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城塞都市編 第十五撃 交渉

諸行無常~~

圧倒的な火力で”ミドルオー”は魔族軍のモンスターを粉砕していく

ぶいーん ぱんぱんぱんぱん たたたたたたたたた

飛行形態のままホバリングをしつつ、正面下部からせり出したガトリング速射砲が火を噴く

ぱしゅーぱしゅー

本体の背中にあたる部分からは、迫撃砲が撃ち出される

ぼんぼん どここぉーーん

着弾した迫撃砲は爆散し、固まっているモンスター群を広範囲に渡って撃滅する 

大物の”キマイラ”や”ヒュドラ””ベヒモス”等の相手をしていた拓真たくまはその様子を見てひゅう、と口笛を吹く

「やっぱ近代兵器ってのは、ぱねぇな」

たった一機ではあるが、範囲殲滅能力を持った近代兵器の塊である”ミドルオー”が参戦した事により、戦局は一気に此方側に傾いた

「ん、あれは・・・ワイバーン、てやつか?」

数十頭単位の飛行物体が、群れで飛んできたのを確認した拓真はそれを見て目を細める

「ま、今更投入しても遅いけどな」

飛行モンスターによる、上空からの攻撃。同時進行でなく時間差で仕掛けて来たのには戦略的な意味合いがあったのだろうが、ミドルオーが参戦した今では遅すぎだ

どんどんどんどんどん

ミドルオーもその飛行編隊を確認したのか、それらに向かって新たな武器、40ミリ機銃を掃射し始めた

ぎゃあぎゃあ

当たった側から、絶命し落下していく仲間を見てワイバーンの群れは騒ぐが、すぐに機銃の餌食になり自身も落下する運命となる

「いやー、一方的だな。もう全部アイツだけでいいんじゃないかな?」

無敵の強さを誇るミドルオーを見て、拓真は気分が高揚して来る。自身の操るスモルガー・マークⅡも大概だが、ミドルオーのそれは違う意味で大概だ

開戦から1時間半を経過した現在では、魔族軍はもはや風前の灯に見える


硝煙と血糊でむせる戦場に、ついに四天王が姿を見せる

「おのれ”転生者”。貴様の強さは異常だ!」

遠目からでも分かる、顔を真っ赤にして怒り狂っているのは開戦の声をあげた四天王の”ユウゼス”だ

「ようやく出てきたな、元勇者パーティズ」

大型モンスターを蹴散らし、周りに敵が居ない事を確認した拓真は、拡声器で出てきた四天王に告げる

「ここまで我が軍がやられるとはな!貴様の力を侮っていたわ!」

そう叫ぶ彼の横には、見た事のある四天王”ヤーン”と始めてみる小さい子供の魔族が並んでいる

「で、どうする?そちらの戦力はもう品切れか?降参するってんなら、話を聞いてもいいぞ」

「舐めるな!我と勝負せよ”転生者”!出て来いや!」

出て来いや、って・・・・めんどくさいから機銃掃射で倒しちゃおうか?と考えた拓真だったが、四天王には魔王ベルリムこと”カナコ”について聞きたい事もあるし、今後の事も考えると直接刃を交えるしか?と考えをめぐらす

