応するように町のあちこちで奇声が上がる
ぐぎゃあぐぎゃあと咆哮があがると
町の建物の上空に背中から翼を展開した魔族が一斉に飛翔した
「うぉっ?!」
その数に拓真が驚くと同時に
上空に飛翔した魔族達が一斉に小さな魔方陣を展開し魔法攻撃をしてきた
「うわっとっとぉ!」
幾多の魔法攻撃による光弾や火炎弾、石弾や電気弾、風弾等をバックステップでかわす
攻撃から身をかわしながら仲間の潜んでいる地帯へ下がる拓真
「くっそ、そういうことか!?」
魔族の住む町に防壁等が存在しない理由・・・
何かあれば一斉に敵を攻撃出来るという自負からか
はたまた元々魔族全体が交戦的な種族だからか
「守る必要が無いってことか?」
悪態をつきながら仲間の陣地に逃げ込んだ拓真
「だからいきなりそういう事をするなと!」
サリオがいきり立って拓真を責める
「ははは、わりぃわりぃ・・・」
ここに至っては謝るしかない
しかし魔族の群れが飛翔しながら迫ってきている
「ここは我々にお任せ願おう」
そう言って立ち上がったのはペッスムの私兵団
リーダーのスームはどこぞの傭兵よろしく頭にバンダナ、ランニング姿だ
その両手にはどでかいマシンガンが握られている
”ビッグ・ダイン”の工場で生産された武器である
「総員、構え!」
押し寄せる魔族の群れに対し、ペッスム私兵団10人が居並ぶ
その出で立ちは全員がベトナム帰りの傭兵風だ
「てぇ!」
スームの掛け声と共に10名のマシンガンが火を噴く
だかだかだかだかだかだか
機械音が響き渡り、飛翔していた魔族がゲームキャラみたいに撃ち落されていく
「はーっははははははははははは!」
スームはその快感に支配されてちょっとイっちゃってる
よく見ると他のメンバーも似た様なものだった
10人のラ○ボーやらコマ○ドーもどきにあらかた魔族が打ち落とされた頃
マシンガンの弾倉が空になった
「はーっはーっはーっはーっ」
流石に息を切らせてぜいぜい言っているスームの肩をぽんと拓真は叩く
「お疲れさん」
「ど、どうも・・・」
そういうとスーム以下全員が地面にへたり込んだ
撃ち落された魔族の死体を拓真は近づいて調べる
「こ、これは・・・・」
死体を調べた拓真は驚愕した
「どうした?」
「どうかしたの?」
サリオとキラッセが背後から声をかける
「こいつは・・・いや、こいつらはゴーレムだ」
「え?」「なんですって?」「なんと!」
拓真は地面に転がった魔族の死体を足でつつく
見るとすでにそれは只の土塊になっていた
「この数が、全てゴーレムだというのか・・・」
無駄な殺生をしてしまったな、と後悔していた拓真であったが
倒した相手がゴーレムだと判ると少しだけほっとした
「となるとこの地の魔力反応はダミーか」
そう呟くと拓真は町の方を見る
「兎に角、魔力反応の元へ向かって見よう」
サリオが気を取り直し移動を促す
「そうだな」
同意した拓真は
力を使い果たしてへたり込んでいたペッスムの私兵団を引き起こし
後続についていた他のメンバー
ミース、セイム、ソーネ等と共に
町の中へと進んでいった
町の中央と思わしき場所、そこに目的地があった
というか、目的の物だ
2メートルはあろうかという巨大な、赤い水晶がそこにはあった
どうやら水晶自体が魔力を放出しているらしい
「来たな、異世界からの転生者よ」
水晶の前に1人の魔族が立っていた
「罠を張って待っていたのか。ご苦労な事だな」
拓真が何時もの調子で挑発する
「まずは名乗ろう。魔族軍が1人シブルだ」
「魔族軍、か。肩書きはそれだけか」
「将軍様や四天王様等と肩を並べる程強くはない」
「へぇ、謙虚だね。ゴーレムを操っていたのは貴様か?」
「いかにも。200体は用意したのだが随分とあっさり片付けたようだな」
「仲間が優秀なもんでね?」
2人の間に妙な緊張が走る
「んで、背中にあるでかい水晶はなんだい?」
「これか?貴様等を惑わせる為に魔王様がお作りになったものだ」
「ちぇ、まーた魔王のヤツの差し金かよ」
拓真は頭を掻く
「取り合えずまぁ」
一呼吸おいて拓真は腰のレーザーソードの柄を取り出す
ぶぅん
青白い光の剣がその手に光る
「そいつはぶっ壊させてもらうぜ?」
「ほう、破壊すると魔力放出が収まると知っての事か?」
「ふふふ、そいつぁ知らなかったな?」
「ぬぐ・・・!謀ったな!?」
勝手に秘密をバラしたシブルはわなわなと震えている
拓真の周りにはマシンガンに新たな弾倉を装填した私兵団が並ぶ
サリオ以下、3騎士も武器を構えている
「ぐぬぅ・・・魔王様より預かったっこの水晶、やすやすと破壊される訳には!」
魔族のシブルは頑張ったが多勢に無勢、あっと言う間に組み伏せられ
でっかい水晶は拓真のレーザーソードで破壊された
ばきん
見事に砕け散った水晶を見取ったシブルは涙目だ
「魔王様・・・申し訳ありませぬ・・・」
そんなシブルを横目で見ながら拓真は砕け散った水晶の破片を拾い上げる
「この水晶、同じ波長を選んで削除すれば、検索は随分と絞られるな」
そう呟くとその破片を持ち帰る事にする
「それで、この魔族はどうする?」
サリオが手際よくシブルを縄で拘束している
「んー、そうだな。こうしようか」
拓真はニヤリと笑いながらシブルに近づく・・・
「おのれ~~~~!転生者ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
砕け散った水晶の破片が散乱する中央に
逆さ貼り付けにされたシブルが叫ぶ
果たして彼はこの状況から逃れる事が出来るのであろうか・・・
「さてと、これで各地に散乱しているダミーの魔力反応を避ける事が出来るな」
”ビッグ・ダイン”に戻った拓真達一行は
持ち帰った水晶の破片を細かく調べ
同じ波長の魔力を除外する作業に着手していた
『ハイ。この水晶の放つ魔力と同じ波動を除外する手筈は整えてありまス』
案内ロボット”ピグロン”が頭部の電飾を点滅させながら報告する
「よっしゃ、絞られた場所を”ミドルオー”の連中に教えてやれ」
拓真はピグロンにそう告げると操船室の椅子にどっかと座り込んだ
「待ってろよ・・・早々にお前等の企み、打ち砕いてやる!」
拓真はそう呟くと両手をぱしん、と打ち付けた
その目は正面の大型モニターに映る
赤い魔力反応の場所に向けて、だ・・・
次回予告!!
魔王の仕掛けた罠を回避し目的地の目処を付けた拓真達一行!
だが、その場所に到達するのは一筋縄では行きそうに無い・・・
”魔界決戦編 第二試合 魔界の掟”
この試合で君もヒートアップ!!




