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城塞都市編 第二撃 魔道士ズンダ

城塞都市編といいながら、城塞都市に留まるのは僅かしかないという事に気づいた作者。

果たしてどうなってしまうのか!

「改めて聞くまでもないが、さっきの紫巻き髪、ぐるぐるびん底眼鏡の女の子が、”魔道士ズンダ”様で間違いないんだな?」

謁見の間から間違えてキラッセの腕を掴んで出て行った女の子を追いかけながら、先導して追いかけている騎士団団長サリオに確認する拓真たくま

「あぁ、そうだ。さっきの紫巻き髪、ぐるぐるびん底眼鏡の女の子が”魔道士ズンダ”様だ!」

二人とも、やや小走り気味に走りながらそう確認する。わざわざ、特徴までマネして復唱せんでもいいのに、と拓真が思っていると

「あの通り少々眼が悪いのと、思い込みが激しくて、勢いですぐ行動に移す所が欠点なのだ」

「むしろ良い所を教えて欲しいな!」

聞くほどに厄介な人物像しか形作られない。なんというがっかり魔道士、と拓真は考えていた


「ここだ!」

二人連れで、片方は引っ張られている筈なのに、とうとう途中では追い着けず”魔道士ズンダ”様の部屋の前まで二人は来てしまっていた

「ここがズンダ様の部屋兼研究室だ」

おどろどろしい、装飾の施されたいかにも”魔法使いがいますよ”的な扉の前で拓真達は立ち止まった

「・・・正直、開けたくないのだが」

「もっともだ。何度か来ている私ですら、あまり開けたくは無い」

二人して扉の前で逡巡していると

「ひゃぁあああああああああああああ」

と、中からキラッセのものと思える悲鳴?らしきものが微かに聞こえてきた

「考えてる余裕は無さそうだな!」

拓真はそう言うと、おどろおどろしい扉の取っ手を掴み、一気に開けようとした

「ぎゃぁああああああああああああああ」

扉の取っ手をを掴んだ途端、拓真の身体に取っ手から物凄い電流が流れて来た

「タ、タクマ!?」

見た目では何が起こっているのか分からず、急に絶叫した拓真にサリオは困惑する

「あっあっあっ、しししし、しびれれれれれれれ」

電気ショックの筋肉の硬直により、掴んだ掌が取っ手から離れず、感電したまま説明しようとするが上手く言葉が出せない拓真。それを見てますます困惑するサリオ

「え~~~???何何?どうなってるの?」

がくがくと膝から崩れ落ちるが、取っ手から手が離れない拓真は情けない格好になっていく

取り合えず、立たせようとしたのかサリオが拓真の肩に手をかけようとする

「あっあっあっ、だだだ、だめめめめめ」

「きゃぁぁぁああああああああああああ」

触るな、と言いたかった拓真だが、時すでに遅くサリオも一緒に感電してしまった

両肩を掴んだまま感電したので、筋肉硬直で両肩を物凄い力でめりめりと掴まれ、痺れと痛みで拓真はすでに死に体だ

二人であっあっあっと、唸っていたら突然電流が切れ、拓真とサリオは同時に床に倒れこむ

