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旅情編 第十三幕 世界の終わり

~前回までのあらすじぃ~

ウルトゥラ山脈を登り、魔界の穴を目指した拓真達一行。だがそこに待ち受けていたのは魔族軍四天王のユウゼス。案内役の獣人アイゼンレッグの人妻であることが発覚した彼女は、山脈の主”真龍”を目覚めさせてしまっていた・・・

ぐおごごごごごごごごごご

ウルトゥラ山脈の上空に羽ばたくフロストドラゴンこと”真龍”は

唸り声を上げて山肌を睨んでいた

「・・・なんだ?山肌に何かあるのか」

拓真たくまは”真龍”の視線の先を探る

どうやら魔族四天王ユウゼスの配下の者が蠢いているようだ

「アイツら・・・!」

獣人アイゼンレッグがその様子を見て憤慨している

どうやら先んじて”真龍”の住処に向かっていた魔族の配下は

なにがしかの手段を講じて”真龍”を怒らせ、飛翔させたようである

「ああなっちまったら、もう大人しくはならんのか?」

拓真がアイゼンレッグに問いただす

「恐らく無理だろう。先程吹き飛ばした山間に”真龍”の住処があった筈だ」

「自分で自分の住処を吹き飛ばしたのか」

「もうそこには戻らないという意思表示だ」

「マジか・・・」

アイゼンレッグの説明に拓真は呆然とする

体長300メートル級の空飛ぶ怪獣がこのまま暴れまわったら・・・

想像するだに恐ろしい

「しかたねぇ、”ビッグ・ダイン”の出番だな」

拓真は懐から通信機を取り出す

・・・シモベは拓真と精神的な部分で繋がっている為、実は必要ないのだが・・・

「一応、中にはペッスムとか炎の3騎士とか、人がいっぱい乗ってるしな!」

誰に聞かせる訳でもなく呟いた拓真は通信機に話しかける

「ペッスム、聞こえているか!直ぐに山頂に来てくれ」

通信機からペッスムの声が聞こえる

『了解した。直ぐそちらに向かう』

今やすっかり”ビッグ・ダイン”の艦長ぶりが板についてきた

「カイム、聞こえるか?先行して”ミドルオー”の発進も頼む」

『解った!ミドルオー発進する』

カイムの威勢のいい声が無線機から流れる

「ミドルオーに牽制してもらう間に俺達も”ビッグ・ダイン”に乗り込むぞ」

拓真は無線機を仕舞いながら、背後を振り向く

「うむ」「わかった!」「カカカ」

サリオ、キラッセ、ホークアイはそれぞれ応じる

「アイゼンレッグ、お前さんと娘さんも一緒に来てくれ」

「わ、わかった」

拓真達の行動に面食らっていたアイゼンレッグはその問いかけに応じた

「さて・・・あんな奴を”ビッグ・ダイン”で抑え込めるかどうか、か」

上空に羽ばたき続けて時折眼下に攻撃をする”真龍”を見つめる拓真

「そういや、崩れ落ちた洞窟に残ったユウゼスはどうなったかな」

サリオが入口のふさがった洞窟を見ながら呟く

「カカカ・・・恐らくは反対側から逃げているであろう」

「そうそう、あの人結構頑丈そうだしね!」

ホークアイとキラッセが務めて明るく話す

むろん、それはアイゼンレッグと娘のティピレッグに気を使ってだ

魔族四天王として見る場合は、若干複雑な気持ちなのだが・・・



”ミドルオー”を”真龍”を刺激しない様に、周囲に配置させた拓真は

追って到着した”ビッグ・ダイン”に、トラクター・ビームで吸引搭乗する

突如傍に現れた、自身と同等の巨躯を誇る”ビッグ・ダイン”に警戒する”真龍”

