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城塞都市編 第十九撃 そして魔界へ

~前回までのあらすじ~


傷の治療を終えて皆の前に戻って来た拓真は地獄絵図に遭遇した

今、拓真たくまは地獄絵図の真っ只中に突入してしまった

「あぁ~~~~っ!たくまだあああああああーーー!!」

目ざとい”炎の3騎士”の1人、紅いセミロングの”爆炎のミース”が拓真を発見し大声で叫ぶ

「あぁーーーーーっ!!きらっせちゃんも、いるぅーーーーー!!」

続いたのは”炎の3騎士”の2人目、銀髪のショートヘアーの”焦熱のセイム”である

「ひぃーーーーん!!!蘇ったんですね、だぐまざーーーーん!!」

大泣きしてるのが”炎の3騎士”3人目、黒髪ロングの”煉獄のソーネ”だ

「おうごらぁ!たくまぁ!こっち来て一緒に飲めやぁぁ!!!!」

親父になってるのが驚く無かれ”テンペロスト騎士団団長”、金髪ロングも麗しい”サリオ”だったりする

「あぁ・・・まぁ・・・おかげさんでね・・・」

拓真は手術明けにも関わらず、杖を突きながら立っていた

「ねぇタクマ・・・みんなどうなっちゃったの?」

キラッセが困惑した顔で拓真に訊ねる

「ん、あぁ・・・多分だが・・・アルコール、お酒ってヤツをたらふく飲んだな」

拓真がぼそぼそと呟く

「タ、タクマ・・・久々の再会でなんだが・・・アレ、城塞都市の騎士団の皆さん、か?」

集落フロストから縁のあるカイムさんである。集落防衛の任に就いてるはずである

「確か、団長のサリオさんと・・・お付の3騎士様、ですよね・・・」

その嫁さんでもあり、拓真の”元”ナンバー1であったケリスさんである

「カカカ・・・タクマの快気祝いには早い気もするんじゃがのう」

忘れられがちな元勇者パーティメンの、獣人ホークアイさんである。出番も忘れられがちである

『あ、私、この”船”のナビゲーターを務めます案内ロボット”ピグロン”でス』

全ての元凶である悪魔ロボットである

「そぉーか、お前がこの乱痴気騒ぎを作った大元か」

拓真の目がギラリとひかり、ピグロンに向けられる

『え、あの、ソノ・・・』



『・・・で、ありましテ、皆様にはリラックスしてもらおうとアルコール類をお出しした訳デ』

拓真の”おしおき”にあったピグロンはこの顛末の説明を終えた所である

「オッケー、解ったよ。何にせよ、皆を歓待してくれた事には感謝するぜ」

拓真も鬼じゃないので、ピグロンを許す事にする

「ところでタクマよ。このどでかい”船”とやらは一体なんだ?色々見慣れない物が多すぎて、どこから聞こうか迷っているんだが」

久々で台詞も多いカイムである。おのぼりさんらしく、ラウンジをきょろきょろ見回している。傍らには同じく首を振りまくってるケリスが寄り添う。リア充爆発しろと言いたい

「そうだな・・・その説明は今横で伸びてる連中が起きてからにするよ。何度も説明するのもなんだしな」

拓真は周りで出来上がったまま爆睡している、騎士団の面々やらペッスムやらを指差して言う

「あれから随分時間が経つが、外の様子も気になるしな」

ピグロンをちらりと見やると、その視線に気付いたのか直ぐに反応された

『ア、はい。すでに魔族グンは”ビッグ・ダイン”のシステムにて迎撃され、撤退しておりマス』

目をちかちか点滅させながら説明する

「そっか。それじゃこのまま待機するとしようか。俺も少し休む。身体に穴開けられたしな」

そう言うと拓真は空いているソファーに横になる。シラフのその他のメンバーもそれぞれ気を抜いて空いているソファーに座り直した

その様子を見てピグロンが一言

『ドリンクをお持ちしましょうカ?』



「んで、全員が起きた所でこいつ、”ビッグ・ダイン”の説明でもしようか?」

二日酔いの頭を抱えつつ20数名の酔っ払いが起きた所で、拓真が全員に説明を始める

「こいつが俺の第三のシモベ、”ビッグ・ダイン”だ」