「・・・どなた?」

扉がぎぎぎ、と開き中から紫巻き髪、ぐるぐるびん底眼鏡のズンダが顔を出す

「っお、お、おま、お前、連れて行ったの、まち、まち、がいがい」

電気ショックの後遺症から抜け切れず、切れ切れの言葉で説明しようとするが上手く喋れない拓真

「・・・押し売りなら間に合ってます、サヨウナラ」

定番な断り文句を言い、ズンダは扉を閉める。だが拓真もサリオも反応出来ない

「ここ、こいつぁ・・・手間が、か、かるな」

痺れの残る体を起こし、拓真はそう言うのがやっとだった



「なんだぁ、そうならそうと最初から言って下さいよぉ~~! もぉ!」

ズンダはそう言って実験器具が散乱してるテーブルに、拓真とサリオ、キラッセを座らせながら笑う

何度かの扉越しの交渉により何とか誤解も解け、ズンダの室内に通された訳だが

「このねーちゃん、全然話聞いてくれなくってさぁ。参ったぜ」

キラッセはそう言って腕をぐるぐる回した。連れて来られていきなり椅子に固定されて、何がしかされたらしい。何をされたのかは敢えて聞かなかった

「で、だ。改めて自己紹介だ。俺が”転生者”の拓真だ。よろしく」

そう言って、ズンダに挨拶をする

「はい、私が魔道士24代目ズンダです。よろしこ!」

かっる!そう思いながら拓真は話を続ける

「24代目?随分歴史があるんだな」

「えぇ!私もそう思います。ですが全てのズンダが寿命までズンダだった訳ではないので、年数はたいしたこと無いですよ!ざっくり2千年位の歴史です!」

十分長い歴史だわ!と突っ込みたいのを抑えて、拓真は更に話を続ける

「そうか。それで、本題なんだが」

「え~~!?もっと歴史について突っ込んで下さいよ!と言うかあっさりしすぎでしょう!」

たいした歴史じゃなかったんかい、と今度は小声で口に出すが我慢して話を続ける

「それはまたの機会で。今は、こっちが重要だ。”先代ズンダ”と魔王ベルリム、いや”カナコ”との関係についてだ」

”カナコ”の名前が出た途端、ズンダの雰囲気が一変した

「・・・帰って下さい」

「え?来たばっかなんだが」

「かえってぇぇぇぇぇぇ!私、何にもしらなああああああああい!!」

絶叫したズンダに、ぐいぐいと部屋から追い出されてしまった

・・・キラッセとサリオだけ・・・

部屋に残された拓真と、後ろ手で扉を閉めて電気トラップのスイッチらしきものを入れたズンダは、テーブルに向かい合って座った形になる

「・・・カナコ・・・アナタ、何時まで私を苦しめるの・・・」

無言でいた拓真だったが、急に啜り泣きを始めたズンダにどう接していいものか迷っていると

「あの時、私は気が動転していた。だって、凱旋式典の後、飲みすぎたワインがいけなかったんだもの」

急に独り語りを始めたので、拓真は敢えて黙って聞く事にする

「華やかな式典だった。主役のカナコとそのパーティメンバーが居なくなったのを私は途中で気づいた。そしてふら付く足で探した皆は、2階のバルコニーに集まって何かを話していた」

