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城塞都市編 第十六撃 拓真は二度死ぬ

天に向かって吐いた唾は、落下地点を見極めて避ければ当たらないのである


~モットーモ・ナ・ハナシダ名言集より~

拓真たくまは考える。戦闘の終わりが見えた今になって戦場にしゃしゃり出て来た、この二人の意図を

「俺が武器を納めたら、そこの四天王はお前等も一緒に倒そうとするんじゃねえの?」

レーザー・ソードを自身の腰に納めた拓真は、ラーセルスとペッスムに向かってそう言い放つ

「黙っていろと言った」

ラーセルスは拓真を睨むと、一言そう告げる。なので、拓真は口をつぐみ腕を組むと鼻で息を吐き出す

「フッ・・・」

その様子を見てからラーセルスは四天王の方に向き直ると顎をあげ、鷹揚に語りだす

「いい様だな。ユウゼス。四天王最強とぬかしていた貴様は何処へ行った?」

「ぬぅ・・・」

「ラーセルス!アナタねぇ!」

「・・・・・・・」

ラーセルス如きに上から目線で語られ、四天王の残り三人はいきり立つ

「おっと!貴様らも大人しくしていてもらおうか?」

そう言うと片手で動きを制する

「この場に俺が現れなければ、貴様ら四天王、いや3人だから”トリオ”か」

そう言うと拓真に親指を立てて示すと

「そこの”転生者”に全員やられてたなぁ?」

そう言うとにやにやと顔をにやけさせる

「貴様!」

怒りの表情を滲ませるユウゼスに、ラーセルスは指をちっちっちと振ると

「解ってない様だな?今のこの状況は”3すくみ”であるのだよ?」

ラーセルスは余裕の表情を崩さない

「”転生者”はお前等に強い。そしてお前らは我々に強い。しかし我々も”転生者”には強い」

「人質取ってるからな」

「ダマレといっているッ!!!」

エラそうに講釈したラーセルスに、突っ込みを入れたら逆切れされた拓真である

「・・・だが・・・我らの動き一つでこの関係はどうとでもなるのだよ?」

こほん、と咳払いをしたラーセルスはそう言うとにやにやした顔をペッスムに向ける

「左様。我らが付いた方がこの戦いの勝者になれるということだ」

ペッスムはしたり顔で言うと顎をさすり

「条件はひとつ。私を王として認めるかどうかだ」

と全員に言い放つ

「ちぇ、ついに馬脚を現したなペッスム。てめぇ最初っからそれが狙いかよ」

拓真が呆れ顔でペッスムに悪態をつく

「やれやれ・・・本当に”転生者”というのは頭が悪いのう・・・」

ペッスムはそういうと首を左右に振る

「今はその様な戯言を話しているヒマは無い。私を王として認めるか、否か、だ」

そう言い放つと、ペッスムは胸を反らす


拓真は考える  「アホか、こいつは」 と


『仮に俺が認めると言えば、まだコイツらが助かる見込みはあるだろう。だが四天王が認めると言えばどうなる?俺達を倒した後、速攻で四天王にやられるぞ』


そこまで考えた拓真は「あ」と思いつく。コイツら・・・・味方に付けた四天王を背後から倒すつもりだな?と


『四天王を倒した実績と、俺達を服従させるという二段構えの作戦か?』


そんなに上手く事が運ぶと思ってやがるのか?と拓真が考え付いた時、四天王が動き出す

「・・・ラーセルス。貴様は超のつく”馬鹿”なのだな」

ユウゼスが両の手をぼきぼき鳴らしながらラーセルスに近づく

「このままその脳天、打ち砕いてやるわ!」

そのまま振りかぶったユウゼスを見つめるラーセルスはにやけ顔を崩さない。その速さに人質を盾に拓真になんとかしろ、と言う暇もない。が

「むぬ!?っく・・・・?」

振りかぶった状態でユウゼスが固まる。あっけに取られる四天王と拓真

「・・・くくく・・・くはははは!この俺が、なんの勝算も無しにのこのこ出て来ると思ったか?」

高笑いするラーセルスをよそに、拓真は少々困惑していた。これは魔法?金縛りの術なんてものを使える魔法使いなんてのは・・・拓真の頭に嫌な予感がよぎる

「出て来い、魔法使い”ズンダ”このマヌケ共にその顔を見せてやれ」

ラーセルスが言うまでも無く、ペッスムが乗って来た馬車に向かって声をかける

「をいをい・・・・・」

信じられないといった顔の拓真の目に、馬車から降りて来た”ズンダ”が映る

