城塞都市編 第九撃 復活の漢
前回の前書きに書いた歌の一節。アレ、気になって調べたら町田義人さんの
”戦士の休息”っていう歌の一節でした。CMで使われてたかどうかは
記憶が曖昧でしたが、映画”野生の証明”の主題歌ですね
テキトーこいて、えらいすんません・・・
集落”ヘローン”入り口前の街道では、魔族軍とホークアイを筆頭にしたズンダとソーネ、集落の守備兵による戦闘が、熱を帯びていた
「カーッツカカカ!!」
ホークアイが傷だらけに成りながらも、その槍を振り回し、無双の活躍を続けている
「火炎魔法”ファイア・ボール!」
ズンダも攻撃魔法を使用し、背後からの支援に回っている
「はぁーーっ!!」
”煉獄”の異名をとるソーネも、その名に恥じぬ剣さばきを見せ、押し寄せるモンスターを切り捨てている
だが
「くっふふ・・・今回は、これだけじゃぁ無いのよぉ?」
ホークアイとひとしきり戦いをした四天王の”ヤーン”は、一旦後方に下がると懐から魔法石を取り出した
「カッツ!?そ、その魔法石は・・・・!」
「くっふふ・・・そうよぉ、”ドラゴン”を召還する為のものよぉ?」
ヤーンはそう言って石に頬ずりし、軽く口づけをした。そして
「出なさい!”ドラゴン”!!」
そう叫ぶと、魔法石を地面に叩きつける。禍々しい光があふれ出し、その中心に影が現れる
「カカッ!こんな集落に”ドラゴン”を用意してくるとはッ!」
光が収まると、そこには全長20メートルはあろうかという四足歩行の伝説の怪物、”ドラゴン”が
残された
ぐばおおおおおおおん!
以前別の集落で別の四天王”ラーセルス”が使用したのと同じ物、それが使用されたのだ
「でもぉ、まだまだよぉ!!」
ヤーンはそう言うと、再び懐から”もう一個”魔法石を取り出して宙に掲げた
「ッツ!!!」
それを見て驚愕するホークアイ。一体でも討伐するのには、攻城兵器と多数の騎士団や騎兵を必要とする”ドラゴン”が、二匹も!
「そーぉれっ!!」
ヤーンがバレーボールのサーブの掛け声よろしく、地面にもう一個の魔法石を投げつけると、再び禍々しい光と共にもう一匹の”ドラゴン”が姿を現した
「さ~て?”転生者”向けに用意して来た”ダブル・ドラゴン”よぉ~?どうおぉ?」
頑張ってね、とばかりかがんで投げキッスをするヤーン。対するホークアイ達は、圧倒的な戦力差に全員が、硬直し絶望感に包まれていた
キラッセは、冷たくなり動かなくなった拓真の側で、じっと動かずにいた
過去に、魔族軍によって住んでいた場所を破壊され、両親共々逃げた先で待ち伏せに会い、自分を助ける為に両親が傷を負い、それが元で二人とも亡くなっている。
そんな過去を持つキラッセだからこそ、今回の拓真の死はきつかった。
「・・・初めて会った時、さぁ・・・覚えてるか?タクマ・・・」
ひとしきり泣いた後、思い出す様に拓真に語りかけるキラッセ
「あの時は、ボロを纏ったお前が、なんかこの世界の人間じゃない、って空気が凄くてさ」
そう言いながら顔を上げて、拓真を見つめる
「・・・ヘヘッ、なんか時間の止まっちまった俺を、そこから連れ出して欲しいって、単純に」
そこまで喋ると、また涙が溢れてくる
「・・・たんじゅ、んに・・・思った、だ、け、だった、んだよぉぉぉぉ!」
そしてまた嗚咽する
「そ、れなのに・・・・何時の、間にか・・・お前に惹かれていく、俺がいて・・・・」
上手く自分の気持ちが表現出来ない。年齢が上の拓真に、父親か兄のような感情を抱いていたのか、それとも年齢差を越えた愛情なのか。今のキラッセには表現出来なかった
「うっうっう・・・・・・・」
そのままベッドに突っ伏して、泣きじゃくるキラッセ
その頭に、動かない筈の拓真の手が動き、ぽん、と優しく乗せられる
「・・・っは!?」
キラッセは驚いて、泣き顔の顔を上げて、拓真を見る
拓真は、内側から溢れる生命の光に包まれていた
「・・・・よぉ、キラッセ・・・泣き顔じゃ、美人が台無しだぜ?」
ありえない光景に、キラッセはびっくりする
「た、たく、ま・・・・」
光に包まれながら、拓真はゆっくりと起き上がる
「あんまり泣き声がうるさくってよ。おちおち寝ても居られなかったぜ?」
そう言ってキラッセにウィンクする。徐々に身体を包む光は薄れ、次第に顔色とかが正常なものへと変わっていく
「うそ!たくま!たくまぁぁーーーっ!」
絶叫しながらその胸に飛び込むキラッセ。そして拓真の胸に耳を押し当てる
「をいをい、まだ生き返ったばっかりだから、あんまり激しくゆさぶるなよ?」
言いながらも、ちょっと嬉しそうに拓真はキラッセの頭をなでる
「動いてる、動いてる!タクマッ!心臓、動いてるよ!」
「あったりまえだろ!?でなきゃ起き上がってこれねーって!」
「あぁっ、タクマーーー!」
更にぎゅうと、拓真にしがみつくキラッセ。それを見て拓真は優しい眼差しを向ける
「・・・地獄のな、閻魔様に御願いして、もういっぺんチャンスを貰ったんだよ」
