表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
愛しき姫は異世界に  作者: janky
第9章
98/220

やや~過去編14

「なに、何何?」


阿兎がややの顔を覗き込んでややも顔を真っ赤にして口を抑えていた


「どうしよ////」

「見たよ、ちゃんと見てた私達」


阿兎が意地悪に笑いながら俺の事を手で呼ぶ


「お前、ややの事になると本当に意地悪だな」


和兎は笑いながらややの少しずれたタオルをかけ直した


「だって、治療とは言えあんな熱烈にキスなんかする?」

「いや、熱烈っつか普通だったよ」

「そんなことない!

だって名残惜しそうに」


「もう!阿兎!

言わないで////」


よりタオルを深く被るややに2人で笑う


「それより、体調どう?」

「脱水って後も怖いからな

調子悪かったら無理するなよ」

「うん、大丈夫…

私、本当に危機感ないよね」


ため息をついて思い出したややは

切ない顔をした


「向こうが悪いの

勝手に勘違いして…

舎羅登さんって、誰にでも優しいの見てたら解るのにね」


阿兎の言葉で胸がズキッと痛くなっていく



『あいつ以上は居ねぇよ』



舎羅登さんの言葉も一緒に思い出した


「私…」


「やや?」


ややの声に視線を向けた


「……」


「好きになっちゃた…」


「え?」

「は?」


阿兎と和兎の目は点ほど丸くなり驚きを隠せないでいた


「ウソ!?だってタイプじゃないじゃん」


阿兎がそう言いながらややに視線を落とした


「私もさっき気づいたの…

キスされてじゃないよ?

閉じ込められてる時聞いたの

『好きな人は消された

あいつ以上は居ない』

って藩登様に怒ってたの」


「消された?」

「そんな話聞いたことねぇぞ」

「私も…でも藩登様も受け答えしてたから本当何だと思う。

初めは苦手な人だなって思って…

でも一緒に居てるうちに、

見直すことの方が多かったの

ののを助けてくれたことも…

清女になれた夜も、優しく宥めてくれた


舎羅登さんに好きな人が居るって知って胸が苦しくて涙が止まらなかったんだ…


ああ、私、好きなんだって実感した」


「やや…」

「あの人は手強いぞ」

「うん」

「みんなに優しいから、

特別になるのは難しいだろうな」

「…うん」

「それでも好きか?」


和兎の問に力強く頷いた


「そっか。なら応援するよ

ややが頑張れるように」


「そうだね。

私も応援する

やや、1人で考え込まないで私達に頼ってね」


「うん、ありがとう

いつも助けてもらってるよ?

それに頼りにしてます」


3人で笑えば

幸せな気持ちになれた


これから起こる

最大の悲しい事件にこの時は気づいていなかった






____________





「じゃあ、今日で終わり」


舎羅登さんは私に向かってそう言い放つ


「え?」

「ややが式神持てるまでの約束だっただろ?」

「そうです…」

「持てたからここに通う必要はないだろ、

しかも元々は技術も能力も違うんだから」

「はい」


式神が持てればもっと喜んでくれると思った

私が授業に来ないことを寂しいと思ってくれるほど

仲良くなれた気がしていた


それは阿兎が言う、みんなに優しい舎羅登さんなんだなって気づいた瞬間だった


私に向けていた特別は

きっと、鈴さんの代わりで

好きとか愛情とかそういう気持ちではない


家族だったり、日常を共にする1人が

これ以上欠けない為の優しさだったのかもしれない



こんな憂鬱な気分はいつまで続くのかな…


清女部へ向かう足取りは今までで一番重かった




「あれ、ややか?」


廊下の後ろから声をかけてきたのは


「実丸…?」

横に来て私を見下ろせば顔を隠す布を外した


「えっ、何その顔?」

「何?」


実丸は顔を触りながら思い出したように再び布を巻いた


「忘れてた、呪い貰ったんだった」

「痛そうだね」

「これは痛くない

妃乃瑠の呪いだから」

「…また、代わりに貰ったの?」

「舎羅登さんが昨日の夜わざわざ伝えに式神送ってきたから」

「それで、妃乃瑠ちゃんの所に行くんだ?」

「…まあ」

「いいな、妃乃瑠ちゃん」


ややは俺を見つめて切なそうに笑った


「こんなに誰かに思われて…思い合って

羨ましいな」


実丸は私の言葉を受け流し


「ややは居ないのか?

そろそろ婚約の話とか出てるだろ?」


そう切り返してきた


「そうだよ、それだよ私の悩み」

「ん?恋愛結婚したいのか?」

「…そんなつもりは無かったんだけどね

好きな人ができたから」

「…本気か?」


実丸は怪訝な顔で私を見つめた


「泣くくらいは…好きかな」

「本気だな」


ため息をついて実丸は


「誰?」

と容赦なく聞いてくる

「言わなきゃダメ?」

「別に聞きたくないけど、社交辞令かなって」

「ちょっと、もっと興味持ってよ」

「だれ、すごくきになる」

「棒読み!

もう…」


そう言って笑ってしまった


「元気になったか?」


珍しい実丸の問に目が点になる


「今、もしかして元気づけて慰めてくれてたの?」

「俺にも人の心はあるからな」

「何ぃー!いい奴」


腕に抱きつけば実丸に顔を思いっきり離れるように押された


「私…これでも…零恩志の姫様なのに…」


顔を押されるせいで喋りにくい


「やや、無理すんなよ

ヘラヘラ笑ってるだけじゃ心の奥までは伝わらねぇぞ」


グッと離されて実丸が私を見つめてそう言ってくれる


「どういう意味?」

「悲しい時は悲しいって

寂しい時は寂しいって

ちゃんと顔に出していいんだぞ」

「実丸…」

「ややも弟も似てるよ

我慢する事が当たり前のこと見たいな顔してる」

「そうかな…」

「こないだもあの後大丈夫ッとか言って許したんだろ?

阿兎も和兎ももっと本音聞きたいと思うぞ」

「うん。

そうだよね…友達…だもんね」


何かを考えた後さっきとは違っていい顔をするややは


「諦めないことにする」

「ん?」


そう宣言して


「じゃあ戻るね」

「え?そっちへ?」

「うん、私舎羅登さんが好きなの」


笑ったややはそのまま術韻部の方へ足を戻し走り去っていく



「あいつ…今、なんて言った…」


あまりの衝撃に心で思った言葉が口から出てしまう



その位の衝撃だった

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