表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

42/64

旅情編 第七幕 脳筋ばかりの都

~前回までのあらすじぃ~

新たな仲間コーディを加え、ホビットの集落を後にした拓真達。目指すは”エルフの都”。謎のお風呂回を経由して目的地へと向かったのだが・・・

不完全燃焼の”お風呂回”から明けて翌朝

拓真たくま達一行の”ビッグ・ダイン”はエルフの都に接近していた

「レーダーで確認は出来ていたが・・・なんていうんだ、ありゃ?」

拓真はモニターに映る巨大な飛行船もどきの船影をいくつも目にしていた

「なんでしょうかね?私も始めて見ますけど・・・」

騎士団長のサリオも心当たりが無いようだ

「まさか・・・実用化が出来ていたのか」

知っている素振りを見せたのはペッスム

「知っているのかペッスム?」

拓真がペッスムに問いただす

「ワシも図面でしか見たことは無いのだが、魔法で固めた燃料を加熱し空気を暖めて空に袋を浮かべるという技術が最近になって発見されたのだ」

「あぁ、熱気球の事か」

ペッスムの説明に拓真が納得する

「ねつききゅう、ってなに?」

キラッセが不思議顔で聞いてくる

「うん?簡単に言うと袋の中の空気を暖めて空に浮かべる風船だな」

「暖めると空に浮かぶの?」

「ん~~、難しい事はよく知らんのだ」

キラッセの質問に拓真が困惑する

『熱気球の原理はカガクのチカラでス』

案内ロボットのピグロンが説明を始める

「その話、長い?」

拓真がピグロンを遮って口止めする

「オホン・・・兎に角、だ。その時の新技術として当時は眉唾だと思っていた」

ペッスムが咳払いをして自分の話に戻す

「魔法で燃料を固める方法や巨大な袋を作る技術など、到底出来ないと思われていたのだ」

「目の前には結構沢山飛んでますね・・・」

ペッスムの説明にサリオが口を挟む

「恐らくですが魔法技術はエルフ種であれば解決出来たのでしょう。巨大な袋については思い当たりませんが」

炎の3騎士の1人、ソーネが頭の良い所を見せる。さすが知恵者

「過程はどうであれ、実際にこうして目の前に浮かんでるんだ。認めざるを得ないだろう」

カイムが集落自警団のまとめ役らしく話をまとめる。さすが元リーダー

「そうだねぇ、しかもあんなに沢山。随分と進んでるねぇエルフさんたち」

炎の3騎士の1人、ミースが砕けた感じで話す。発言に衣が無いのがいいねぇ

「しかし大きいですね。この”ビッグ・ダイン”と並んでも遜色無いですよ」

炎の3騎士最後の1人、セイム。何時もは真ん中のポジなのだが今回は締めで

「これならこのまま”エルフの都”に紛れ込んでもさほど騒ぎにはならなさそうだな」

拓真が最後に総括する

「それじゃ、このまま突っ込むのじゃ!」

ホビット種のコーディが威勢を上げる

「最後、お前かよ・・・」

拓真以下全員がコーディを見つめる中、”ビッグ・ダイン”はエルフの都”に侵入していった



「取り敢えずは俺とキラッセ、コーディの3人で行って来る」

「留守番よろしくねぃ~~」

「いってくるのじゃーーー」

拓真とキラッセ、コーディの3人は”スモルガー・マークⅡ”に跨り、”ビッグ・ダイン”からトラクター・ビームで降下した

”ビッグ・ダイン”に匹敵する巨大さを持つ異世界飛行船が飛び交う中ならば、”スモルガー・マークⅡ”を繰り出しても目立たないだろうという判断だ

「さてさて、なんでエルフの都はこんなに騒がしいのかね?」

城塞都市テンペロストよりも一回りくらい大きくしたような”エルフの都”の正面入り口に向かった拓真はそんな独り言を漏らす

正面の街道には沢山の荷馬車や変わった形の荷車らしきものも多く往来していた

「なーなー、あれ、なんだろう?」

