旅情編 第二幕 魔法の国
~前回までのあらすじぃ~
城塞都市テンペロストを旅立った拓真はペッスムの昔話を聞く
魔王ベルリムことカナコとの因縁を確認し気持ちを新たにするのであった
「うーーむ」
拓真は唸った
目の前に広がるはオーシャン・ブルーに輝く水辺に遊ぶ美女3人
超弩級要塞”ビッグ・ダイン”の甲板部に設けられたプールサイドである
「ようーし、いっくぞー!」
元気な掛け声と共にビーチ・ボールを上空に叩きこんだのは
紅いセミロングヘアーが似合う”爆炎のミース”だ
赤いビキニが似合う、結構ボインちゃんだ。知らなかった
「きなさーーい!」
負けじと元気な掛け声でそのビーチ・ボールを受けるのは
銀髪のショートヘアーがきらめく”焦熱のセイム”である
白いワンピースが似合う、程よい体型だ。好みが分かれるだろう。俺は好きな方だ
「ホホホ、次は私ですよー!」
ビーチ・ボールが来るのを催促しているのは
黒髪ロングヘアーを後頭部で束ねた”煉獄のソーネ”である
大胆にカットされた黒いワンピースがエロい。この子もナイスバディである。予感はしてた
「た、タクマ・・・」
遠慮がちに声をかけてきたのは
金髪のロングヘアーをポニーテールにした”騎士団団長サリオ”である
白いビキニにパレオつうのか?がよく似合っている。こいつぁ凄いぜ!
「傷の具合はどーお?」
威勢よくサリオの影から現れ、拓真の横に張り付いたのは
紅いショートヘアーが弾ける”閃光のキラッセ”である
ピンクのチューブトップ・ブラのビキニがかわいい。5年後位が楽しみである
「カカカ・・・その様子では回復具合は順調のようだな」
反対側から遠慮なく声をかけてきたのは
茶髪に見える頭に変な帽子を被った”獣人ホークアイ”
青いブーメラン・パンツがエグい。マッシブなので似合うのが腹立つ。こっちくんな
反対側のプールサイドではカイムとケリスの若夫婦がビーチチェアーでくつろいでいる
中間地点ではペッスムとその私兵軍団が揃いのハーフスーツを着て準備体操に余念がない
騎士団員の面々は浮き輪を身に付け、端っこで泳ぎの練習をしている
・・・魔界を目指している筈なのに、何故こんなバカンスじみた事をしてるなんて?
全ては夕べの拓真の一言から始まった
「恐らくここからは落ち着いた休息は取れないと思う。故に、明日一日は”ビッグ・ダイン”の遊興施設で総員息抜きをしよう!」
と、言うわけで急遽、水着回・・・オホン、遊興施設での”息抜き”となったのだ
「凄いものだな、このプールというのは」
遠慮がちに拓真の隣に腰掛けたサリオが言う。胸の谷間がすっごくイイデス、ハイ
「中にある”温泉”てのもすげぇけど、こっちの冷たい水もいいネ!」
キラッセがその間に割り込んで拓真に抱きついてくる。わざとか?わざとなのか!?
