城塞都市編 第七撃 拓真死す!
四天王ラーセルス「ぐわっははははははは!これで貴様はヨウナシだッ!」
拓真「ヨウナシ? みづみづしい果汁がうるおう 食べると美味しい ヘンな形の果物、か?」
四天王ラーセルス「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・知らん」
ラーセルス(四天王最弱)、何してるんだろうね?
「カカカ・・・しっかりせい!タクマ!」
超高高度まで打ち上げられた拓真を発見し、空中キャッチして集落ヘローン”に舞い戻るホークアイであったが、見た目もボロボロで今にも息絶えそうな拓真を見て叱咤し続ける
「ほー・・・く、あい・・か・・・」
打ち上げられた衝撃の傷は兎も角、身体に回り始めている”魔界樹の果実液”の毒素に息も絶え絶えになる答える拓真
「ず・・ンダ・・にもんく・・いわなきゃな・・・こ・・んなあぶねぇモン、使わせやがって・・・」
「もういい、喋らずにじっとしていろ!」
予想以上に拓真に余裕がなさすぎて、思わずホークアイも口癖が無くなる
「ん・・・」
口をつぐんで、大人しくなった拓真を抱えながら、ホークアイは考える
「・・・果たして治るのか?いや、治せるのか・・・」
今は急いで、ズンダ達に見せるしか手立てが無いホークアイだった
「タクマッ」
真っ先に飛び込んで来たのはキラッセ
集落ヘローンに到着するや、その酷い有様に全員が驚く
「タクマさんっ!」
「タクマさーーーん!」
見た目がボロボロになったのは、ズンダの魔法球のせいなのだが、そのおかげで窮地を脱出出来たのだから感謝すべきなのだろうか
「カカカ・・・身体の傷よりも、何か毒の様な物を盛られたようだ。解毒魔法は使えるか?」
ホークアイは真っ先にズンダに確認する。その間に拓真は宿屋に運ばれてベッドに寝かされる
「解毒魔法、ですか?あるにはありますが、毒を盛られたんですか?!」
「わからぬ。だが、具合から見て外傷も酷いが、身体の内部からの痛みの方が強い様だ」
ホークアイにもハッキリしたことは解らなかったが、感じたままを伝える
「解りました。兎に角、回復魔法からかけてみます!」
ズンダはそう言うなり、拓真の寝ているベッドに向かい両手をかざす
「ヒュム族唯一の魔道士・・・ズンダ様」
その様子を見て呟くのは炎の3騎士の1人、”煉獄のソーネ”だ
ズンダの回復魔法により、拓真の外傷はみるみる回復していった
「タクマ・・・」
取り合えず、見た目が回復したことで一同は安堵する。が、次の瞬間
「うぐぁ!が・・・・ああああ・・・!」
身体が回復した拓真が、魔界樹の果実液の影響で苦しみ始める
「そんな!」
ズンダが慌てる
「毒だ!毒を治す魔法を、早く!」
ホークアイが即座にズンダに指示する
「は、はい!」
即座に解毒魔法が拓真にかけられる
「ぐぐ・・・・!」
だが、なかなか拓真の苦しみは消えない
「そ、そんな・・・!」
ズンダが解毒されない拓真を見て、泣きそうになる。すると拓真の手が伸びてズンダの服を掴んで引っ張る
「うっきゃぁーー!!」
スカートを鷲掴みにされて引っ張られたズンダは、下半身丸出しになってしまった
「この、どく、は・・わっぷ」
喋ろうとした拓真だったが、その姿を見せまいとしたキラッセやソーネが拓真に枕や毛布等を顔に押し付ける。ぴくぴくしてきた拓真をみて、慌てて拓真の顔をあらわにする二人
「と、止めを・・・刺す気か・・・」
「ゴメン、タクマ、ゴメーーン!」
「あい、すまぬ・・・」
