失敗した、俺
誤字脱字、行間ミスとか多々あっても気にせんでくだせぇ・・・
「くそう・・・どこでしくった?」
照りつける日差しというには、あまりに暑い日光の中、拓真は徒歩で移動していた
目指しているのは、半時前にレーダーで確認した場所、恐らく人が住む集落と思しき場所だ
話は昨日の爆走時に遡る。
ド派手な異世界デヴュウを目指して、平原の街道沿いにあったレーダーに映った城塞都市へ変形バイクロボ「スモルガー」を爆走させて接近した拓真であったがその派手な外観と、わざと響かせた爆音によって、半ば暴走族的な勢いを持ってしまったのに気が付くのが遅かった
もちろん、この世界の住人は暴走族なんて知らないだろうし、今現在でもあまり見ることが少なくなっている御時世(本人がそれと意識していたのか、元々そのものだったか定かではないが)意識が高揚していた当の拓真ならいざ知らず、初見の人間ならば間違いなく目を引き、ましてや何がしかの防衛、守備業務等についているものならばおもいきり警戒するであろう
本人がシモベにバイクをチョイスしたことで、本人も気づいてはいないだろうが、暴走族では無かったにしろ、バイクそのものには縁が深かったのであろう。意識下の無意識、というやつで図らずもそれに近い風体を保ってしまったのが、運の尽きだった
大きく、高い塀に囲まれた城塞都市(名前は知らない)に入場待ちをしている何がしかの荷車や馬車等のそれほど長くはない最後尾に、本人はカッコ良くのつもりでブレーキターンをかけ車体を真横にして停車した
ズザーー!
停車した際に、車輪やボディで削り上げた土埃を隊列の後ろにいる人達にかからないよう上手く停車した後、正面を向き、メットのシールドをカパっと上げる
「ふぅ。ここが人が集まる街、か・・・でかいな」
いきなり爆音と共に現れて最後尾についた、この世界の住人からすれば恐らくは初めて見るであろうその赤い物体、衝撃度はいかほどだったであろうか?
落ち着いて、ポーズを決める拓真とは裏腹に、周囲の騒めきは収まらない
すると
正面の城塞都市からラッパのような音が響いてきた
「ん?この世界にも、楽器があるのか」
呑気に構えた拓真はそんな感想を漏らす
「そういや何かが足りないな・・・あぁ、タバコだタバコ。一服、したいなぁ・・・」
自然と口から出た言葉、記憶は曖昧でも以前から行ってきた行動は染み付いてるようだ
「そうだな。まずはこの町で冒険者とかにでもなって、このバイクロボを使って一旗揚げるか」
何となく頭に浮かんできたビジョンを色々想像しながらニヤついていると、正面の城塞都市から軍馬の大群が出撃してきたのが見えた
「・・・アレ・・・」
先程聞こえたラッパのような音、あれはもしかして進軍ラッパ?
頭の中に嫌な予感がよぎったとき、先頭集団の中から光る物体が飛んできたのが見えた
シュンーーーー!
顔の横をそれは通り過ぎ、反対側の地面に突き刺さる
「をいをいをい、冗談だろ」
放たれたそれは、紛れもない弓矢
それをきっかけに、軍馬の中から次々と矢が放たれてくる
「ちょぉーー!いきなりかよぉぉ!」
自分には当たらないものの、バイクのボディに当たりだしてカンカンと音を立てる中、拓真は慌ててハンドルを握り無意識のうちにバイクを動かす。・・・アクセルターン・・・
バイクテクニックの一つで、停車した状態からアクセルとクラッチを上手くつなぐ事で可能になる車体を反対向きに動かすテクニック。今度は巻き起こる土煙を気にする余裕もなく、そのままアクセルを全開にし逆走をする
「ひぃ~~、異世界、なめてたぁ~~~!!」
背後から飛び交う弓矢の雨の中、拓真は姿勢を低くし敗走さながらにその場を後にした
「くそったれぇ・・・やっぱ初見にゃ刺激が強すぎたか・・・あの弓矢、ヘルメットが無ければ即死だったぞ!」
逆走の際、ヘルメットを被っていた後頭部に当たった弓矢を思い出し悪態をつく。その反省点を考慮し、騒ぎを起こした城塞都市を遠く離れた場所に発見した、レーダーに映る集落には徒歩で近づくことにしたというわけだ
更に念を入れ、この世界での服装ではないことも考えて道すがら拾ったボロきれを纏いヘルメットは外して、マントのようにしたボロきれの中に隠して歩き出したわけである
「これなら・・・まぁ、怪しいけどいきなり弓矢は飛んでこないだろ?」
そして冒頭の場面に戻る訳である
「にしてもあっちぃ・・・上手く集落?に潜り込んだら水かなんか飲みてぇな・・・そもそも水ってタダなのかな?有料?炭酸ドリンクなんて無いだろうしなぁ」
そんな独り言をつぶやきながら、集落の入り口と思しき場所に近づいた時・・・今度は木の板を叩いてる様な音が響いてきた
かんかんかん
「・・・ぇ~~・・・なんかこれって・・・」
考える間もなく数人の男達が集落の正面から走ってくるのが見えた
「止まれ!怪しい奴!」
男達の中から怒声に近い声が響き、それぞれが手にしていた槍やら剣やらを突き付けられ、あ~言葉は通じるんだなぁ、と思いながら急に感じた眩暈に耐えられなくなり、その場に膝をつく拓真であった
なかなか、ハードボイルドにもハーレム展開にも戦闘描写にもなりません・・・