「まぁな。この第三のシモベ”ビッグ・ダイン”には特典を盛り沢山にしたからな」
拓真はそう言うと身体を起こす
優秀な医療施設のおかげで胸の傷はほぼ塞がり、渋い傷跡になっている
「この”船”にいる限り、記憶にある俺の世界とほぼ同じ生活が味わえる様になっているのさ」
横のドリンクホルダーからコーラを手に取るとストローで吸い込む
「あーうまそうー!俺にも頂戴ー」
キラッセが強引に拓真の手からコーラのグラスを奪い取ると
ストローを銜えてちゅーちゅーする
・・・をい、間接キッス・・・
「ふふっキラッセちゃんは、ホントに・・・」
サリオがその光景を見て微笑む。笑うとそのデカメロンが凄いですよ、サリオさん
そんなホンワカしたムードをぶち壊す、ありがちな展開が突然起こった
うぅ~~ん うぅ~~ん うぅ~~ん
字にすると誰かが唸っているようにしか見えないサイレンが鳴り響き
案内ロボット”ピグロン”の音声がスピーカーから響く
『前方に突然巨大な魔力反応が検知されましタ!総員警戒態勢ヲ!』
「なんだってぇ!」
拓真はそう叫ぶと、プールサイドから駆け出す
他の面々もそれぞれビーチ・ボールやら浮き輪やらを放り出して後に続く
向かったのは管制室。”ビッグ・ダイン”のコックピットでもある場所だ
「どこだ、ピグロン」
入室するなり拓真は管制室にいたピグロンに問いただす
『その森の中央に当たりまス。広範囲に渡って魔法障壁を展開した模様でス』
ピグロンが正面のモニターに広い森林を映し出し、マーカーを点滅させる
「魔法障壁?」
拓真がオウム返しに聞く
「恐らく、探索阻害系の障壁であろう。何か知られたくない物があるのか」
サリオが横から口を出し、用意されたテーブルにこの世界の地図を開く
「団長、この辺りは・・・」
「確か”ホビット”の集落があると噂された場所では?」
「私もそう思います」
炎の3騎士、ミース、セイム、ソーネがそれぞれサリオに話し掛ける
「カカカ・・・ホビットか・・・」
ホークアイが呟く
「ホビットって、5種の人族のちっこいヤツか」
拓真が誰とも無しに聞くと、全員がうんうんと頷く。コントか
「そのホビットが何故?」
キラッセが不思議そうに首をかしげる
「ホビットというのは本来、あまり人前に出たがらない習性があってな」
サリオがキラッセの肩に手を置いて話し出す
「深い森の中で暮らしながら、外界と交流もしたがらないのだよ」
「でも、元勇者パーティのメンバーにいたよね。今は魔族になってたけど・・・」
サリオの話にキラッセが疑問を投げつける
「うむ。彼は”ヨーディ”。ホビット種の中でもずば抜けた魔法の才能を持ち、そして積極的に外界と交流をしてきた変わり者、だったのさ」
元勇者である魔王ベルリムこと”カナコ”はテンペロスト城主ガデムに勇者認定のお墨付きを貰った後、積極的に仲間を集めだした
その内の1人である、ホビット種の希代の魔法使い”ヨーディ”
彼の魔力はパーティの中でもずば抜けており、攻撃魔法だけならリーダーの勇者カナコをも上回る攻撃力を誇っていたと言う
その”ヨーディ”だが、勇者カナコのパーティに入る前は誰とも組まず、ソロで暴れまわる手が付けられない暴れん坊だったそうである
色々あって勇者カナコの軍門に下りパーティメンとして活躍するのだが
その逸話は数知れず
洞窟に住むゴブリンを洞窟ごと粉砕し殲滅したとか
森林に住まう凶悪な四足獣の群れを森林ごと焼き払ったとか
高原に縄張りをもつ鳥獣のボスを雷魔法で仕留めたとか
いずれも凶悪なものばかりであったとか
「頭ひとつ抜けてた”ヨーディ”だが、他のホビット種も決して弱くないのだ」
「解りやすく例えると?」
「全員が”ズンダ”クラスと考えていい」
サリオが言い切ると、その場にいた全員が固まる
「ででで、でもさ。”ヨーディ”って”ズンダ”に負けてたじゃん。この前にさ」
キラッセが言っているのはこの間、”ズンダ”が金縛りで”ヨーディ”を拘束した時の事だ
「万能タイプな”ズンダ”だが、個別に突出した能力なら”ホビット”だ」
ごくりと喉を鳴らすキラッセ