キラッセがすれ違う荷馬車の中に並んでいた荷車に指差す

「あれは、”戦車”じゃ」

コーディが断言する

「戦車?あれが・・・?」

その答えに拓真が聞きなおす

「そうじゃ。あれを2頭の馬に引かせて走るのじゃ」

言われてみれば全体的に金属を使った装飾が施されており、どこか実用性に欠けている様にも見える

「ふ~~ん、俺の世界の古代ローマでやってた”チャリオット”てやつかな」

拓真がその荷車を見ながらそう答える

「アレのおかげで”コイツ”も目立たなくて済むの」

そういってコーディは”スモルガー・マークⅡ”をぺしぺしと叩く

あんなのと一緒にしないでくれ、と拓真は心の中で思っていた


「さて無事に”エルフの都”に入れたわけじゃが、早速”魔法省”に向かおうかの」

コーディが城門をくぐった後に次の行動を拓真に示す

「へぇ、”魔法省”なんてのがあるんだ?」

珍しげに拓真がコーディに訊ねる

「エルフの長老がの、そこの”魔法省”のトップなのじゃよ」

「それじゃ長老っていう肩書きじゃ無いんじゃないのか?」

「たしか・・・じむじかん?とか言ってた気がするのぅ・・・?」

「おいおい・・・前に来たのは何時頃の話なんだよ」

拓真が呆れ気味に返す

「うむ、以前来たのは100年前じゃったか。変わってないといいんじゃがのう」

「100年前って・・・変わってない方が難しいんじゃないのか?」

コーディと拓真がそんな会話を交わしながら”スモルガー・マークⅡ”を低速で走らせていると

どばきゃーん

という炸裂音と共に目の前に木製の扉と一緒に”人”が飛び出して来た

「わ」

拓真が”スモルガー・マークⅡ”を停車させる

飛び出して来た”人”はエルフだった。特徴である耳がとがっている

・・・妙にガタイがいい

「おい、だいじょう・・・」

拓真がそのエルフに声をかけようとすると、その飛び出してきた方角から叫び声がする

「くぉら、くそがき!もう一遍ぬかしてみろ!」

そちらを拓真とキラッセ、コーディが見ると、更にガタイのいいエルフが出てきた

「何をこのくそったれがぁ!」

飛び出して来たエルフも何事も無かった様に立ち上がるとその声の主に向かっていく

そしてかち合うと、派手に殴り合いを始めてしまった

「うっわ・・・凄いね・・・」

キラッセが血しぶき舞う二人のごっつい”エルフ”が殴りあう様子を表現する

ちょっとしたヘヴィ級の総合格闘技の試合を見ているようだ

かと思うと今度は反対側の建物からも似たような光景が始まっていた

「こらぁ!」

「何こらぁ!」

「タコこらぁ!」

「馬鹿こらぁ!」

お互いにこらこら言い合って殴り合っている。それを周りの連中がはやし立てる

「何この世紀末・・・」

さすがに拓真もその光景に絶句するしかなかった

しかも殴り合っているのは想像したエルフとは程遠い”マッチョ”なのだ

「おっかしいのう・・・100年前はこんな喧騒は無かったのにのう・・・」

コーディも頭をぽりぽりと掻いている

「ま、まぁ・・・兎に角”魔法省”とやらに向かおう。これは関係無い出来事だ」

暴力の嵐吹き荒れる街中をスルーして拓真達は目的地へ向かう事にした

「おぅこら!」

「こらこら!」

・・・・・拓真達が過ぎ去っても未だ”こらこら”言い合っているのであった



「・・・ここが”魔法省”、であってるのか?」

すっかり寂れたあばら家と化している建物の前で拓真達は固まっていた

「なんという事じゃ・・・あれほど人の出入りが激しかった”魔法省”が」

コーディもショックを受けている

「兎も角、入ってみよう」

そんなコーディを促して中に入る拓真達

ぎぎぃぃぃ

すっかりガタの来ている扉を開けると中は静まり返っていた

「なんかさ・・・怖いよね?」

キラッセが少しびくびくしている

「おーい、誰かいませんかぁーー?」

