やや~過去編2
「今更、式神?」
舎羅登さんが少し鼻で笑う
「ややに教えてあげたいんです」
「1体持ててたら便利だし」
阿兎と和兎がそう言えばややが
「阿兎と和兎が教えてくれたらそれでいいから」
って言って和兎の後ろに隠れた
「だって舎羅登さんがしばらく授業してくれるんだぞ?
教えて貰っとけって」
「そうだよ
こう見えて教え方も上手だから」
「おい阿兎、こう見えてってどういう意味だよ?」
「言葉のあやです」
「言い切るな
まあいいよ。
お前らが練習してる間に教えてやる」
喜ぶ和兎と阿兎とは違い少し嫌な顔をしてるややが目に入る
露骨に嫌をだすのはいい所のお嬢様だな
「フンっっっ!」
「ほら、そこ」
「ングっっ」
「5回だぞ、カウント」
「ダメー!」
汗だくになり近くの椅子に腰を下ろした私をケラケラ笑う舎羅登さんと視線が合う
それから舎羅登さんの授業がある日は私の式神練習が始まっていた
「やっぱり零恩志の血がながれてるだけあるよ
筋がいい」
「……当たり前でしょ
私だってちょっとは清女部で術韻の練習してたんだから」
「そうかそうか」
優しく頭を撫でる舎羅登さんの手を払う
「子供扱いしないで」
「可愛くねぇやつだな」
そう笑う舎羅登さんにムスッとする
「またやってる」
「ややってあんなキャラだった?」
和兎とそんな話をしながら2人を見つめていた
「ややのタイプとはかけ離れてるもんね」
「焔様の肖像画見ながらタイプって言ってたな」
「髪が長くて、美形で、目力ある人だね」
「舎羅登さんかけ離れてるよな
っつかちゃんと顔見たことないかも」
「確かにそれは言えてる」
「ほら、そこで念を込めて」
「ッッッ」
「集中して」
「ハア…もうダメ
疲れた」
座り込むややに舎羅登さんが
「大丈夫か?」
って優しく聞いてた
『何あれ…絶対気引きたいだけだよ』
『わざわざ勉強しなくていいなら大人しくしてればいいのに』
クラスの女子がそう小声で話す
阿兎がその子達を睨めばそそくさと練習に戻っていく
「女は怖いな」
「一部だけでしょ
性格悪いのよ」
「阿兎、ハッキリ言い過ぎな」
「せっかくややがやる気になってるから邪魔して欲しくない」
「そうだな」
ややは椅子に座り残りの時間見学する事にしたみたいでこっちにニコニコ手を振っていた
舎羅登さんは他の子達の指導に回り始めた
今日は演習室が使えないため教室で練習をしていた
「やや、そこ危ないぞ」
和兎がそう言えば
ややは
「大丈夫だよ」
っと言って再び椅子に座る
その後に机と椅子が積み上げられていた
『ねぇあそこに撃ってみよう』
『危ないよ』
『大丈夫』
数人の女子の声のあと念がややの少し上の机の足に当たりグラグラっと揺れたあと机と椅子がやや目掛け落ちていく
「やや!」
和兎の声にややも上を見あげた
「え?」
当たる寸前
ガシャガシャンっと金属がぶつかり合う凄い音がなり身を屈め、目を強く瞑っていた
痛くない不思議な状況に閉じてしまった目を開ける
「大丈夫か…?」
「舎羅登さん…」
うんっと頷くややをみてそのまま抱きしめるように倒れ込む
「舎羅登さん!」
和兎が上に被さる机や椅子を避ければほかの生徒達も手伝う
ガタッと最後の机を避ければ
頭から血を流した舎羅登さんがややを庇っていた
「舎羅登さん、大丈夫っすか?」
「おー和兎、悪いな」
「頭から血が出てます」
阿兎が治癒部に式神を飛ばせば
舎羅登さんは気を失った
「やや大丈夫?」
「私は大丈夫」
「誰だよ?知っててだろ
あんな所に術韻当てやがって」
怒る和兎に数名の女子がオドオドして顔を伏せた
「和兎、とにかく先に舎羅登さんよ」
「ああ、そうだな」
「舎羅登さん大丈夫なの?」
不安そうなややに笑顔を向ける
「大丈夫に決まってるでしょ」
阿兎に頷いて大人しく治癒部が来るのを待っていた
___________
「それで?
舎羅登君にお礼はちゃんと言ったんでしょうね?」
「お礼…言ったかな?」
「なんて事を…
今すぐ着替えて花屋敷のお家へ行ってきなさい」
「今日じゃなきゃだめなの?」
「当たり前でしょ
明日から土日で会えないのよ?」
「わかりました、母様」
「ほら、これ持って早く行ってきなさい」
ペンっとお尻を叩かれて零恩志の屋敷を追い出される
「まあ、ちょっと見直したかな」
夕刻になり日が沈みかける
そんな中今日の出来事で少し舎羅登さんの事を見直した
抱きとめられた時のいい香りにビックリした
いつもタバコを吸って少し不潔そうに思ってたから
コンコン
『はい
どちら様ですか?』
「零恩志ややです
母より届け物を」
『あら、ややちゃん?
ちょっと待ってね』
しばらくすると釈愛様が門を開けてくれた
「1人で来てくれたの?」
「はい」
「こんな所であれだから上がっていって」
釈愛様に強引に中に入れられる
「お邪魔します」
「そうだ、ややちゃんご飯一緒に食べない?」
「え?そんな…悪いです」
「お父様とお母様、また忙しいんでしょ?」
「…はい」
母様と父様はこの後谷田川を超えた所にある集落に出る妖を納めに行くと言ってた
龍君は今日は寮でご飯食べるって言ってたし…
「いただいてもいいですか?」
「もちろんよ
今日は舎羅登もちょうどこっちで食べるって言ってたから」
「あっ舎羅登さん怪我大丈夫ですか?
私を庇って今日頭とか打ってたんで」
「そうなの?
あの子そんな事ができるのね
本人に聞いてあげて
おばさん美味しいご飯作るから少し待っててね」
「私も手伝います」
「えーいいの?向かいの部屋にエプロンあるからつけて、おばさんが中界で選んだ可愛いのいっぱいあるから」
「ありがとうございます」
向かいの部屋に出てエプロンを選ぶ
「あっこれ可愛い」
そのエプロンを持って廊下に出る
ドンッ
「わっ」
「きゃっ」
ぶつかり転けそうになるところを手を引かれその人の胸に抱きとめられる
袴の下を履き上は裸のその人はお風呂上がりなのか黒髪をオールバックにして大きな瞳は私を見つめていた
「あの///すみません…」
一瞬で胸を鷲掴みにされるような衝撃のかっこよさに顔が赤くなる
「何だその反応?」
だけどその声にハッとなる
「え?まさか舎羅登さん?」
「っつか何で居るわけ?」
「え?こっちはお礼に来たの」
「何の?」
「あ…助けてくれてありがとう」
少し照れながら悟られたくなく強気で接してくるややの態度に笑う
「おばさんに言われたか?」
「何それ、せっかく来たのに」
「お前が自ら来るタイプじゃないだろ」
そう言えばまたむくれた顔をするやや
「ちょっと舎羅登、服着なさい
ややちゃんごめんね、変なことされてない?
今日は一緒に夕飯食べるんだから分かった?」
「はいはい
ってか俺の甚平置いてなかった?」
タオルで頭をゴシゴシしながら歩いていく舎羅登さんを見つめた
「絶対違う。ときめいてなんかない」
そう小声で自分で言い聞かせた