ラウンジに大型モニターが設置され、そこに”ビッグ・ダイン”の全体図が映し出される

「全長380メートル、横幅60メートル、最大重量750トンを誇る超弩級要塞だ」

モニターが切り替わり、内部説明図に変わる

「内部には俺の世界じゃお馴染みの洋服屋や食事処、各種ショップに医療センター、プールにゲームセンター、変わった所じゃ他のシモベのメンテナンス工房なんて物まである」

次々と点滅する小部屋を指差しながら説明は続く。だが、ほぼ全員聞いてるかどうか怪しい

「んでもって、当然ながら全てのシステムはこの世界より数段上の技術で一杯だ」

画面は変わり人型に変形した”ビッグ・ダイン”の姿が映される

「こいつは2段変形が可能だ。要塞フォームとロボットフォーム。こいつがロボットフォームだ」

モニターがそこで消えて、拓真が全員に向き直る

「そして極めつけは、コイツは陸空海、移動する場所を問わないって事だ」

拓真は特にサリオに向けて語る

「こいつで”魔界”に突入しようと思うんだが。目指すは魔王城だ」

「その・・・こいつで全員連れて行こうって言うの、か・・・?」

額を押さえつつ、サリオが聞き返す

「あぁ。こいつなら500名位までなら乗船したまま旅が出来るぜ?」

拓真がそう言って床をとん、と踏む。その衝撃で傷口が傷んだのか「いてて」と呟く

「魔界、か・・・」

サリオがふう、と溜息をつく。それを聞いていた他の騎士団員達も口々に溜息をつく

「おいおい、なんだなんだ?怨み骨髄の怨敵魔族の、本拠地に殴りこもうって話なんだぞ?なんでそんなに消極的なんだぁ?」

煮え切らない態度の騎士団員達に拓真は呆れて訊ねる

「カカカ・・・タクマよ。魔界へ向かうのに躊躇するのには理由があるのじゃよ」

誰も話したがらない中、獣人ホークアイが発言する

「理由だってぇ?」

オウム返しに拓真が聞き直す

「カカカ・・・そうじゃ。魔界・・・攻め入りたくても、誰もその場所を知らぬ。解らぬのだ」

「場所が解らない?陸続きって訳じゃないのか?」

「そうじゃ。魔族軍は何時も魔方陣を使って此方に攻め入って来る。じゃが、向こうへ仕掛けるのは無理なのじゃ」

ホークアイが自信満々にそう言うと腕組みをした。それに合わせる訳ではないが、他の騎士団員達も頭を押さえながら、うんうんと頷く

「そっかぁ・・・魔方陣からか・・・それじゃその移転先をキャッチ出来れば、魔界へ行けるって訳だな?」

「それが出来ればとっくにだな・・・」

「出来るんじゃね?」

「な、なんだってーーーーーっ!」

あっさりと拓真が魔界への道を提示した事で、サリオ以下全員が身を乗り出す。が、直ぐに頭を押さえていててて、と呻く

「要はあれだ。魔方陣を発生させる魔力を追っかけられれば良い訳だろ?それならこの”ビッグ・ダイン”に搭載された魔力探知機を使えばだな」

そこまで聞いた拓真以外の全員は、万能過ぎだろコイツ・・・と内心で思っていた

「む?あぁ、そうだぞ。この”ビッグ・ダイン”は万能だぞ。動力は太陽の光エネルギーと空気中にある魔素がメインだし、生産能力も備えてあるからコイツ自体が一個の”国”みたいなもんだ」

自慢げに話す拓真を見て、ほぼ全員が”もう全部コイツだけでいいんじゃないかな”と考えていた




城塞都市テンペロストの城門前。焼け野原となってしまった城塞の横に、蒼い巨体を輝かせて”ビッグ・ダイン”が着陸している。その姿は陸に上がった豪華客船を思わせる

「そんじゃぁまぁ、魔力探知で魔界を探しつつ魔王城へ向かうとするか」

拓真が”ビッグ・ダイン”の乗船口に向かう前に、宣言する

「うむ」「おう」「了解」「カカカ」「参る」「いくかぁ」

同行するメンバーは騎士団から、団長サリオ、炎の3騎士のミース、セイム、ソーネの4人と選抜した団員10人、集落フロストからカイム、ケリスの若夫婦2人、そして何故かペッスムとその私兵6人(名前は良く知らない)、キラッセと獣人ホークアイだ