「臆したか”転生者”!所詮その程度の男だったか!」

いや、好き勝手言ってますけどアアタ。殲滅する気まんまんで命乞いすら許さん、とか言ってませんでしたっけ?と心の中で盛大な突込みを入れる拓真

「ふぅ・・・ラーセルスといい、アンタといい・・・魔族ってのはオツムが弱いのか?」

ざ・・ざ・・・

この世界では使い物にならなかった通信機が音を立てる。恐らくミドルオーからだろう

「たく・ま。だ・じょ・うぶか?」

切れ切れではあるが、この距離ならなんとか意味は理解出来る

「あぁ。なんとかしてみよう。警戒だけは怠らないでくれ。後は、前の時と同じだ」

分かりやすいように、ゆっくりと通信機に話し掛けてから拓真は応答を待つ

「りょ・・・か・・した」

ブツ切れで聞こえてきたが、向こうもこちらの意図を汲んでくれたらしい

「まぁ。身体能力強化があるから、肉弾戦でも負ける気はしないんだが」

そう言いながら、拓真はミドルオーに乗る”カイム”と”ケリス”夫婦に・・・ホークアイもいたか。に、合図を送る

ちかちか

ミドルオーの前面のライトが点滅し、合図の返信を確認。これで自身に何かあったら、ミドルオーの機銃掃射でなぎ払う、という準備が出来た

スモルガー・マークⅡをバイク・モードに変形させ、その横にすっくと降り立った拓真

「俺が”転生者”の拓真だ。そっちの”ヤーン”は知ってるが、他は誰だ?」

並び立つ四天王の3人に拓真は尋ねる

「我は”ユウゼス”」

「ボクは”ヨーディ”だよ」

「”ヤーン”よ。この間の借りは返すわよ」

あれ、3対1なの?と拓真は困惑する。が

「二人とも、下がっていろ。こいつとは我だけでやる」

そう言ってユウゼスは背中の巨大な両手斧を取り外して構える。ヤーンとヨーディは後ろに下がる

「なんだ、よかった。いきなり3人で来るのかと内心焦ったぜ」

「この四天王のユウゼス、そこまで落ちぶれてはおらぬわ!」

そう叫ぶと両手斧を振りかぶって襲い掛かってくる。こっちの体勢とかは考えてくれないのね、と拓真は思いながらその攻撃をかわす

どずぅん

重たい打撃音を響かせて、両手斧が拓真がいた地面に食い込む

「よくぞかわしたな?だが何時までかわし切れるかな!」

ユウゼスはそう言うな否や、地面ごと両手斧を掘り起こして拓真に振り抜いてきた

「ちょっちょちょ!」

拓真もそう言いながらその斬撃をかわす

「こっちの体勢も整ってないってのに、随分せっかちな野郎だぁ」

そう良いながら腰のレーザー・ソードに手を伸ばす

「我は、おんな、だぁああああああああああああ!」

そう言いながら再びの両手斧の斬撃を振りかぶったユウゼスに、拓真はえぇ?と間抜けな声を出すのだった



城塞内では騎士団団長のサリオが忙しく指令を出していた

「勝機は熟した!門を開け、騎馬隊で出るぞ!」

ミドルオー参戦により城門の外に群がっていたモンスター群を殲滅し、尚且つ見渡す限りの大軍団であった掃討もあっと言う間に終わってしまったのだから、騎士団の士気もうなぎ登りだ

おぉぉおおおお

勢いに乗る騎士団の掛け声と共に騎馬隊の出撃が開始され、城門前に整列がなされる。そして城門が大きく開かれた時

「どけどけ、道をあけろ!」

怒声と共に城塞の奥から別の騎馬と荷馬車が駆け込んでくる

「なんだ!?何処の者だ!」

騎馬隊の隊列を乱された分隊長らしき人物が、駆け込んできた騎馬と荷馬車に声を荒げる

「ペッスム閣下の騎馬軍である!」

勢いをそのままに謎の騎馬と荷馬車は騎士団の横を走りぬけ、外に出て行ってしまう

「ペッスムだと?」

サリオはその名前を耳にした時に、ペッスムが私兵を持って個人の衛兵団を所有していた事を思い出す

猛烈な勢いで走り抜けていった騎馬と荷馬車を見つめながら、サリオは部下に命令する

「馬ひけぃ!城塞内は副団長に任せる、他は私に続け!!」

そう言うと物見台から飛び降りて自分用の馬に跨り、出て行った騎馬の後を追いかける

「まさか・・・タクマの予想が当たったのか?」

追いかけるサリオは戦闘開始前に拓真と話した事を思い出していた”ペッスムには気をつけろ”と

「・・・3騎士・・・上手くやれたのか・・・」

サリオはそう呟くと、騎乗した馬を早く走れとばかりに急かすのだった



びちん

歪な音を立てて、ユウゼスの振るっていた両手斧が両断された

「ふぅー」

息を吐く拓真の片手にはレーザー・ソード。この世界では反則級の武器である

「むっくく」

刃の部分をすっぱりと切断され、もはや鈍器と化してしまった両手斧を放り投げると

「くぉぃ、”転生者”殴り合いだぁ!!」

と叫ぶと両手を握り締めてボクサースタイルをとる

「なんでそうなる・・・コイツに切られてみるか?」

拓真はカモンカモンしているユウゼスに向かって、レーザー・ソードを着き付ける

「ふっぐ・・・・ううううう」

自分のしている事が無意味であると悟ったのか、額に脂汗を流してユウゼスは怯む。すると、後ろに下がっていたヤーンが戦闘態勢に入り、ヨーディとやらも何やら両手を前に突き出し、魔法使い的な雰囲気を出している