「・・・えんま、さま?」
「あ~、この世界にゃ閻魔様っていう概念は無いのか」
不思議そうな顔をして見上げてきたキラッセを、拓真は見つめる
「・・・その話は、後でな」
外から聞こえてきた聞いた事のある咆哮・・・”ドラゴン”の咆哮を聞いた拓真は鋭い目つきになって立ち上がる
「タクマ、大丈夫なの?」
心配そうに寄り添うキラッセに拓真は笑いかける
「閻魔様にな、頑張って来い、っておまじない貰ったからな。平気なんだよ?」
そう言ってキラッセの頭をぽん、と叩くと外に向かって走り出す
「ぐぁっ、カーーッツ!」
”ドラゴン・ブレス”を回避したホークアイは、その間に放たれた尻尾の横払いに翼を打ち抜かれ、ピンチに陥っていた
「ホークアイ殿っ!」
「ホークアイさんっ!」
ソーネとズンダがホークアイに声を飛ばして近寄ろうとする
「ッ! 来るなッ!」
それを制止して、槍を杖に立ち上がるホークアイ
「カカカ・・・・ワシの命運も此処までか・・・」
ホークアイはこのままでは勝てずに、翼を使った離脱も出来ずに、倒される、と感じていた
「カッ、よいか、ズンダ、ソーネ、集落の皆よ!」
ホークアイは顔だけ振り向いて、後方に居る全てに叫ぶ
「ここは、ワシ1人で食い止める!その間に皆は、なんとかして城塞都市に逃げよ!」
「ホークアイさん!」
「無茶だッ!ホークアイ殿ッ!」
”ドラゴン”二匹相手に、勝てる訳も無く、ましてや足止め等、無茶であると全員が思った。しかも、逃げ先が城塞都市。馬で1~2時間はかかる道程である。どう考えても、無茶振り・・・
「大丈夫だッ!問題ないッ!2時間は粘ってみせるッ!」
だから、その根拠はナニ?と、全員が思うが、突っ込みどころが見つからない。多すぎて・・・
「っぷっふふふ、相変わらず脳筋でお馬鹿なのね、ホークアイ?そんなこと見逃すはずが無いじゃない?」
高みの見物を決め込んでいたヤーンもさすがに無茶振り発言のホークアイに呆れている
「っく・・・・・!おのれ~~~ッ!」
正面を見据え、苦悶の表情を見せるホークアイ
「まぁ、みっともないから早く楽にしてあげる。その後は・・・この集落も殲滅よッ!!」
くわっと、目を見開いたヤーンは言葉遣いも荒々しく、右手を横に払った。恐らく、誰も生かしてはおかないという考えなのだろう。集落の面々に、戦慄が走る
と、その時
ぶおおおおおおーーーーーん!
バイクの回しすぎな排気音と共に、集落の奥から飛び出した塊
「よおっとぉ!おまたせぃ!!」
威勢のいい声と共に、スモルガーを空中ジャンプさせて、モトクロスバイクの様に後輪からホークアイの横に着地した拓真が現れた
その姿に全員が叫ぶ
「ナニィツ!!」
ヤーンが
「タクマさんッ!」
ズンダが
「タクマ殿ッ!」
ソーネが
「タッタクマァァッ!」
ちょっと半泣きのホークアイが
着地したスモルガーから飛び降りた拓真は、全員によっ、よっ、と右手でシュタ、とピースサインをしながら愛想を振りまく
一回、”死んだ”拓真であったが、実際に息を引き取ったのを見たのはキラッセだけだったので、完全回復を見せた拓真に、皆安堵顔だ・・・1人を除いては
両手で、みしみしと、御輿の台座を握り締める四天王のヤーンだ
「んな・・・なんで・・・なんで生きてるのよ、アンタぁ・・・・!」
ぐぎぎ、と歯噛みしながら質問をするヤーン
「ん?あぁ、あれだ・・・そうそう、カワイコちゃんのキラッセが、キッスで治してくれたぜ?」
そううそぶいて、ヤーンを見つつウィンクしながらニヤリと笑う拓真
「ん~、こういう台詞、いっぺん言ってみたかったんだよね?」
そう良いながら、更に笑う
「く・・くっころ・・・」
言葉にならないヤーンを見やると拓真は片手でちっちっち、と人差し指でヤーンに合図を送る
「おっと、まだまだ。それだけじゃぁないんだぜ?」
拓真はそう言うと、半壊状態のスモルガーに手をかざす
「再召喚!スモルガー!」
その掛け声と共に魔法陣が現れ、スモルガーを消していく。そして全てが消えた後に再び魔法陣が光り輝き、新たな物体が姿を現す
「見やがれ!こいつがパワーアップした”シモベ”、スモルガー・マークⅡだッ!」
新しく現れたそのボディは更に鋭角に各部がボリューム・アップしたボディに、光り輝くレッドとオレンジのツートン・カラー。更に誰が見ても武装とわかる、2門のバズーカらしき砲塔を備えた外観
「な、なんだ・・・と・・・」
驚愕するヤーンにその物体は、光り輝く宝石に見えるのであった
「忘れているとは思うが、騎士団所属炎の3騎士が1人、”爆炎のミース”だ。紅いセミロングで見た目はすらっとした美人、という設定だぞ。試験に出るから覚えておく様に!そういった所で、次回 城塞都市編 第十撃 スモルガー・マークⅡ で、再び会おう。・・・なんだって?私の他にも出番が無いヤツがいるって?そんなヤツ、いたのかな・・・?」