「正直驚いたぜ?ペッスムさんよぉ。アンタが一緒に同行したいなんてのはよぅ」

拓真は丁度後ろについたペッスムに話し掛ける

「私は・・・この乗り物と”転生者”、貴様のその力にかけて見る気になったのだ」

「へぇ・・・最初の頃とは随分と評価が変わったな?」

拓真はわざと茶化すように言うと声を低くして話し掛ける

「でもよ・・・この船旅の間に魔王ベルリム、いやカナコとの間に何があったのか、聞かせてもらうからな」

と凄んでみせる

「っく・・・な、なんの事だ?」

言葉に詰まったペッスムに向かって拓真は続ける

「とぼけんじゃないの。カナコが魔族に寝返った前後の話、お前さんが一枚噛んでんだろ?」

「・・・・・!」

「今は魔界へ急ぐのが先だから、その話はゆっくりと、な」

拓真は顔が引きつったままのペッスムにそう言うと踵を返して”ビッグ・ダイン”へ向かう

「ま、どっちにしろこの国に置いて行くつもりはなかったんだけどな・・・」


”ビッグ・ダイン”の上部甲板から遥か下を見下ろすと、見送りの他の騎士団員や城塞の人々、城主ガデムの姿も見える。それぞれが大きく手を振って、旅立ちを送ってくれている

「なぁサリオ。お前達がこっちに来てしまって大丈夫だったのか?」

拓真がサリオに問いかけるとサリオはゆっくりと息を吸って吐いた

「・・・タクマ。この旅は魔族と決着をつける為の、最後のチャンスだと私は考えている」

サリオは隣に並ぶ3騎士を見ながら更に話す

「だから少数精鋭だが全員で行く事に、城主様も許可してくれたのだ」

それを聞いて3騎士は力強く頷いた

「我ら3騎士、この命に代えても!」

「団長サリオ様を中心に戦い抜き!」

「魔族との決着をつけるのである!」

ミース、セイム、ソーネの3人はハモるように言葉をつなげた

「カカカ・・・それは我とて同じ事」

ホークアイが後ろから合いの手を入れる

「タクマ、俺達も預かった”ミドルオー”の扱いにかけては任せてくれ」

「ええ、そうよ。任せて頂戴」

カイムとケリスの若夫婦が声を揃えて言う。リア充爆発しねぇかな

「もちろん、俺を忘れちゃ困るぜ!タクマ!」

キラッセが人差し指で鼻の下をこすりながら言う。女らしさ、どこいった

「・・・・ぉぉ~~」

その向こうでペッスムが小さくガッツポーズをしていたがスルーすると

「よう~し、そんじゃみんなぁ、バスケットとレジャーシートは忘れんな~」

拓真はおどけて全員に号令をかける

『私も、忘れないで下さイ!!』

案内ロボットピグロンも足元でくるくる回っている

格納庫に収納された”スモルガー・マークⅡ”と”ミドルオー”が鈍く光を放つ中

”ビッグ・ダイン”は反重力エンジンを始動させて、宙に浮かび始める

わぁわぁ

下々の声援が響く中、”ビッグ・ダイン”は発進した


目指すは前人未到の地、”魔界”

「ミースです!セイムです!ソーネです!3人揃って”炎の3騎士”で~~す!!!ついに完結した”城塞都市編”!次回からは何編になるのか?もしかして”俺達の旅はこれからだ!”エンドぉ?縁起でもない事を言うなッ!!そんな訳で新章スタートです!!!次回予告ゥ ”旅情編 第一幕 ペッスムの野望” でお会い致しましょう!!!それでは皆さん、また会う日まで~って、紛らわしい言い方するなーーッ!!!」

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