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城塞都市編 第十八撃 ビッグ・ダイン

~前回までのあらすじ~

魔王とその部下に追い詰められかけた拓真達であったが

起死回生の一手”第三のシモベ”召喚に成功し辛くも窮地を脱した

その第三のシモベ”ビッグ・ダイン”とは・・・?

拓真たくまとその仲間達(キラッセ、サリオ、ミース、セイム、ソーネ)と、その他(ペッスム、騎士団員、ペッスムの私兵)の一団は、トラクター・ビームの壁に包まれて上昇していた

「こ、この光の壁は・・・」

サリオ達が初めて見るその輝きに驚く中、拓真が息も絶え絶えになっていた

「トラクター・ビームだ・・・第三のシモベ”ビッグ・ダイン”への・・・入り口さ」

キラッセに傷のある腹部と、背中を押さえて貰いながら皆に説明する

「タクマ・・・無理しないで」

キラッセが拓真をたしなめる

「まだ・・・平気だ・・・それに”ビッグ・ダイン”に入れば・・・こんな傷・・・」

そう話している時に、光の壁に向かって魔族軍のガーゴイルという魔獣がぶつかってきた

ぎゃおおお

どか、どかん、とガーゴイルの発する奇声とトラクター・ビームへの打撃音が響く

「きゃ」「わわ」「こ、これ・・・!」

突然の襲撃に中に居る皆が驚く

「平気、なの・・・か」

サリオが驚きながら、光の壁トラクター・ビームに触れる

「大丈夫、だ・・・吸引発動中は・・・どんな攻撃も防ぐ・・・バリアー以上の強度なのさ」

拓真がそう説明する間も、ガーゴイル軍団は容赦なくトラクター・ビームに攻撃を仕掛けている

その吸引元である上空に現れた巨大な魔方陣から現れつつある物体・・・第三のシモベ”ビッグ・ダイン”にもガーゴイル軍団は攻撃を仕掛けている

蒼いボディの”それ”には全く葉が立たない様だ

「すさまじい、な」

ミースが少ない出番を物にするべく、その光景を眺めながら言葉を発する

「そう言えば、魔王は?四天王は!?」

セイムも少ない出番を大いに活用している

「それなら・・・引き上げたろう」

拓真がそれに答える

「そうだな。これ程の防御力を誇る物だしな、一旦撤退して対策を練るのだろう」

サリオーが視線を落として呟く

「ズンダも一緒に、な」

その言葉を聞いて全員が下を向く。昨日まで仲間だったズンダ。それが今日には敵になってしまったのだ

「で、でもさぁ!なんでなんだよ!?」

キラッセが誰とも無しに聞く。が、誰も答えられない

「そいつはな・・・先代ズンダの遺産さ・・・」

拓真が答える。全員がえぇ、となる

「あの遺産の魔法スクロール、誰も使えなかっただろう?恐らくだが・・・」

そこで、うぅっと呻く拓真。あぁっと支えるキラッセ

「恐らくだが・・・先代ズンダの遺言には続きがあったのさ・・・」

そう拓真が言うとサリオがあぁっと気がつく

「そう、か。そして、その内容はきっと」

「・・・魔王ベルリム・・・カナコに助けを求めよ、ってな感じだったんだろうよ・・・」

サリオの言葉をつないだ拓真の言葉が終わる頃、トラクター・ビームの一行は終点に着いた



ただっぴろい空間に、拓真達一行は到着する。周りは薄暗くてよく見えない

「・・・ここ・・・中、だよ、ね・・・?」

キラッセがたまらず言葉を口にする

すると

うぉぅうぉぅうぉぅ

と、この世界の住人には聞きなれないサイレンが鳴り響いて、”何か”がもの凄い勢いで迫ってきた

「わ」「何」「なんだぁ」「あれは!」

赤い赤色灯を光らせて、ベッドが飛んで来たのだ

『救急隊デス。患者をベッドに寝かせてクダサイ』

浮かぶベッドから所々機械音的な音声が出て、拓真の横にぴたりと止まった

「頼む・・・・」

拓真がよろけながらベッドに横たわると、再びサイレンを鳴らしながらベッドは移動を開始する

「あ、まって!」

キラッセがその後を追う。他のメンバー達はどうしたものかとそれをただ見送ったままだ

「後を、追う、か?」

ミースがここぞとばかりに発言をするが、賛同する者が居ない

すると、移動ベッドが消えた通路から、今度は変な物体が現れた

『皆さん、始めマシテ。ワタクシはこの”船”のナビゲーターデス』