ふぅ、と溜息をつくとテーブルにあった飲み物らしきものを口にする

「・・・っぷぁ・・・話の内容は遠くて聞きづらかった。でも何か言い争いのようにも聞こえた。だから私は離れた場所で、聞き入っているしかなかった」

そこでまた飲み物を口にする

「ぷぁ・・・少し話が長くなったので柱の影のカーテンの中でうとうとしていたら、何時の間にかパーティメンバーは居なくなって、カナコとお師匠様だけが残っていた」

お師匠様って先代の23代ズンダ様、か。と納得しながら話を聞く拓真

「最初、月が隠れてて良く見えなかったけど、雲が切れて月明かりがバルコニーを照らした時、そこには胸に剣を突き刺したお師匠様と、その剣を握るカナコの姿があった」

そうだったのか。その間に何があったのか、だな。他のパーティメンバーって奴らにも話を聞く必要があるな、と拓真は思った

「私、信じたくなかった。カナコがお師匠様を殺しただなんて!」

「話は分かった。後は俺に任せろ。真相をあばいてやる」

そう言って声をかけ立ち上がると、ズンダはびくっと、固まった

「・・・何時から、そこ、に?」

「・・・え?わざと俺だけ残して、話を聞かせてくれたんじゃ無かったのか?」

予想外の展開に、二人とも固まる

「きゃわわわわ!酷いじゃないですか、酷いじゃないですかぁ!」

そう言いながらテーブルにあったコップやら何やら投げつけてくるズンダ

「ちょちょちょ、そっちが勝手に話し出して、うわっぽ!」

顔面に、怪しい液体をぶっかけられ、言葉に詰まる拓真。どうやらズンダ様は本当に拓真達を追い出して、独り言を言っていたと思っていたらしい。とんだドジっ子ぶりである



一連の騒ぎも収まり、その日は王城で一夜を過ごす事になり、拓真とキラッセにはそれぞれ部屋が与えられた

「いや・・・参った参った・・・最後にぶっかけられたあの液体、なんだったんだ、ありゃ」

さすが城塞都市の王城とあって庶民は縁が無いであろう風呂、浴場に案内され一汗かいた拓真は与えられた部屋に戻って来た。部屋に戻ると、用意されていた飲み物を口にする

「ぉ、ワインか、こりゃ・・・もっと冷えてりゃなあ」

贅沢はいってられないな、と思いぐい、と飲み干した拓真は考える

「三体目のシモベ・・・アレさえ開放されればなぁ・・・」

第一のシモベ”スモルガー”は破損したままだ。第二のシモベ”ミドルオー”は集落フロストに守護の為に置いて来た。正直、戦力的には乏しい

「俺の考えが反映されている第三のシモベが開放されれば、色々と出来るんだがな」

あの時、この世界に転生する前に決めた世界管理者機構”メノン”との約束・・・

「世界を救う、ね・・・漠然と”魔王を倒す”みたいなことを言っていたが、真相はどうなんだろうな」

拓真は話の流れが、かなり怪しい方向に向いていると感じていた

「兎に角、情報だ。正確な話を全て聞かないとな」

飲み終えたコップをテーブルに置き、用意されたベッドに入ろうとした時、ベッドに違和感を感じる

「・・・誰だ、そこに寝ているのは」

王城のベッドだけあって、ゲスト・ルームは広く、ベッドも大きい。ベッドの両サイドにはカーテンのような幕が引かれており、遠目からだと中に誰かいても気づかない感じなのだ

そのベッドに、誰かが先に潜り込んでいる

「んーー、俺ーー」

「キラッセか・・・何のマネだ?」

まさかの展開に多少、驚くが大人の対応を見せる拓真。ここでパニくってはいけない

「いやー、俺の部屋もベッドがでかくてさ。落ち着かないんだよね」

「だからって、俺の部屋のベッドに来る意味が分からないんだが」

「・・・一緒に寝ようぜ」

をーい、キタコレ。ハーレム展開。だがしかし、落ち着け俺。相手はまだ幼い。微妙にセーフともアウトとも取れる年齢差だが、良いのか、コレ?心の中で、いけいけどんどんと言う自分と、まてまてコラコラという自分がいて逡巡していると

「タクマ・・・」

そういいながら、キラッセがベッドから半身を起こして此方を見る。何時もの小汚い格好からは想像もつかない艶っぽさ。たぶん、タクマと同じく風呂にでも入ったのであろう。当社比1.5倍以上のカワイサだ

こんこん

雰囲気ぶち壊しの扉のノック。ぎぎぎ、と振り返りギコギコとぎこちなく歩いてノックされた扉を開けると、そこには顔を朱に染めた”ズンダ”が立っていた

「あっ、えっとえっと、兎に角、入りますね!」

ぐいぐいと、強引に部屋の中に入ってきたズンダはまくし立てる

「あ、あっ、あの!昼間の件は、色々と誤解を生んで申し訳なく思ってまして、その、あの!」

あ、なんかコレ、ヤバイやつだ・・・拓真がそう思った瞬間、ズンダはベッドに居たキラッセを発見する。みるみる顔が引きつるズンダ。あー、知ってますよ、この展開

「ふっ、ふけつ、でっすーーーぅ!!」

言うや否や、ズンダは無詠唱電気魔法を発動させる。それをもろに喰らう拓真

「あばばばばばばばばばば」

痺れながら薄れていく意識の中で、そういやこいつ、魔法使いだったな、と思うのだった

「俺、キラッセ。ズンダのねーちゃんを仲間に加えた俺達は、元勇者のパーティメンバーを探す旅に出る事になったんだ。最初に向かったのは獣人のメンバーが居るという噂がある集落”ヘローン”。そこで出会ったソイツは、巨大な翼を持つ鳥の獣人だった。次回、城塞都市編 第三撃 獣人ホークアイ でまた会おうな!ぇ?タクマとの関係?そいつぁまだ、おしえらんねぇなぁ!」

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