息も絶え絶えに拓真が声を出すと、キラッセとソーネは平謝りに謝罪する
「ず、ズンダ!」
「ふぁ、ふぁい・・・」
泣きそうになっていた所に、追い討ちでスカートをひん剥かれたズンダはもはや泣き顔だ。ぐるぐる瓶底めがねの奥が、涙で濡れている
「こ、このど、く、は、ま、まかい樹の、の果実液の、せい、成分だ・・・!」
拓真はやっとのことで、ズンダに伝える。皆が一斉にズンダを見つめる
「え・・・魔界樹の果実液ですって?」
「そ、そうだ・・・その成分を、けして、くれ・・・もしく、は、吐き出させて・・・くれ」
オウム返しに聞くズンダに拓真は続けて説明した。全員がズンダの発言に注目する
「消すって言われても・・・」
「は、はやく!し、しろ・・・ま、まにあわなくなっても、し、しらんぞ・・・!」
拓真は更にズンダの服に掴みかかると、また引っ張ろうとする。今度は全員がそれを阻止する。当のズンダもこれ以上服を脱がされてはかなわないと、服を引っ張り返して頑張る
「わーっかりましたから、引っ張らないでぇぇーーー!」
「・・・ふぅ。とんでもない脱出アイテムだったわねぇ」
丘の上から少し離れた所に待機させていた魔族軍に合流し、身なりを整えた四天王の1人”ソーネ”は軍の中央にある御輿に乗ると
「さって・・・進軍よぉ!」
待機していた魔族軍は、咆哮をあげ集落ヘローンに向かい進み始めた
「で、”転生者さん”は、元気、かなぁ~~?」
怪しい含み笑いをしながら、御輿に揺られるソーネであった
ヘローンでは魔族軍の再襲撃に備えて、大騒ぎであった。拓真が尋常じゃない格好で戻ったのもそれに拍車をかける。周囲の大騒ぎをよそに、拓真達の宿屋は静まり返っていた
「・・・ズンダのねーちゃん・・・タクマは・・・大丈夫、だよ、な・・・?」
キラッセが不安そうにズンダに聞く
「・・・・えぇ・・・胃の中に残っていた”魔界樹の果実液”は先程吐かせましたが、すでに体内に吸収された分は、残念ながら魔法ではどうにも・・・」
「死んだり、しないよなぁ!」
キラッセの叫びに、そこに居た全員がズンダを見る
「・・・正直、わかりません。通常の毒物であれば、魔法の力で浄化出来るのですが、魔界樹の果実液というのは・・・初めてのモノなので」
視線を落とし、呟くように話すズンダを見てキラッセが涙目になり、拓真の寝ているベッドに向かう
「・・・タクマ・・・・!」
寝ている拓真の手を握り締め、その横顔に呟くキラッセ。それを見たホークアイ、ソーネ、ズンダは更に視線を落とす
「魔族軍だぁーー!魔族軍がきたぞぉーーー!」
外から聞こえる叫び声に、ホークアイとソーネは反応する
「・・・カカカ、行って来る。タクマを頼んだぞ・・・」
ホークアイはそう言うと、外に出て行った
「・・・私も、魔族軍撃退に参ります」
そう言ってソーネも武器を手にする。その通り際に、キラッセの肩をぽん、と叩いて
「タクマ殿をよろしく」
とキラッセに囁いて行った
「・・・キラッセ、やることはやりましたです・・・後は、タクマ次第です・・・」
ズンダも最後にそう言うと、外に出て行く
残されたキラッセは全員の言葉をかみ締めると、再び涙ぐみ
「タクマ・・・お願いだから死なないで・・・お願いだから・・・もう、大事な人が死ぬのを見るのはイヤだよぉ・・・!」
そう言って動かない拓真の手を更にきつく握り締めるのであった
「カーカカカッ!」
ホークアイの武器は、槍である。背中に持つ翼を使い、羽ばたきながら敵を幻惑し、長い槍で敵を攻撃するのだ。加えて、獣人特有の俊敏な運動性もあり、無双の強さを発揮出来る