「おいおい、後ろの二人。決着がつく前から乱入する気満々かよ?」

そう言って牽制する拓真

すでにこの戦場で動く者は四天王と数匹のモンスター群、後は宙にホバリングしているミドルオー位のものだ。この四天王との戦いがもはや最後の舞台となっている


戦局は決したのだ


現在も四天王が押されており、あれほどの規模で攻めて来た魔族軍を構成していたモンスター群ももはや壊滅状態。軍にいたであろう他の魔族等は姿も見えない

「もういいだろう。この戦いは終わりだ。お前らも解っているんだろう?」

拓真は四天王の3人に言い聞かせるように話す。確かにこの状況では誰が何をしようと勝てないと思われる。いや、恐らく勝てないであろう。物量で負け、個人スキルでも負けたのだ

その誰の目にも勝敗が明らかと思われた戦場に、場違いな騎馬と荷馬車が走りこんで来た

「何?」

拓真がその騎馬と荷馬車に目を向けると、丁度拓真と四天王の中間で停車する。さすがの四天王もその荷馬車に気を取られる

がちゃ

荷馬車の扉が開くと、最初に姿を見せたのはラーセルス。四天王の1人であり、城塞都市の地下牢獄に居るはずの人物。その場の全員があっけにとられる

続いて後ろ手に縛られたキラッセと炎の3騎士の1人、煉獄のソーネ

「んぐんぐ」

猿ぐつわを噛まされている為、言葉が出せない状況。最後に出て来たのは・・・

「皆さんお揃いで。”転生者”もご無事で何より」

鷹揚な言葉で話し出したのはペッスム。城塞都市の有力者の1人だ

「邪魔な怪物共も片付いた事だし、ここからは政治的なお話を致しましょうか」

余裕しゃくしゃくで、話出すペッスムに拓真が待ったをかける

「政治的な話ってのには不似合いな格好で、俺の知り合いが連れて来られてるんだが?」

「おぉ、さすが”転生者”。良い所に目が行く」

わざとらしくペッスムが驚く。そしてその手でキラッセとソーネの肩を抱き寄せると

「このお二方は、交渉の道具、ですよ」

と拓真に見せ付けるようにする。キラッセとソーネは思い切り顔を背ける

「道具・・・・俺の知り合いを道具とか抜かしたか、この糞野郎」

「言葉には気を付けたまえ”転生者”。部外者が大きな顔をして、この国に関わるんじゃない!」

目をむき、怒りを隠そうともせずに敵意をむき出しにするペッスム

「まぁまぁ・・・ペッスム殿。相手はどこぞの馬の骨。礼儀など知らぬのも無理は無い」

そう言ってなだめたのはラーセルス。牢屋で会った時とは別人の様に顔に余裕がある

「おーおー言うね、ラーセルス。人質取って、急に強気になるとはな」

「黙っていてもらおうか?”転生者”」

ラーセルスまでペッスムと同じ言葉遣いになって来ている。もはや処置なし、と考えた拓真は片手に握っていたレーザー・ソードを仕舞うと

「んで、どんな”交渉”を始めるんだ?」

と、勝ち誇っているトンビに油揚げコンビに問いかけるのであった

「よぉ!一周回って、拓真だ。ペッスムとラーセルスの”トンビに油揚げコンビ”が四天王との決着の場に割り込んできやがった。何?俺の武装を解除しろだと?冗談も休み休み言えってんだ。そんな事して魔族軍をお前らに抑えられるのか?次回 城塞都市編 第十六撃 拓真は二度死ぬ でまた会おうぜ!・・・ぇ?俺、また死ぬの?!」

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