「・・・・・・・・」

無言のまま、無表情のズンダは魔道士の正装とも言うべき衣装を身に纏い、ペッスムの前に進み出た

「紹介するまでもないな?人族唯一にして最高位の魔法使い”ズンダ”だ」

ペッスムが表情を崩すことなく、そう彼女を紹介する

「参ったね・・・・どおりでこの戦場に居なかったわけだ・・・」

拓真は頭をかく。失念していた訳ではないが、勝手に例の”巻物”の解明に勤しんでいるものと思って、この戦闘には声をかけなかったのだが・・・・

「さて、どうする?四天王の諸君。まだやるかね?」

ラーセルスが勝ち誇ったように言うと、動きの止まったユウゼスの拳を撫でる

「そうそう。”転生者”のタクマくん、だったかな?君もその危なっかしい武装を解除してもらおうか」

わざとらしく拓真に話を振るラーセルス

「その腰の剣と・・・空を飛んでるアレも、下に下ろしてもらおうか?」

目線で宙にホバリングしているミドルオーと腰のレーザー・ソードを示す

「ズンダ・・・・」

拓真はズンダに声をかけるが、無表情のズンダは答えない

「ハッ!」

「えぃ!」

残る四天王のヤーンとヨーディが何がしかの行動を起こす。が、一瞬にしてズンダの拘束魔法が発動して二人は固まる

「ぎっ・・・う、そ、で、しょ」

「く~~動けないよぅー」

無表情のズンダがあっさりと3人もの魔族を拘束したのを見て、拓真はズンダが正気だと悟る

「操られている、という訳では無さそうだな」

そう言うと拓真は腰のレーザー・ソードの柄を外して、ラーセルスの足元に放り投げる

「空に浮いてるアレもだ」

ラーセルスに言われるがまま、拓真はミドルオーに乗っているケリス達に合図する

そこへ、蹄を鳴らして騎士団団長サリオと数十名の騎士団員が到着する

「これは一体?タクマ?ズンダ?ペッスム様?魔族のラーセルス?!」

さしものサリオも、現場のカオスな状況に思考が追いつかないようだ

「んぐんぐ」

「むーむー」

サリオの姿を見て、ペッスムの人質になっているキラッセとソーネが猿ぐつわのまま、訴える

「ソーネ?!キラッセも!・・・これは一体全体、どういう事!?」

ますます混乱するサリオは一旦馬から降りる。他の団員達は騎乗したまま、成り行きを見守る

「丁度いい!騎士団団長のサーリオ殿ォ!この現状を認識した上で貴殿に問おう!」

ペッスムが段々と変なテンションになり、サリオに問いかける

「今、魔族、転生者、そして我々と、3すくみの状況だ!さぁ、貴殿はどこにつく?!」

「え、えぇ~~~?」

さすがのサリオも困惑を隠さない。追従できた他の騎士団員もざわざわしている

「サリオ!」

拓真がサリオに声をかける

「タクマ!?これはいったい・・・私はどうすれば?」

「気にするな。お前の好きな様にすればいい」

拓真に助けを求めたサリオだったが、簡単にサジを投げられてしまった。どうしよう・・・作者も困った・・・


その時


ばきばきばき

周囲に展開していたと思われる、防御魔法の防壁らしき物がひび割れていく。まさに空が割れるといった様相だ

「なんだ?」「何?」「む?」「何事!」

その場に居た全員が周囲の異変に驚く

ぱぁん

空が割れて粉砕される。そして周囲の空間が真っ赤に染まる

「まさか・・・!」

ズンダが驚く。その様子を見て、ペッスムがズンダの肩を掴み揺さぶる

「なんだ!何を知っている!答えろ!」

「結界が、結界が割れて別の場所に繋がりました。この空の色は・・・魔界?」

ズンダが驚愕と共に発した台詞はその場に居た全員にも衝撃を与えた

「ま、魔界、だ、と・・・?」

ペッスムがその言葉を聞いてよろめく。ラーセルスも驚き顔だ。拓真も少々驚き、サリオ達騎士団も動揺している。唯一、四天王達だけがにやりと笑う

「くっくく・・・来たか」

「な、なんだと?」

ユウゼスが固まったまま言葉を発するのを見てペッスムとラーセルスがたじろぐ

「今回の攻撃が我らだけと思ったか?我らは”総力戦”で挑んでるのだぞ」

にやりと笑うユウゼスを見て、ラーセルスが後ずさる

「ま、まさ、か・・・全軍、だと・・・」

「そうだ。この現象は魔王様が結界を破って魔界に繫げたものだ。そうら、くるぞ・・・」

