表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
愛しき姫は異世界に  作者: janky
第9章
91/220

やや~過去編7

「あの清女の歌ってどんな意味があるんですか?」


阿兎がお薬処でそう舎羅登さんに聞く

和兎と龍様、それに話を聞いて心配した実丸と蓮実、九楼も来ていた


「ややの歌凄かったんだぞ」


和兎が言えば


「そうなの?

聞きたかったな…」


蓮実は残念そうにそう呟いた


「ややはやっぱり零恩志の血筋なんだな」


九楼がそう言えば

みんなが頷いた

その中で実丸は黙ってややを見つめている


「どうしたの、実丸?」

「ん?清女の歌って聞いたことあるようなないような…」

「どこで?」

「解んないけど」


「聞いたことがあるなら思い出さない方がいい

お前ら今興奮してるからあれだけど

あの歌を歌う時は悲しい時だぞ」


舎羅登さんがそう言えば

阿兎と和兎は思い出したように黙り込んだ


「今回はどうしてこんなことに?」

実丸がそう聞く


「兄妹の愛が悲運な結果になったんだ

妹は下級貴族でありながらも龍の奥方になりたいと源様達に直談判(じかだんぱん)したみたいだけど、

この世界には色んなルールがあるから

それは不可能に近い、成績、戦歴、功績があればって言う建前の断り方を純真の心は真に受けて黄泉の死者が出た所へ近づいて取り込まれそうになったんだ

源様が助けた時には魂は外れてしまってたんだ

兄は妹の死を零恩志家のせいだと思い込み呪いを1番弱いののにかけたけどその呪いに妹の亡き念も巻き込まれてそのままののにとり憑いてしまったんだろうな」


「それでその妹が黄泉の死者になれ果てる前に浄土へ送った…って事ですか?」


実丸に頷けば

舎羅登さんは


「昔は夕方から夜が明けるまでこの歌を清女が歌い浄土に送ってたんだ

送る方も、送られる方もいろんな気持ちを抱えてそれを見守っていた


次に生まれ変わるならどうか悲しい事がないように…

そう何度も泣きながら歌ってた


賑やかにみんなが集ってる今も

誰かが欠ければそれは静寂に変わる…

でも心配しなくても大切な人は神様の元で誰かを思い慕う気持ちを抱えて待っててくれるって歌だ」


「悲しいですね…

どうして助けられなかったのかなって悩んでしまいます」


蓮実の言葉に全員が共感した


「舎羅登さんはそれをどこで知ったんですか?」


実丸の声に


「え?どこで?」


とぼけた声をだす


「滅多に聞ける事ないのに」


阿兎が疑えば


「……それはまた今度な」


瞳が揺れる舎羅登さんはガシガシっと前髪をかき目元を隠した


「ん…」


ゆっくり目を開けたややは

大粒の涙を流した


「やや?」

「阿兎…」


心配そうに覗きこむ阿兎の背中を和兎が擦り俺に視線を向けた


「阿兎、先に舎羅登さんに見てもらおう」

「あ…うん」


俺の顔を見たややはまた涙を流してた


「爛華の気持ちに触れたか?」


頷いたややは我慢しきれず涙を流した

その涙を優しく指で拭う



「こんなに苦しいんだね…

誰かを送る時って…

無念って言うか…やり切れない気持ちが溢れてて」

「ああ…」

「誰かを好きになる気持ちも

今までの思い出も…

離れたくない人を置いていく辛さも悔しさも…

想像つかないくらい辛くて苦しかった…」


「よく頑張ったよ

立派だった」


「あれで救えたのかな?

あの子はあれで幸せになれたのかな?」


「ああ…

大切な思い出を抱いて

何より爛華(じぶん)のままにいけたんだ

何も後悔することはない

お前は、ののや俺だけじゃない

爛華や陽斗、そして爛華のご両親を救ったんだ」


そう言えばゆっくり起き上がったややは俺に抱きついた


「でも悲しい…

苦しいよ」


ややの体をより引き寄せて強く抱きしめる


「離れたくないって泣いてた

まだ沢山思い出作りたいって

どうして爛華は亡くならなきゃダメだったの?

神様は酷いよ…」


「やや…」

「苦しい…」

「そうか

なら落ち着くまで泣けばいい」


優しく頭を撫でる舎羅登さんを見て

みんながお薬処を後にした




「何か距離縮まってたな」


和兎が歩きながらそう言えば

阿兎も頷いた


「髪の毛あげたら舎羅登さんってややのタイプね」

「私も思った。

やや様って高専でも気を張ってるからあれだけ(とか)してくれる人初めてなんじゃない?」

「たしかに、懐いてたな」


実丸はそう言いながらお薬処へ目をやった


「清女か…」


そう言えばみんながお薬処を見つめた



「俺たちって何が正義で悪なんだろうな」


実丸の瞳が少しだけ揺れていた


「解らなくなったら、みんなで話そうよ」


蓮実がそう言えばみんなが頷いた


「そうだな

俺は何時でも飛んでいくぞ」

「和兎には1番最後に連絡しよう」

「蓮実、酷いこと言うなよ」


笑い合う2人を見つめた


「清女の歌、どこで聞いたんだろうね…実丸」

「ああ、思い出したいけど出てこねぇ

何か蓋されてる感じ…」


「それって何か怪しい気がする」

「最近気になる事が沢山出てきた」

「何か繋がらないよね

断片的というか…なんて言うか」

「まあ、今は目の前にあるものを大切にする事だな」

「妃乃瑠ちゃんの事?」


そう言えば実丸は

「そこで妃乃瑠を出すな」


って怒って先を歩いていった


実丸が知ってる清女の歌の秘密

その理由を知るのはもう少し先だった


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