攻めて来た魔族軍を、その強さで圧倒するホークアイ。援護のズンダの魔法も、ソーネの剣術もそれを助ける。伊達に”煉獄のソーネ”の異名はつかない
「あらぁ、がんばってるわねぇ、ホークアイ。その強さは相変わらずねぇ」
先陣を切り崩したあたりで、ヤーンが出張って来て、奮闘するホークアイに声をかける
「--カッ、カカカ・・・ヤーン・・・」
一息つき、ヤーンを見やるホークアイ。その視線は鋭い
「相変わらず、戦闘だけは、強いのね。アナタ」
ヤーンの嫌味に、ホークアイは切り返す
「ッカ!笑止!貴様とパーティを組んでいた時から、ワシの強さは衰えておらぬ!それどころか強さは増しておるわ!」
「そーぉんな脳筋だから、他の皆に距離を置かれるのよぉ。カナコの気持ちにも気付けずに、ねぇ」
鋭い所を突かれたホークアイは、ぐぐっっと歯軋りをする
「確かに・・・以前のワシはそんな事すら見抜けず、理解出来ず、そして距離を取られている事すら解らなかったッ!」
ホークアイはそこで槍を一振りして、構える
「カカカッ!だが、そんなワシでも決して道は間違えぬ!進んで魔族なんぞに成りおった貴様らは、間違うておる!」
更に槍を振り回し、ポーズを決めると
「故に!ワシ自らがこの手で貴様らを打ち倒し、全てを清算してみせようぞ!」
と、ヤーンに宣言した
「・・・ホント、なーんにも知らないくせに・・・」
ボソッと呟いたヤーンは立ち上がり、宣言する
「いいわぁ。その言葉、てめぇでしっかり噛み締めとけよォ!」
急激に言葉遣いを変えると、猛ダッシュでホークアイに挑みかかって来た
その爪撃を槍で受け止めるとヤーンに対して言葉をぶつけるホークアイ
「カカカッ元より、その覚悟よ!」
その台詞を聞き流し、ニヤリと笑ってヤーンは言う
「くっふふ・・・ところで”転生者”ちゃんは元気ぃ?」
「ッカッ!?」
鍔迫り合いながら、くるりと体勢を入れ替える両者
「くっふふ・・・”魔界樹の果実液”ね。何人かの人族で試したけど・・・全員死んだわよぉ?」
「なんだとッ!」
ヤーンから絶望的な言葉が発せられ、ホークアイが息を呑む
「解毒魔法も効かないみたいだし、かといって魔族になる訳でもなし・・・ホントに唯の新種の毒薬、ってとこなのかしらぁ?」
その言葉の勢いで、ホークアイを押し込むヤーン
「ホント、つまんないわねぇ?」
にやりと笑うヤーンにホークアイは顔を真っ赤にして激高する
「----カッツ!!」
「・・・タクマ?」
宿屋で拓真の側に付き添っていたキラッセだったが、急に拓真の身体から何かが抜けたような気がして声をかける
「・・・・・・・・」
無言で目と口をしっかりと閉じた拓真は反応しない
「タクマッ!?」
まさか、と思いながらキラッセは拓真の顔に両手を添えて体温を確かめる
・・・冷たい・・・
「・・・・・ッ!!」
続いて、胸に耳を当てて心音を確かめる。が、何も聞こえない。息もしていないようだ
「・・・あ・・・・ぁああああああああああああああっ!!!」
キラッセの絶叫が宿屋に響き渡る
生物の死・・・全ての生命活動が停止したと思われるその現状・・・
拓真死す!
「くふふ・・ヤーンよぉ・・・まんまと此方の罠にかけて”転生者”を亡き者にする事に成功したわぁ。これで人族蹂躙も早くなるのかしらぁ?次回 城塞都市編 第八撃 管理者の権限 でまた会えるかもねぇ。・・・え?死んじゃったのに、もう復活するのぉ?それはナシよぉ~~!!」




