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旅情編 第十五幕 約束の地

~前回までのあらすじぃ~

”真龍”オキの理解を得てついに地下世界”魔界”への入り口へ突入する拓真達一行

その向かう先に待つのは・・・

拓真たくまの操縦する”ビッグ・ダイン”は静かに降下を続けていた

その巨体にも関わらず(人型時:約450m)動作が静かだ

半重力エンジンによる動作音の低減が主な理由だ

敢えて戦艦モードにせずに人型のままでいるのは

”真龍”オキの助言による反転現象への対応の為だ

「静かだね」

キラッセが岩肌だけのモニター表示を見ながら呟く

「ああ」

拓真が受け答える

それ以上会話が続かず、操船室内は静寂が支配する

「見えたぞ。あれが入り口だ」

拓真が足元に広がる溶岩だまりの中央に開いた火口を指差す

全員がモニターに映るその光景を食い入るように見る

「なんか、真っ暗だね。中・・・」

キラッセが不安そうに呟く

「不安か?」

拓真が口数の多くなったキラッセに答える

「うん・・・真っ暗闇は、怖いよ」

素直に感想を述べるキラッセ

「そうか・・・」

拓真も暗闇は好きな方ではない。だが皆の手前、弱気な所は見せない

「多少エネルギーを喰うが、全身発光しながらいくか!」

拓真はそう言うと、パネルのスイッチを押す

”ビッグ・ダイン”の全身の発光体が点灯し、周囲を照らし出す

モニターには足元の映像が出ているが中央の穴は底が見えない

「カカカ・・・当たり前じゃが岩肌しか見えんの」

ホークアイがわざと陽気に声を出す

「そうだな。岩岩岩、ばっかりだな」

”ミドルオー”から操船室に戻って来たカイムもそれに同調する

「あれじゃ、ダンジョンの奥へ入って行く感覚じゃの」

コーディも勤めて明るく場を繋げる

「フッ、冒険心。それはどの世代でも常に熱く、胸の内にあるもの」

ペッスムまでが似合わない事を口にする

・・・拓真は分かっていた

会話しているのが全員”男”だけであると

寡黙なアイゼンレッグは除外するとして

普段口数の多い女性陣が全員だんまりなのだ

「それじゃぁダンジョン攻略といきますかぁ」

締めに拓真が陽気に声を上げる

「おう」「おー」「おうじゃ」「おぉ」「カカー」

男ばかりが気勢を上げて

”ビッグ・ダイン”は降下を続けていく



時間にして半日は経っただろうか

あまりにも静かに時が過ぎる中

操船室内はゆるい雰囲気になっていた

突入当初は緊張していた面々も

今は手元に飲み物や軽食等を抱えつつ

思い思いに時を過ごしていた

「ピグロン、計算では後どれ位かかるんだ?」

さすがに拓真が確認を取る

『計算ではもう直ぐ到着の予定なのですガ』

「曖昧だな。正確には後何分だ?」

『1分』

「なにッ!!!」

その音声を聞いて途端に操船室内が慌しくなる

「ちょ」「待って待って」「おいおい」「幾等なんでも」「急すぎるだろッ」

全員が声を発しながら席について身の回りを整理していると

ごごごんっ

という振動と共に”ビッグ・ダイン”が揺らめいた

「わ」「きゃ」「ぷお」「ひゃぃ」「おぉ」「んぐっ」「カー」

全員が悲鳴とも奇声とも判らない声を上げる中

反転現象が起きた

眩暈がする程の重力の逆転

あっと言う間に全員の荷物類が天井に叩き付けられる

「ぐぉ!?これは思ったより!!」

拓真が呻く

「んっ」「ふぅっ」「くっ」「がっ」「ぐぬ」「カー」

急に頭の上に重力が移動した影響で全員が呻く

逆立ちを途中の経過無しでいきなりしたようなモノである

座席のシートベルトのお陰で、天井に激突するメンバーは居なかったが

反転現象の影響は強烈だった

見ると全員の髪の毛が逆立っている

「ぷっ」

落ち着いてみると結構面白い

冷静さを取り戻しつつあった拓真は思わず吹いてしまった

「!!!!!!!!!!」

全員が1人吹き出した拓真に非難の視線を浴びせかける

「うぅっ、み、皆、向きを変えるぞ!!」

一斉に来た視線を振り払い、拓真は操縦桿を握り直す

「ピ、ピグロン、スマンが天井の掃除を頼む」

『了解しましタ』