だが、未だに山脈付近から魔族の牽制があるらしく、交互に気を逸らされている

「こっちに気が向いてないのなら好都合だ、今の内に対策を練るぞ」

拓真は”ビッグ・ダイン”の操船室に向かいながらサリオ達に話す

「対策といっても、一体全体、どうするんだ?」

サリオが疑問をぶつけてくる

「うーーん」

悩みながらも拓真達は操船室に入る

「来たか、タクマ。で、どうするんだ?」

ペッスムが偉そうに腕を組んで仁王立ちしている

「さーてね、ジョークが通じる相手なら笑い死にでもさせるか?」

「誰の台詞だそりゃ?」

「昔好きだったヒーローの名台詞。一遍言ってみたかったのよ」

そんな会話を交わしながら正面のモニターにかぶりつく

”真龍”は現在、此方の様子をうかがっていた所だ

「魔族の方はどうなった?」

「山脈の方からはもはや何もして来ない。先程トドメの一発が入ったようだ」

ペッスムの台詞に山脈の方を見ると、物凄い粉塵が舞い上がっていた

「アイゼンレッグ、”真龍”に言葉は通じないのか?」

拓真がアイゼンレッグに質問する

「わからぬ。言い伝えでは人語を理解はするらしいのだが」

「そうか」

拓真はスピーカーマイクを握って”真龍”に話しかけることにした


『あー・・・”真龍”さん、いやフロストドラゴンさん、でいいかな?』

なんとも間抜けな感じで外部スピーカーから拓真の声が響く

『俺は拓真という。少し落ち着いて話がしたい。オーケー?』

「ちょ、タクマ!そんなんで”真龍”と会話が出来るの?!」

サリオが拓真を揺さぶる

「一応、俺には異世界言語を理解出来るチート能力がある」

マイクのスイッチを切りながら拓真がサリオに話す

「だから、もしもヤツが言葉を持っているなら理解出来る筈だ」

言い終わると拓真はマイクを再び握りしめる

「”真龍”!頼む、話を聞いてくれ!」

操船室内に静寂が走る

・・・・・・・・・

「あ、スイッチ切ったままだった」

拓真はマイクのスイッチを入れて、再び同じ台詞を言う

『”真龍”!頼む、話を聞いてくれ!』


人語を解したのか、”真龍”は此方を見つめている

いや、ただ単に音を発する物体に注意を向けているだけかも知れないが・・・

「ダメか・・・」

拓真がマイクを置き、皆がため息をつく中

全員の頭の中に声が響く


『我が名は”オキ”・・・汝等が真龍と呼ぶ者だ』


「こ、これは・・・」

ペッスムが驚愕する

「頭の中に直接・・・?」

サリオが頭を押さえる

「響く~~」「なんという・・・」「こ、こんなことが・・・」

炎の3騎士、ミース、セイム、ソーネだ

「タクマ、通じたみたいだよ!」

キラッセが拓真の腕を掴んで揺さぶる

「あ、あぁ・・・通じたな」

拓真が驚きつつも、再びマイクを握る。今度はスイッチを確認して・・・

『オキ、さん。話が出来るならありがたい。少し落ち着いて聞いてくれないか』

拓真の言葉に再びオキは皆の頭の中に声を響かせる


『汝の声は煩い。そのまま声を発しても理解出来る。普通に話せ』


そ、そうですか、と拓真はちょっとたじろぎマイクを置いた

「では、単刀直入に。このまま暴れ回る等という事はしないですよね?」


『それは無い。住処を荒らした愚か者共は殲滅した』


その言葉を聞いて全員がホッとする


『新しい住処を探して此処を離れる。邪魔をするなら汝らも殲滅するが』


「ちょちょちょ、しません、しませんって!」

慌てて拓真は手を振る


『ではさらばだ』


直ぐにでもその場を離れようとするオキに拓真は待ったをかける

「待ってくれ!聞きたいことがある!」


『なんだ?』


オキは性急だが此方の問いに反応してくれる。結構イイヤツかも?

「このウルトゥラ山脈の”悪魔の穴”について聞きたい」


『・・・なんだと・・・?』


急にオキの声色が変わり、”ビッグ・ダイン”に近づいてきた

両手でボディを押さえたかと思うと威嚇してきた


『汝等、そこに何用だ!返答次第ではこのままにはしておかぬぞ!』


急激に船体を揺さぶられ、全員がよろめく

『キ、キケンでス。このままでハ!』

ピグロンが警告を発する。船内にも振動による警告音が鳴り響く

「全く・・・!聞き分けがいいんだか悪いんだか!!」

拓真がかろうじて姿勢を保つと大声を出す

「変形!”ビッグ・ダイン”、ロボット・モード!」


要塞モードの”ビッグ・ダイン”は拓真の掛け声と共に変形を開始する

”真龍”オキの両手をばちん、と弾くと船体に幾つもの光の筋が光る

光の筋に沿って船体があちこちから動き出し、別種の形を取り始める

それはいつか、拓真が船内のモニターで全員に見せた人型に変わっていく

完全な変形が終わり、人型になった”ビッグ・ダイン”