せんかーせんかーと拓真の声が木霊する位静かだ

無駄に広い広間が更に寂しさを加速させる

「なぁ、誰もいないんじゃないのか?」

拓真がコーディに問うと

「困ったのう・・・これでは話の持って行きようが」

そこまで話した時、奥から人の気配がした

「・・・・・・・・・・・・・・はい、ドナタですかぁ・・・・・・」

蚊の鳴くような声で奥のドアから人影が現れた

「ぉ、誰かいたぜ?」

拓真がそちらに目を向けるとすでにコーディが走り出していた

「その声、その姿、お前、”マーナ”じゃな!!」

コーディがその人影に飛びつき、そう声をかける

「っとぉ、その声、このやらしい手つき、”コーディ”ね!!」

その返事と共に”マーナ”と呼ばれた人物はコーディを叩き落としていた

「ぶぐぉ」

変な声を出してコーディが床に沈む

「あのぉ・・・」

話し掛けづらい雰囲気だったが拓真は意を決して声をかける

「あぁスミマセン。私、”魔法省”の事務次官を勤めます”マーナ”と申します」

近くでよく見ると拓真が思い描いていた”エルフ”がそこにいた

とがった耳、スレンダーな体型、そして流行の巨乳、いう事なし!


「それで、この”魔法省”の寂れ具合といい、街中の”マッチョ”軍団といい・・・エルフの都では一体何が起こっているんだ?」

床に沈んだコーディが復活し、襟を正した魔法省事務次官”マーナ”に応接室に通されている

「今から20年前位ですか、エルフの都でも技術改革が起きまして」

魔法で固めた燃料で巨大な飛行船を飛ばすことに成功したエルフ種はそこから独自に技術改革と文化発展が進み、魔族の侵攻に合わせる様に肉弾戦闘民族へと変貌を遂げたというのだ

「嘆かわしい事です。昔からの魔法力、精霊の導きを忘れ、目に見える力のみを追求するなど・・・」

応接室の窓の外を見ながらマーナは溜息をつく

「長く生きてりゃそんな事もあるって訳か・・・」

長命であるが故の間違った発展てやつなのか?拓真は頭の中でそう考える

「それはそうとマーナ。ワシが来たのは他でもない。魔法省で保管してた”あの”スクロールのことじゃ」

コーディがそういってマーナに聞く

「”あの”スクロールですか?」

「そうじゃ!」

「・・・”あの”って、なんですの?」

何を言ってるのか解らないですといった感じでマーナが答える

「アレじゃアレ!何年か前に強大な魔法を封じる為の魔法を、ここの魔法省が作ったじゃろうが!」

じれったい、という感じでコーディがもだえる

「あぁ、アレですか。もったいつけて”あの”スクロールとか言うから何の事かと思いました」

しれっとマーナがそう答える

「あぁ、もお!んで、今どこにある?それが欲しいんじゃ!!」

コーディが頭をわしゃわしゃしながらそう言うとマーナは更に深い溜息をついた

「アレは・・・今ここにはありません」

「なにーぃ、無いじゃとぉ!?」

コーディが素っ頓狂な叫びを上げる

「では今何処にあるのかは、知っているんですか?」

拓真が聞く

「えぇ・・今、あのスクロールは景品になっています」

「景品・・・?どういう事です?」

マーナは目を見開いて言う

「今この都で開催されている”チャリオットレース”の景品になっているんです」

「何?」

「チャリオットレース?」

「なんじゃとぉ・・・・」

嫌な予感しかしない拓真であった

次回予告ゥ 目指す”スクロール”はなんと”チャリオットレース”の景品。拓真達は否応無しにそのレースに参加する羽目に。だがしかし、その景品を狙って沢山の思惑が交錯し、レースが開始される前から波乱含みの展開に・・・”旅情編 第八幕 チャリオットレース” でお会い致しましょう

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