そう言いながら目に当たる部分を点滅させながら話し出したそれは、この世界ではオーバーテクノロジーでもある車輪で移動するタイプの”案内ロボット”であった



『私の名前ハ”ピグロン”デス。皆様ドウゾよろしく』

案内ロボット”ピグロン”はその場の全員にそう挨拶すると、両目を点滅させる

大きさは1m弱位。脚部が車輪になっている簡単なタイプだ。白いボディが眩しい

『それでハ皆さん、この”船”、”ビッグ・ダイン”のご案内をシマス。こちらへドウゾ』

ピグロンは下部に付いている車輪によって、スムーズに動き先導する

『ア、後ろの方々の”馬”はこちらに置いていって下サイ。別の者が管理いたしマス』

サリオに付いて来ていた騎士団の騎乗してきた騎馬も一緒に運ばれて来た為、騎士団のメンバーはおろおろしていたのだった

「皆の者、ここにいても仕方が無い。付いて行くぞ」

サリオが号令をかける

「・・・ペッスム殿」

サリオがさっきから、ぶるぶる震えているペッスムに近づいて言葉をかける

「貴公が捕虜の魔族を利用して何がしかを企んだ事は、許せません。が、ひとまずそれは置いておきましょう」

そして座ったままのペッスムに腰を落として耳の側に顔を近づけると囁く

「大人しくしていて下さい。でなければ・・・」

腰の剣をがちゃり、と鳴らす

「・・・御願い致します」

そう言うと立ち上がり、ペッスムの私兵に命じる

「ペッスム殿はお疲れの様だ。誰ぞ手を貸してやってくれ」

サリオはそのままピグロンの方に向かった。震えるペッスムの両脇に、おこぼれで助かったペッスムの私兵がついて立ち上がらせる

「・・・・・・・」

さしものペッスムも下を向いてまだ震えていた


『こちらが移動用”動く通路”デス。お足元にご注意くだサイ』

拓真が消えた通路に出ると、長い廊下が続く。その床の一部が動いている

「こ、これは・・・!」

セイムが驚く

「動いてますよ、団長!」

ソーネが叫ぶ

「皆落ち着け!・・・おち、つ・・け・・・」

サリオがそうたしなめるも、始めて見る”動く通路”に戸惑う。こちらの世界ではエスカレーターの水平版やらムービングウォークやらの名称がある物だ

騎士団員も含めると総勢20名近くの”おのぼりさん”が、都会の設備に驚いている風体だ

『コンベアーの上に乗り、手すりを握ってくだサイ』

ピグロンはそう言うとすいすいとコンベアに乗って進んでいく

総勢20名が全員”動く通路”に慣れるまでは時間がかかった


「わ、団長!透明な板の向こうに何か見えます!」

ミースが”動く通路”で移動中に横に見え始めたショーウィンドウの向こうに興味を示した

『そちらハ”ブティック”、洋服屋になりまス』

案内ロボットらしく、ピグロンが説明をする

「こんな・・・見た事も無い・・・」

透明な板、ガラスの向こうにはマネキンが着飾った色取り取りの洋服が並ぶ。異世界人には相当なカルチャーショックであろう

『後ほど、ご案内しまスので今は見るダケに』

そっけない返事のピグロンに、ミースは首だけが何時までもショーケースの向こうに釘付けだ

「あんな・・・下着でもカラフルな物はないぞ・・・」

なぜか飾ってあったビキニタイプの水着のマネキンを見ながらサリオが目を見開く

『この”船”でハ”主”でもアル、拓真様の世界のモノを取り揃えておりまス』

「タクマの世界・・・」

ピグロンの説明に呟くしかないサリオであった



『お疲れ様デシタ。こちらが休憩スペース”らうんじ”でス。御自由におくつろぎクダサイ』

次に案内されたのが革張りのソファーが並ぶ、拓真の世界で言うところの空港ラウンジ並みの休憩室だ

「これ、は・・・随分と座り心地のよいシファーだな」

一応、この世界でもソファーはあるがさすがに異世界の物とは格が違い過ぎる

『カンタンなお食事も御用意いたしましタ。こちらをどうゾ』

示されたテーブルの上のカバーが展開すると、そこには軽食が並ぶ。サンドウィッチ、ハンバーガー、スナック菓子類、鶏肉の唐揚げ、フライドポテト等

「う、うまそう、だな」

随行の騎士団員からごくりとつばを飲み込む音が聞こえる。どれも出来たてのように湯気が立っている。だが誰も手をつけずに、全員の視線がサリオに向けられる。今、この集団の意思決定はサリオにあるのだ