頭部に当たる目と思わしき部分を光らせると、両手を振り上げる

空中に固まったままの”真龍”オキの両手を掴み取る

「オキさんよぉ、いきなりすぎんぞ、どういうこった!?」

拓真は変形の終わった”ビッグ・ダイン”を操作しながら話す


『あの穴は、決して汝等が近づいてはならぬもの。それだけだ!』


「それじゃ話が見えねぇ。詳しく教えちゃくれないかねぇ?」

ぎりぎりと船体が軋む音が響き渡る

「ピグロン!全員を固定用の椅子に座らせてくれ。荒っぽい事になりそうだ!」

拓真は操船室内の全員を固定用椅子に座らせる様に指示する

『了解致しましタ。みなさん、此方にどうゾ!』

ピグロンは素早く床から固定用の椅子を用意し全員に勧める

床から現れた椅子に全員が腰かけると、自動で固定用のベルトが装着された

「タクマぁ、どうなっちゃうの!?」

キラッセが情けない声を出して聞いてくる

「そんな事はアッチに聞いてくれ!」

拓真はそう言うと操縦桿を押し込む

”真龍”オキに力負けしそうになったからだ

「大体、さっき自分で住処を探しに行くとか言ってたのに、どういう事だよ!」

逆切れ気味で、拓真は”真龍”オキに言葉を投げつける


『このまま放置していればよしと思ったが、穴に興味があるのは見過ごせぬ』


「それを説明してくれっての!」

空中でプロレスよろしく手四つ状態をしていたが

”真龍”オキの羽ばたきで地面に一緒に叩き付けられる

「ウワッ」「キャー」「ひゃぁ」

各人が地面に着地した振動で悲鳴を上げる中

”ビッグ・ダイン”は両足で踏ん張っていた


『よくぞ凌いだ。その大きさ、伊達ではないな』


”真龍”オキはそう頭に声を響かせると、逆に此方の腕を掴んできた

手四つ状態が空中から地上に移っただけで、お互いの姿勢は変わらずだ

「まずいぞ。周りをみてみろ!」

アイゼンレッグが急に大声を出して皆に注意を呼びかける

見ると、ウルトゥラ山脈の山肌からあちこち噴煙が上がりだしている

「なんだと、この山は休火山じゃなかったのか!?」

拓真はアイゼンレッグにそう問いただす

「先程からの地面への衝撃で、地下に眠っていたマグマを呼び起こしたようだ!」

周りの山肌から噴き出す噴煙はそれを裏付けるかのように勢いを増していく

「おい、このままだと噴火するのではないか!?」

サリオが大声を出す。その顔には焦りが浮かんでいる

「あまり聞きたくないが、この山が噴火したらどうなる?」

「最悪だ。噴火による噴煙で空が覆われ、大陸全体が急激に冷却されて氷河期が来るぞ」

物凄い知識でアイゼンレッグが説明する

「そうか」

拓真は短く答えると、正面を向き直る

「聞こえたと思うが、俺達はこの世の終わりを見に来たわけじゃねぇ!」

拓真は押し込んでくる力に、操縦桿を強く握り返し押し返す

「あの悪魔の穴から魔界に向かい、世界を分断するっていう目的があるんだ!」

”真龍”オキはその問いには答えずに、ぐいぐいと腕を押し込んでくる

「だからよぉ、穴に行っちゃいけねぇ理由を聞かせてくれよ!」

噴煙が立ち上る中、拓真は”ビッグ・ダイン”のフルパワーを出し

”真龍”オキに対抗するのであった

次回予告ゥ ”真龍”オキのゴリ押しにより図らずも世界の終わりが見えてしまった拓真達。果たしてこの状況を打破し、魔界の穴の真実に辿り着けるのであろうか・・・”旅情編 第十四幕 地下世界”でお会い致しましょう

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