ラーセルスの驚愕した顔をよそにユウゼスが目線で彼方を見ると

どずん

重い足音が響き、巨人の群れが見える

「魔族軍大将”ローバクウ”様のゴーレム軍団と副将”レゾウ”様のガーゴイル軍団だ」

ユウゼスがそう宣言すると同時に、空から翼を持ったガーゴイルと呼ばれる化け物が飛んで現れる

「これで逆転だな!貴様ら全員ここで死ぬのだ!」

勝ち誇ったユウゼスが叫ぶ

「く、くくくく・・・・」

ラーセルスが額に脂汗を浮かべて歯軋りする。ペッスムはズンダを盾にして馬車へと後ずさる

「おい、どうすんだ?もっとすげぇのが来ちまったぞ」

拓真がその様子を見ながらペッスムとラーセルスに声をかける

「うううう、うるさい!そ、そうだ転生者!貴様がなんとかせい!あやつらを倒して来い!」

ペッスムが錯乱して拓真に言い放つ。拓真は、はぁ、と溜息を吐くと

「何を勝手な・・・そんならまず、キラッセとソーネの二人を帰してもらおうか?」

そう言うと拓真は二人に近づく

「んん、えぃ!それ!それ!」

ペッスムはそう呻くとキラッセとソーネを拓真のほうに突き飛ばす。ラーセルスは驚く

「おい!勝手な事を!」

「だ、黙れ魔族!貴様がもたもたしているからこんな事になるのだぞ!」

言い争いを始めた二人をよそに、後ろ手に縛られたキラッセとソーネを受け取った拓真は急いで戒めを解く

「大丈夫か、怪我は無いか?」

そういって猿ぐつわを外すとキラッセは涙目で

「タクマーッ!」

といって、拓真に抱きついた。ソーネはサリオが戒めを解いている

「ふぅ、すみません団長」

「無事で良かった。”他の二人”は?」

「えぇ・・・それが・・・」

サリオとソーネがなにやら話し掛けた時、その声が響き渡る


「消えうせろ!」


頭上に強力な何かを感じ、全員が空を見上げる。そこには巨大な火の玉が形成されていた

「な」「何」「なんだ」「あれは」「うそ」

その場の全員が声をあげた瞬間、その火の玉は落下してきた。間に合わない

「スモルガー!バリアーだ、全員を・・・・」

拓真が必死でスモルガーに指示を飛ばす。瞬間で起動したスモルガーが拓真の横についた瞬間、火の玉が着弾し、あたり一面が炸裂した


燃える辺り一面に、三つのドーム状のバリアーが展開されていた。ひとつはギリギリで展開したスモルガーのバリアー。ひとつはズンダの展開した魔法結界バリアー。最後のひとつは四天王のヨーディが展開した魔法結界バリアー

「あつつ・・・間一髪かよ・・・」

炎が収まったと見て拓真がスモルガーのバリアーを解除する。スモルガーのバリアーは優秀で、拓真とキラッセだけではなく、サリオ達騎士団もカバー出来ていた

「すまぬヨーディ」

「助かったわぁ・・・」

「うーん、危なかったよぉ。ギリであそこのおねーちゃんが拘束を解除してくれたからねぇ」

四天王の三人がズンダを見る

「・・・・・」

無言でズンダが魔法結界バリアーを解除すると、それに守られていたペッスムは腰をぬかす

「たたた、たすかっ・・・」

「どういうつもりだ、貴様!」

一緒に守られていたラーセルスがズンダに食って掛かる

「・・・・・」

無表情&無言のまま、答えようともしないズンダ

「しっかし・・・こんな火の玉作り出せるヤツってなぁ・・・」

拓真がそう言いかけた時、背後に凄まじい殺気を感じる

「ッ!!」

思わず、横に居たキラッセを突き飛ばす拓真。同時に貫かれる拓真の腹部。光る刃が突き出ている

「ぇ・・・・タクマッ!」

「ぐ・・・くぉ」

キラッセの絶叫に、腹部を背後から貫かれた拓真はうめき声しか出せない

「貴様だ・・・・貴様さえ居なくなればどうとでもなる」

その光景にそこにいた全員が息を呑む。背後から拓真を刃で貫いた人物

「ま、魔王、ベルリム」



「俺、キラッセ。ぐっちゃぐっちゃの戦場でタクマは凶刃に倒れる。納得がいかない四天王、ズンダを味方に付けていたペッスム、それを利用したラーセルス、とばっちりの団長サリオ。それぞれの思惑が交錯する中、魔王ベルリムことカナコが宣言する。それは戦いの終焉なのか?次回 城塞都市編 第十七撃 降臨 でまた会おうな!タクマァ!死なないよねぇ!?」

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