ピグロンだけが現在の所、味方のようである



向きを変えた”ビッグ・ダイン”は今は上昇していた

そして頭上に光を感じたのは反転現象のすぐ後であった

「出口だ」

拓真はそう口にすると上を見上げる

目に眩しい光を受けて一瞬視界がぼやける

思わず目を瞑り、そしてゆっくりと開けると・・・

「こ、これは・・・・」

”ビッグ・ダイン”が飛び出したのは奇しくも大きな山脈の火口からであった

そして眼下に広がる光景は・・・

想像していた荒涼とした大地、では無く

草木生い茂り花香る

と言った表現が当て嵌まる風景が広がっていた

例えるなら、アルプス山脈の大自然

違うのは空がうっすら赤いという事位か

「緑がある・・・」

キラッセが真っ先に声を上げる

「本当だ・・・」

サリオも驚いている

「空だけが赤い、ね」

「あそこ見て、川が流れている」

「なんで明るいのかしら」

ミース、セイム、ソーネの3人はそれぞれ感想を言い合っている

「カカカ、タクマよ、ここは本当に地下世界”魔界”なのであろうか?」

ホークアイが怪訝そうに聞いてくる

「かろうじて空が赤いから、我々の世界と違うのだという事は理解出来るが」

ペッスムが代わりに答えている

「とうちゃん」

「んむ」

ティピレッグが不安そうに父親のアイゼンレッグに寄り添っている

全員が眼下に広がる景色に戸惑っていると

『魔力反応探知!何かが転移してきまス』

ピグロンが警報を鳴らす

「お出迎えらしい!」

拓真がシートから飛び上がる

「ピグロン、外に出ても問題ないな?」

『計測では大気中の成分に問題はありませン』

「よっしゃ」

その声に答えると拓真は走り出した

「あ、待ってタクマ!」

キラッセも後を追う

「俺達も行こう!」

「えぇ!」

カイムが横に座っていたケリスを促して席を立つ

拓真とキラッセは”スモルガー・マークⅡ”に

カイムとケリスは”ミドルオー”にそれぞれ乗り込んだ

「しゃ、マークⅡ、出るぜ!」

見晴らしのいい草原に降り立った”ビッグ・ダイン”

その脚部の一部が開き”スモルガー・マークⅡ”が飛び出す

腹部の一部が開き”ミドルオー”も空中に飛翔した

それと同時に”ビッグ・ダイン”の前方に魔方陣が展開される

その光の中から全身をマントで覆った人物が現れる

その顔は、魔族四天王の1人”ラーセルス”

別名、四天王の中で最弱と呼ばれる男



声が届く位置に対峙した拓真とラーセルス

「くっくっく・・・ついに来たか、タクマ」

先に声を出したのはラーセルス

「あ、アイツ!ラーセルスとかってヤツだ!」

背後のキラッセが指差す

「よく俺達が来るのが分かったな?」

拓真がラーセルスに向かって答える

「貴様達の今までの行動は此方が全て把握済みだ」

「そうか」

「その余裕ぶった態度も今日限りだ!」

「ほう、ちょっと見ない間に随分と自信がついたな?」

お互いがお互いを探り合う

「くっく、俺が1人で此処に来たと思ったか!」

ラーセルスが全身を覆うマントから片手を出して掲げる

それを合図にラーセルスの周りに無数の魔方陣が展開される

その中からは無数のモンスター、見慣れない異形のモノ達が現れる

「くくく、大将ローバクウ様からお借りしたゴーレム軍団だ!」

見ると、城塞都市テンペロスト決戦で見た石像ぽいのが混じっている

「ソレだけではない!今回の魔獣は」

ラーセルスがマントを脱ぎ去る

「魔王ベルリム様の作られた物だ!」

「なんだと!?」

よくよく見ると見慣れない魔獣らしきものは

拓真の世界では見慣れたマンガ等のキャラクター達

それらが闇落ちしたらこうなるかな?といった風情の怪物化したものだ

「なんか、よく見ると元はカワイイ、のかな?」

キラッセが見慣れない魔獣を観察して呟く

「ちょ・・・これって版権的に、どう、なんだ?」

「はん・・?何を意味の解らない事を言っている!行くぞ!」

「む、無視かよ!」

咆哮を上げて突進してくる魔獣軍団を迎え撃つ拓真

「チェンジ・マークⅡ!ロボット・モード!」

掛け声と共にがきがきん、と変形し人型になった”スモルガー・マークⅡ”