サリオがその空気に押されて、食物のひとつサンドウィッチを手に取り、一口かじる

「・・・!美味しい」

その言葉に反応して、20名全員がわっと群がる。全員が我を忘れてその異世界の食べ物に夢中になる中、ピグロンが再び声を発する

『お飲み物も御用意いたしましタ。色々取り揃えておりまス。お好きな物をドウゾ』

食物ばかりで水物が無かった為、全員が何か飲みたいと欲求を覚えた頃合を見計らうように別の”ロボット”が運んで来たドリンクをテーブルに並べていく

「えっと・・・どれがどれなのかな・・・?」

テーブルに並べられた色とりどりの”ドリンク”にセイムが困惑している

『各種ソフトドリンクに、アルコールを少々御用意致しましタ』

そう言うと端から起用にマニュピレーターハンドで指差しながら説明していく

『こちらカラ、アイスコーヒー、オレンジジュース、グレープジュース、ウーロン茶、ロッコウのオシシイ水、かるピス、ジンジャーエール、ビール、シャンパン、もすこみゅーる、かるーあミルク、梅サワー、レモンサワー、ライムサワー、ハイぼーる・・・』

何故か居酒屋メニュー的なドリンク類も多数まぜつつ、説明していく。その説明に付いて行けなくなったのか、ミースが目の前のグラスを引っつかむとぐい、と飲み干した

「うっめぇ!なんじゃこりゃぁ!」

ミースが飲んだのはグレープジュースだったようだ

その言葉に誘発されるように、おのぼりさん20名は我先にとグラスに手を伸ばす

あちこちで、うめぇにげぇかれぇ等とアタリハズレを堪能する様をみて、サリオもグラスのひとつを手に取った

「冷たい・・・きんきんに、冷えているのか!」

この世界ではありえない冷たさの飲み物。サリオが手に取ったそれは、”かるーあミルク”。コーヒーリキュールをベースに牛乳で割った口当たりの良い、アルコール度数が高い”お酒”だ

「・・・っむ、美味しい!」

それをぐいぐいと飲んでしまうサリオ

『どうぞどうぞ、おかわりはタクサンありますかラ』

悪魔の囁きが聞こえる



小一時間もすると、休憩所は宴会場になってしまった。20名が上を下への大騒ぎである

「でよぉ!あんにゃろうめは、ワターシの言う事をききやがらねぇでやんのぉ!!」

”獏炎のミース”もアルコールが回って御機嫌だ

「わら、わらし!よっぱらってなんか、らい!らりるれり!!」

”焦熱のセイム”も御機嫌だ

「しくしく・・・それでね、団長ったら、酷いのよぉ・・・!」

”煉獄のソーネ”は泣き上戸だ

「我は、酔ってなぞ、おらぬ、ぞぉーーい!」

”団長サリオ”はおっさん化していた

全員がべろべろに酔っ払う中、その”宴会場”に遅れて姿を現してしまった人物が・・・

治療を終えた拓真とキラッセ、”ミドルオー”から回収されて来たであろう”集落フロスト”の新婚夫婦カイムとケリス、最後にホークアイの面々だ

「・・・何この地獄絵図?」

拓真が腹部に巻かれた包帯を手でさすりながら呟くと、案内ロボット”ピグロン”が大げさに歓待した

『お疲れ様デス!場はアッタメテおきましタ!』

「オンドルウラギッタンスカァ!のズンダですぅ。なんか”ビッグ・ダイン”って、居酒屋だったんですかねぇ・・・うらやま、いや!そんな事はないです!次回、城塞都市編 第十九撃 そして魔界へ に照準あわせ!ですぅ!・・・あ~ぁ、私も飲みたかったなぁ、”カルーア・ミルク”・・・」

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