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城塞都市編 第三撃 獣人ホークアイ

ブックマーク有難う御座います。この場を借りてお礼申し上げます。

これからも気長に、この駄文を楽しんで頂ければと思います。

翌日、今後についての動向を、朝食に同席した騎士団団長サリオに確認された拓真たくまは、魔王討伐のメンバーであった他の4人(故人の先代23代目ズンダは除く)の捜索を提案した

「そうだな。あれから1年ほど音信不通ではあるが、当時の詳しい話を聞き出すには良いかも知れん」

先代ズンダ殺害時の詳しい話を聞こうにも、メンバー全員が行方不明になり、その後は再建された魔族軍との戦いの中で、後回しになっていた案件でもあるらしい

拓真から話を受けたサリオは探索メンバーに”炎の3騎士”の1人、”煉獄のソーネ”を帯同させると申し出た

「そうだな、地理等に明るい人間が一緒だと助かる」

拓真はその申し出を快く引き受けると、今日の午後には出立しようと提案した

「是非に元勇者のパーティメンバーを探し出し、詳しい話を聞き出してきてくれ」

「あぁ、元よりそれが魔王打倒の糸口になりそうだしな」

「本来であれば、私が同行すべきなのだろうが・・・未だに魔族軍との小競合いがあるのでな。城塞都市を長期に離れる訳にはイカンのだ」

サリオ自身、集落フロストへの遠征はかなり特別な出来事だったらしい。おいそれとは動けぬ自分の身分に歯噛みしている様でもあった

「先代ズンダ殺害に元勇者カナコが手を下しているような状況だが、俺はそこに何か秘密があると睨んでいる」

「それはタクマ、今代ズンダ様が目撃したという・・・」

拓真が怪しいと睨んでいるのは、胸に突き刺さった剣を握っていたという目撃現場の事である

「あぁ、確かに剣を握っていたのはカナコだが、それを突き刺した現場を見た訳では無い様だしな。もしかしたら、抜こうとしていたのかも知れん」

よくある初歩的なミスリードを狙う場面。そんな場面を拓真は想像していた

「なんにせよ、情報収集として全員の聞き取り調査は必須って訳さ」

拓真はそう言うと、デザートのフルーツを丸かじりした



スモルガーに荷物をくくりつけ、出立の準備を進めていた拓真達の下へ、今代のズンダが現れた

「あっ、あの、その・・・」

昨夜の電気魔法攻撃以来の邂逅であるが、あれが誤解だと理解して貰うには拓真が目覚めた翌朝、今朝の事であったので相当気まずい感じだ

「どうも、ズンダ様。何か御用ですか?」

わざとらしく対応する拓真にキラッセは含み笑いを隠さない。そこは隠せよと、拓真は思う

「勇者の、ぱぱぱぱっ、わた、わたしも、ももも」

緊張のしすぎで、もはや何を言っているのか理解に苦しむ発言をするズンダ。察した拓真は助け舟を出す

「・・・んー、要は一緒に探索チームとして同行したい、という事でよろしいか?」

「っあ、あ、はい、はいいいぃ!!」

ぶんぶんと首を縦に振るズンダを見て、拓真は苦笑する。真相を知りたいのはこの子も同じか、と

「・・・タクマ!」

サリオが同行させる予定の黒髪ロングの美女、”煉獄のソーネ”を連れて現れた

「紹介しよう。3騎士の1人、”ソーネ”だ」

黒髪ロングの美女は畏まって一礼をすると

「炎の3騎士が1人、”煉獄のソーネ”。以後、宜しくお頼み申す」

・・・二つ名は絶対外さないのね、と拓真が考えていると、俯いてもじもじしているズンダを見ながら、サリオが耳打ちしてくる

「ズンダ様の同行、私からも頼めないか?」

「問題無いのか?」

「うむ。城主ガデム様の許可を得て来た・・・宜しく頼む」

その言葉を聞き、拓真は腕を組み、思案した後ふぅと息を吐くと

「了解した。その代わりズンダ様」

「あ、ははは、はい!」

もじもじしていたズンダだが、拓真が声をかけるとびくっとなって、返事をする

「同行するなら、条件があります。仲間ですので今後は”ズンダ”と呼び捨てにします。いいですね?」

そう告げると、ズンダは両手を握り締め、顎の所まで持ち上げるとワナワナと震え

「はい!もちろんですぅーー!」

と元気良く声をあげるのであった



城塞都市テンペロストから、拓真が運転するスモルガーとソーネが駆る騎馬を先頭に、ズンダと荷物が入った荷馬車という小数編成で出発をした一行

「最初に向かうのは、ここから一番近い集落で獣人メンバーの目撃情報がある”ヘローン”だ」

騎馬を駆りながら、ソーネが拓真に話しかけてくる

「どの位の時間がかかるんだぃ?」

「馬で1~2時間と言った所だ」

ふぅん、と思いながらスモルガーを走らせる拓真。背中には当たり前の様にキラッセが乗っている

「なぁ、その獣人てさ、どんなヤツなの?」

キラッセが屈託無く、ソーネに向かって話しかける。もう友達感覚だ

「ん・・・そうだな。パーティメンバーの獣人の名は”ホークアイ”と言う」

「ホークアイ?」

「背中に鷹の翼を持つ、鳥型の獣人だ」

へーと相槌を打つキラッセに、一度こいつには言葉遣いってモンを教えなきゃダメだな、と拓真は考えていた

「ホークアイさんは!」