突進してきたゆるきゃらモドキにカウンターパンチを喰らわす

「くっそ!これ絶対に狙ってるだろ!!」

次々と襲い来る魔王ベルリムデザインの魔獣ゴーレム

どれもこれも拓真にとっては馴染み深い姿形だ

空中では”ミドルオー”が飛行形態の魔獣と空中戦を開始している

奥では無謀にも”ビッグ・ダイン”に取り付こうと幾多の魔獣が突進している

「はははは!行くぞタクマァァァァァァッ!!」

マントを脱いだラーセルスは見慣れない鎧を全身に装備していた

どこぞの格闘家よろしく、はぁぁぁと息吹を上げるラーセルス

すると全身を覆っていた鎧が発光を始める

そのままラーセルスの全身は肥大化を始め、頭部を鎧が覆い隠す

肥大化したラーセルスは身長6メートル程になった!

”スモルガー・マークⅡ”と同等の背格好だ

『グハハハ!ジネ!ダグマァァァァ!!』

くぐもった声を発し巨人鎧戦士となったラーセルスが突進してきた

「野郎!これが自信の源か!」

受けて立つ拓真

肩の突起で拓真の乗る”スモルガー・マークⅡ”に攻撃を仕掛けてきた

それを喰らわないように両手で突進を受ける

がっしぃぃぃぃん

鎧の金属とマークⅡの豪腕の金属が激しく音を立てる

『ヂィィ』

すぐさまラーセルスは身体を起こし右手でパンチを繰り出そうとする

「っとぉ!」

拓真はラーセルスの踏み出した前足に足払いをかけて崩す

『グヌッ!?』

バランスを失ったラーセルスはそのまま傾く

それと同時に拓真の操作によりマークⅡの膝蹴りがラーセルスの顔面を打ち抜く

『グッハァァ!!』

がっごぉぉん

と音を立ててラーセルスが吹き飛ぶ

そのままの勢いでラーセルスは仰向けになり地面に倒れた

どっずぅぅぅん

かなりの重量だったようで地面の振動が凄い

「やったぁ!」

キラッセが拓真の背後で嬌声を上げる

それを軽く含み笑いで受けた拓真はしかし、油断せずに様子を伺う

『グヌヌヌ・・・サスガ・・・』

起き上がったラーセルスは顔面の鎧の隙間からぼとぼとと液体をこぼす

『ダガ、キョウハコテジラベ!』

そう宣言すると頭上に新たな魔方陣が現れる

そこから無数の火の玉、ファイアー・ボールが飛び出して辺り一面に弾幕を張る

あっと言う間に爆炎が上がる

「むっ」

それらに警戒し拓真が構える

爆炎が収まるとあれだけ居た魔獣達も姿を消していた

「逃げたか・・・」

拓真が呟くと周囲に声だけが響き渡ってきた

『グハハハ!オッテコイ!ギザマニ、シヲ!!』

ラーセルスの捨て台詞だ

恐らくこの地の何処かに目指す魔方陣が展開されている場所があるのだろう

そして相手もそれを知っている

「言われなくても行くさ!待ってろ!」

拓真がコックピット内で吼える


”スモルガー・マークⅡ”

”ミドルオー”

”ビッグ・ダイン”

地下世界・・・”魔界”と呼ばれるその大地に

戦闘の後とは思えないそよ風を受けて

3体のシモベは立ち尽くしていた



次回予告!!

魔界に降り立った拓真達一行。魔力反応が多すぎて魔方陣の位置が特定出来ない!

そんな中、魔族の住む町を発見するのだが・・・!?

”魔界決戦編 第一試合 魔界に住むモノ”

この試合を見逃すな!!

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