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愛しき姫は異世界に  作者: janky
第9章
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やや~過去編5

「其処はたいそう、居心地がいいだろう

邪念よ、名は?」

『名?

そんなものはない』

「そうか

残念だがこの世界に名のないものは行く先が決まってる」

『お前が術韻師か?』

「……」


違和感を感じ邪念を見つめる


「どうした舎羅登?」


横で念を送っててくれた父さんが声をかけてくる


「おかしい、邪念が術韻師を知ってるなんて…」

「そうね、ののちゃんの中で育ったのに…おかしいわ」

母さんもそう言えば


『どんな事をしようと私は消えない

一生零恩志を苦しめるんだ』


邪念がまた話す


(げん)様」


舎羅登さんがお父様を呼べば耳打ちするように小さな声で何かを話し出した


「この念は本当に(はら)い損ねた念でしたか?」

「…どういう意味だ?」

「祓われたときに造られた念では無さそうです

誰かにかけられた呪いだと思います」

「何?」

「これも厄介で、のの様の魂に根を張ってるため無理やり剥がすことは出来ません

それに戻せば耐性が出来て再び呼び起こす事が難しくなります

なのでこの呪いをかけた対象を(あぶ)りだします」

「頼んだ」


お父様が席に戻り

舎羅登さんがののが眠る台に軽く術韻をかけ邪念が暴れないようにしてこちら側を向いた


「のの様には呪いがかかってます」


そう言えばザワザワしだすみんなに舎羅登さんが続ける


「俺は人とは違い、呪いをかけた対象を探すことができます」


舎羅登さんの言葉に


「そんな事できるの?」


こっそり龍に聞けば


「あの人は天才って聞いてる」


っと言い放ち、阿兎や和兎が凄いと言ってた理由を実感した


ふとさっきの人に目をやると目は血走りブツブツ何かを言っていた


私がもう一つ得意としてるのは

読唇術(とくしんじゅつ)


唇の動きから声に出てない言葉を読み取る力

だけど()せ気味の顔に苦戦する


「今からその元凶を読み取ります」


舎羅登さんの声に顔を上げたその人を見つめる



「…音魂の邪念(じゃねん) 我の(うら)み聴き届け」


「姉様?」

「読唇術か?」


「悲しき思い 流れし時よ」


突然ボソボソと何かを見つめ呟く姉様にその方を見ると

「父様あれは」

「あいつか?」


その時だった


「舎羅登さん後ろ!」


姉様の声に舎羅登さんがのの方へ振り向くと

術韻を破り念がより大きくなる


そしてブツブツ言ってた男が椅子の上に立ち上がり


「これがバカにされ続けた分家の凄さだ!

本家なんぞに負けるか!!」


そう言いながら術韻をのの目掛け放った


「危ない」

「ののー!」


龍と私の声と同時に

バシュンっと風を切る音と凄まじい光の衝撃波が辺りを包む


「逃がすな」


お父様の声がするけど光で目をやられ誰も動けなかった



バサッバサッっと

天井から木屑(きくず)が落ち

しゃがみこみ身を守っていたみんなが恐る恐る顔を上げた


「お前ら…」


お父様の声の先にその元凶が床に押さえつけられてるのを確認した


「ややが顔色変えて帰るから何事かと思って」

「外で待機してました」


「和兎、阿兎!」


笑う2人にホッとした、だけど



「舎羅登!」

「大丈夫か?」


釈愛様と羅生様の声に顔を台の方へ向ければ

ののを(かば)い念を体に受けた舎羅登さんが

血を流しながら片手で邪念がののに戻ろうとするのを止めていた


「源、何とか出来ないの?」

お母様の問に

「考えてる、羅生、釈愛、あの邪念を2人を傷つけず離す方法はないか?」

「無理だ、今の術韻がトドメの韻だったのかより深くののちゃんの魂に根を張った」

「舎羅登までも引き連れて戻ろうとしてるわ」


2人の横に腰を下ろし


「全員舎羅登に気を送れ!

舎羅登が弱ればそのまま中に引きずり込まれる

舎羅登、何か手段はないか!?」


源様の声に必死に考える

術韻を吸い込んだ邪念の力は凄まじくどんどん体力が持ってかれる


「ッッックソッ」


『終わりだ、お前も零恩志も

この悲しき結末を一生心に刻め!』


より力を増した



「……」



みんながどんどん諦めていくのが目に見えて解った

おばさんやおじさんもどうしようもない光景に涙を浮かべていた


「そんな…こんな事があってなるものか…」


零恩志のお爺様も力なく項垂れ

お母様やお父様も目を瞑っていた


「これで終わりだ!

我らが分家そして爛華(らんか)の怨みッッぐあ」



そう言い放つそいつを阿兎と和兎がより術韻で縛り上げた


「口ごと塞ぐぞ!」

()りない男ね」


俺達がそう言えば目の前にややが居た

いつものニコニコしたややではない

初めて見るような真剣な眼差しに言葉を失った



「阿兎、和兎、

その人を邪念の横に連れて行って」


「やや?

…解った」

「うん」


邪念の横に近づけば熱く苦しくなる


「お前ら何してる!?」


お父様とおじさん、おばさんの居る所を過ぎ

台へ登れば邪念が目の前で熱を放ち重い気流でいっぱいになっていた


「やや何してる!下がれ」

お父様の声も

「ややちゃん危ないわ」

釈愛様の声も

「阿兎、和兎も下がれ」

羅生様の声もしっかり受け止める


「皆様」


ややは振り向きながらみんなを見つめた


「少しだけ待っててください」


と言えば髪を止めてた(かんざし)を外した

金色に輝くの綺麗な髪がおりれば

ややからムラのない桃色の念が巻き上がる


音魂(おんたま)の言の葉、

(かな)しき鎮魂歌(ちんこんか)

暁月夜(あかときづくよ)、我らを見下ろし聴きたまえ

浄土より願い叶えたし、悲しき魂

我らの声に誘われ静まりたまえ

願い(とら)われた念は

邪心により(おぞ)ましき姿に成り果て

その悲しみを解き放ち

心安らかに眠りにつきたまえ」



ややの透き通る声と安らかな念が

邪念を包み込んだ…



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