後方の荷馬車から、ズンダがわざわざ声をかけてくる。うん?といった感じで拓真達が振り向くと

「ホークアイさんは、心の優しい、騎士道に通じた、武人でしたー!」

荷馬車のガラガラ音にも負けずに声をあげるズンダに対し、今話し掛けなくても、と皆が考えていた



程なくして集落”ヘローン”に着いた拓真達。騎士団権限で手続きを滞りなく終わらせた一行は、宿屋に向かう事にした

道中、拓真の乗るスモルガーがかなりの注目を浴びて、道行く人の足を止めさせる

「・・・すっげぇみんな見てるよ・・・」

キラッセが町並みよりも、そっちに気を取られる

「・・・”フロスト”よりも大きいな。活気もある。城塞都市には劣るが」

拓真は視線を気にせずに、町並みを見ながら感想を漏らす・・・が

「・・・む?」

何処からか、スモルガーに対する好奇の視線では無く、何か鋭い殺気の様な物を感じて拓真は周りを見渡す

「・・・?どうしたのタクマ?」

キラッセがそれに気づいて拓真に問いかける

「いや・・・何か視線を・・・殺気みたいなのを感じたんだが・・・気のせいか?」

視線の元を探していた拓真だったが、探し出せずにキラッセに告げる

「みんな珍しがって見てるからね。勘違いかもよ?」

お気楽に答えるキラッセに、そうだろうか?といぶかしむ拓真だったが相手が見つからないのでそのまま放置することにした・・・視線は確かにあったのだが


宿屋に着き、荷卸等をしているとズンダが慣れない馬車での移動に、辟易していた

「はぁぅ~~痛いですぅ痛いですぅ~お尻がじんじんしますぅ~おまけに気持ちも悪いですぅ~~」

そんだけ喋れれば、上等だろ!と突っ込みたいのを我慢して

「ソーネ、俺は少しその辺りを散策してくる」

と声をかけ、拓真は歩き出す

「あ、俺もいく~~!」

キラッセもまだまだ元気いっぱいに着いて来た

「そろそろ日が落ちます。治安が良いとはいえ、十分にお気を付けを!」

ソーネがズンダを介抱しながら、拓真に声をかける

「あいよ、ズンダをよろしく頼む~」

「たーのむぅ~~」

ひらひらと手を振って答えた拓真の真似をして、キラッセがおどけて言う。それを見つめながらズンダがこぼす

「元気ですねぇ~~さすが転生者。私には真似できないですぅ~~」

「いや、転生者とかでは無く」

ズンダ様がよわっちぃだけですよ、と言いたいのを堪えるソーネであった



宿屋の周りと、目ぼしい露店や店舗等を物色しつつ、拓真はぶらぶらと散策していた。拓真の服装が珍しいのか、時折視線を感じることはあったが、どれも気になる程ではなかった

「・・・キラッセ・・・」

日が傾き、夕闇が迫ってきた頃、繁華街的な場所から離れた拓真は、おもむろにキラッセに話し掛ける

「え?・・・タクマ・・・ダメだよ、こんなとこで!昨日の続きなら宿屋に帰ってゆっくりと!」

「・・・違うわ!そうじゃねぇよ!」

いきなり的外れな事を言い出したキラッセに釘を刺すと

「・・・付けられてる。というか、近くに居るぞ!」

そう言って、振り返る

「・・・え?」

キラッセも拓真に釣られて振り返る。が、誰も居る気配は無い

「・・・なんだよ・・・また勘違い?」

後ろの道に誰も居ない事を確認したキラッセはそう言うと拓真を見やる

「・・・違う、上だ!」

拓真の視線は遥か上空を見つめていた

「・・・あ」

拓真の視線に合わせて上空を見たキラッセが確認したもの。それは空に浮かぶ大きな鳥の羽を広げた形の人影だった

「よぉ、あんたホークアイ、だろ?!そんなとこから見てないで、降りて来いよ。話づらくていけねぇ!」

大声でそう呼び掛けると、人影はゆっくりと二人の目の前に降下して来た

ばさ、と音を立てて翼を畳んだ鳥型の獣人、は夕闇に光る双眼を此方に向けると声を出す

「カカカ・・・貴公、”転生者”であろう。何故、此処に来た?」

「へぇ、特にアピールはしてないんだが転生者って解るのか?」

「カカカ・・・あの異様な乗り物とその服装で、アピールしてないとは笑わせる」

そりゃもっともな御意見で、と拓真は思う

「そんな事より、俺はアンタに聞きたい事があって此処に着たんだ。アンタから出向いてくれて感謝するぜ」

丁々発止で負ける訳にはいかない。拓真が頑張って話を繋げると

「カカカ・・・今日はもう日が遅い。鳥は夜目が利かんのだ。明日の朝、またこの場所で相見えようぞ」

そう言うと再び翼をばさぁ、と広げて飛び立って行ってしまった

「・・・そうかぁ、鳥って夜目が利かないんだぁ・・・」

惚けた感じで言葉を繰り返したキラッセ

「そういう問題なのかね・・・」

と呟き、見送るしかない拓真であった

「テンペロスト騎士団団長、サリオだ。元勇者のパーティメンバーの1人である獣人ホークアイと早速の邂逅を果たしたタクマ達であったが、彼から語られた話は想像を超えた物であった。その最中、突然の魔族軍襲来の知らせも入り、混沌としてくる集落ヘローン。次回、城塞都市編 第四撃 鷹は舞い降りた で、宜しく頼む。果たして、タクマ達はこの後もメンバー達を探し出して真実に辿り着けるのであろうか?」

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