「つまり・・・多数揃えば”ズンダ”を上回る」
サリオが脅しをかけるでもなくそう言い切る
「んでー、その”ホビット”なんだが。なんで魔法障壁を展開する?」
拓真がもう一度、モニターのマーキングを見つめる
「近づけたくない、関わりたくない、って事なのかな」
「恐らくはそうであろう。本来そういう種だからな」
「ふーむ」
サリオとの会話を経て拓真は考え込む
「よし、降りて会いに行ってみよう」
「えぇ!?」「何ィー!」「な、なんだってぇーー!」「おいおい」「今の話・・・」
拓真の決断に全員がそれぞれ声をあげる
「こんだけの魔法障壁を展開出来るんだ、もしかしたら魔界へ行く魔方陣の事も」
「そっか!何か知ってるかも、だね!?」
「しょおーゆーコト」
キラッセが拓真の意図を代弁してくれたので、おどけて肯定する
「よっし、そんじゃ”ビッグ・ダイン”はこの座標に固定、探索隊を編成して降りるぞ」
素早く指示を出すのであった
”ビッグ・ダイン”からトラクタービームの光が地面にまで放射された
その光が消え去ると、そこには拓真以下、数名が残される
「それじゃ行こうかぁ」
まずは拓真。新装備として上半身にSFチックな胸当てを装着している
「わくわくするね~」
キラッセ。新装備として拓真とお揃いの胸当てをしている。服装も変えている
「遊びにいくのでは無いのだぞ」
サリオ。騎士団の鎧を装備しているが、実は素材は変更されて強度が増している
「団長、こちらは何時でも!」
「警戒態勢は万全です!」
「ですからお気を楽に!」
ミース、セイム、ソーネの3騎士。こちらもサリオと同等の装備に変更されている
「カカカ・・・婦女子ばかりと言うのはのう」
獣人ホークアイ。ヒュム種ばかりでは警戒を抱かせ過ぎるとの判断でだ
『ッザ・・・油断するでないぞ。ホビット種は狡賢いとも言う』
”ビッグ・ダイン”が出現したことにより感度の増した通信機からペッスムの声が聞こえる
まだ完全に信用はされていないが、指揮官らしきポジに納まっている
「安心しな、いざとなったら”ミドルオー”の出撃を頼むからよ」
『ッザ・・・了解だ、タクマ。こちらは何時でもオーケーだ』
カイムとケリスの若夫婦が”ミドルオー”で何時でも出撃出来るようにスタンバっている
「さてさて、鬼が出るか蛇がでるか・・・」
「何それ、どういう意味?」
「ん?”これからどんな事が起きるのか予測が付かないよ”、って事の例えだよ」
「へぇー」
キラッセと為に成る会話を交わしながら拓真達は森林の中に分け入っていく
森林にいくらか進入し、魔法障壁の展開された端っこ辺りに到達した時だ
「!・・・全員、ストップだ」
何か殺気のような物を感じて拓真が一行に停止を指示する
すると
周りの木々がざわざわとざわめき
”それ以上進むな”
と言葉が木霊した
「何だ?」
サリオが見渡すが視界には人影が見当たらない
「団長・・・」
「気味が悪いですね・・・」
「あちこちから何者かの気配を感じます・・・」
ミース、セイム、ソーネの3人がそれぞれ周りを警戒しながら見張る
「カカカ・・・ホビット種のお出ましかの」
ホークアイがくるりと、首をまわしながら言う
”何者かは知らぬが早々に立ち去れ”
再び木霊した”声”に拓真が叫ぶ
「俺達は”魔族”の本拠地、”魔界”を目指している者だ。出来れば協力を求めたい」
”魔界を目指しているだと”
その瞬間、拓真達の周りに炎の壁が湧き上がり、包囲された
”それでは小手調べだ。我らが魔力の奔流、受け切れるか否や”
次第に間隔を狭めてく炎の壁に拓真達は真ん中に固められていく
「っとぉ、いきなりとんでもないアイサツだな。魔法使いってなこんなのばっかりかぁ?」
焼け付くような炎の壁を前にした拓真は
やっかいだなぁと、考えるのであった
次回予告ゥ 外界との接触を嫌うホビット種。拓真達の説得にも耳を貸そうとはしない。が、彼等もまた魔族に手痛い傷を負わされた過去を持つ、因縁を抱えていたのであった・・・”旅情編 第三幕 ホビットの矜持”でお会い致しましょう




