やや~過去編9
「まず念を手に溜めて」
「うん」
「おっ出来んじゃん」
「実丸、私一応一個上だけど?」
「俺、卒業しましたけど?」
その実丸のドヤ顔に笑った
「次は?」
「そこに式神を握ります」
「うん」
「そっからグーって念を入れて式神がいっぱいになったら用件を言って解き放つ」
「それが分からないの!
いっぱいになるタイミングって?」
「それは練習あるのみ」
「ちょっと舎羅登さんよりきつくない?」
「見とけって、こうやって握れば微かに熱を持つんだ」
練習用にしては立派な式神を実丸は握りしめる
「念を込めて」
「何を思えばいいの?」
「何でもいいから」
やっぱり練習用じゃない式神に
少し離れた阿兎達に目を向けた
「余所見するなよ!
ほら、各自離れて練習しろ」
舎羅登さんはそう言えば次々と離れてく
そして舎羅登さんが阿兎に
「そういや昨日、中界体験のついでに妃乃瑠と下着買いに行ったんだって?」
「どうして知ってるんですか?」
「んー内緒」
「信じられない、何かしたんですか?」
「俺昨日、中界巡礼の日だったんだよ
たまたま見かけた」
「最悪」
「阿兎が青色の買ってて」
「ちょっと舎羅登さん!」
舎羅登さんはイタズラに笑いながら目で合図を送ってくる
顔は見えないけどややに教えてる実丸の様子を試してるみたいだった
「妃乃瑠は…赤」
そう言えば何も反応ない実丸に
舎羅登さんと和兎とつまんないって一緒の顔をした
「大丈夫?実丸」
「え?」
ややの声に目を開けた
「瞑って想像してたの?」
「バカか!してねェよ」
「でも式神見て…」
クスクス笑うややの指さす俺の式神は赤くなっていた
式神はその時の念を映すと言われ
咄嗟に隠そうとした
「実丸、妃乃瑠ちゃんの下着の色バッチリ聞いてるじゃん」
「笑うな!」
「アハハ、すました顔して笑えるんだけど」
「絶対後ろの3人に言うなよ?」
「じゃあさ私だけに教えて、妃乃瑠ちゃんの下着今まで見た中で何色好きだった?」
「っつかそんな話」
「みんなー」
っと大きい声を出すややの口を手で抑えた
どうする?って目を向けたややに目を瞑る
「解ったよ、言えばいいんだろ!」
「うん!」
イタズラに笑うややから視線を逸らし
「百々埠頭の時の…黒のレース」
「////こっちが照れる」
バンっと腕を叩かれ手が弾かれる
その衝撃に握っていた式神が舞い上がる
ヒラヒラ落ちてくるその式神には
「妃乃瑠…」
実丸が声に出して読んだ妃乃瑠の名前の文字に実丸の念を映し黒くなった式神がすごい速さで消えていった
「ねぇ…実丸今の…」
「え?」
「あれ、本物の式神だぞ」
っといつの間にか後ろにいた舎羅登さんに笑いながら肩を叩かれた
「嘘だろ、クソ!!」
部屋を飛び出した実丸をみんなで見送った
「どうしたの?実丸」
「慌てて」
阿兎と和兎に
「百々埠頭ってなんの事件?」
っと聞けば2人が目を見開いた
「実丸が2回目手出した時の話だよ」
「2回目?初耳!」
「それがどうしたの?」
「その時の下着が可愛かったって言った式神を今飛ばしちゃったの」
と言えば
全員が爆笑しだした
「実丸…可哀想…」
「あーやめて、涙出る」
「ってか舎羅登さん悪いっすよ
練習用は飛ばないって思ってるのに」
「さあ、どうなると思う?
妃乃瑠ビックリするだろうな」
笑う舎羅登さんに
「百々埠頭の時も憑かれてましたよね?」
「あーそういや、妃乃瑠知らねぇんだったわ」
「それやばくないですか?」
阿兎がそう言えば
「だな」
っと舎羅登さんの声に全員で走り出した
________
「何か今日騒がしいね」
飛奈がそう言いながら教室の中から窓の外を見回した
「だね、5皆生の術韻部の部屋じゃない?」
妃乃瑠もそう言いながら窓の外の反対側に建つ校舎を見上げる
「そんな事より早くお昼になんねぇかな」
未来弥の声に笑いながら
頷いていれば教室の中に真っ黒のカッコイイ式神が突然現れた
「鑑原当てか?」
っと真知先生が言えば妃乃瑠の前で止まった
「これ…長文用の式神?」
パンっと弾けた音に全員がビクッとする
そして
『「じゃあさ私だけに教えて、妃乃瑠ちゃんの下着今まで見た中で何色好きだった?」』
っとややさんの声がした
「えっ//////」
妃乃瑠の顔が赤くなる
クラスも興味津々に騒ぎ出した
「ややさん何聞いてんだよ」
っと未来弥が突っ込めば
『「っつかそんな話」』
ややさんに答えたのは実丸さんの声だった
「えっ///////
何聞いてるの!」
妃乃瑠は余計に顔が赤くなり
「実丸さんに聞いたの?
ややさん凄すぎ」
飛奈は感心していた
『「解ったよ、言えばいいんだろ!」』
『「うん!」
男子や女子も盛り上がる中
妃乃瑠が耐えきれず式神を握ろうとした
「ダメ」
妃乃瑠が握る前に
すごい速さで机に降りたつ黒い影に全員が驚いた
『「百々埠頭』
ピシッと音が途切れ式神が散っていく
そこには息を切らした実丸さんが居た
「実丸…さん/////」
「聞いたか?」
「え?」
「最後まで聞いたか?!」
大きな声に全員が頭を横に振る
「助かった…」
項垂れた実丸さんに
続々と教室に舎羅登さん、阿兎さん、和兎さん、ややさんが入ってくる
「駿太、悪いな授業中に」
「お前の仕業か?
程々にしろよ」
先生と舎羅登さんが話し終わると
「聞かなかったのか?勿体ない」
っと舎羅登さんが笑う
それを
「本気で怒りますよ」
っと実丸さんが睨んでいた
「冗談だろ、そんなに怒んなって」
「怒るに決まってるでしょ」
机を降りながら俺にそう言った実丸は妃乃瑠の方を向いた
「気にするなよ
悪かったな」
「実丸さん」
久しぶりに話す妃乃瑠は嬉しそうだった
「百々埠頭って何ですか?」
真顔で聞く妃乃瑠に目を逸らした
「やや、お前が責任とれよ」
っと阿兎と和兎の後ろに隠れるややに言いながら教室を出て行こうとした
「実丸、ちょっとそこで待ってて」
ややは俺にそう言いながら妃乃瑠に駆け寄る
「ごめんね、妃乃瑠ちゃん」
そう言って妃乃瑠ちゃんを抱きしめて
「実丸ね、黒のレースが好きって言ってたよ」
っと耳打ちした
「どうして持ってるの知ってるんですか?///////」
離れたら妃乃瑠ちゃんが顔を真っ赤にしてそう言いながら実丸の方へ視線を送った
「妃乃瑠?」
俺の顔を見てそのまま後ろへ倒れ込んだ
「おい!」
「妃乃瑠ちゃん!」
また目を回す照れた妃乃瑠をみんなでお薬処へ運んだ




