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愛しき姫は異世界に  作者: janky
第9章
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第9章 食堂で

「実丸、莉心様落ち着いたか?」


「だいぶ…」


和兎が俺に食堂で声をかけてきた

トレーを持ち昼ご飯を選ぶ



「莉心様、2回目だろ?

黄泉の死者を術韻無しで浄土へ送ったの」


和兎も選びながらそう言えば、俺は手を止めた


「この間の時は念に触れて手が爛れていたのも治ってた

何だろな…経験ない、莉心様みたいな人」


再びトレーに選んだ品を乗せて椅子に座る実丸のあとを追い前に座る


「龍様とか実丸とかと毎日居るから気流が体に溜まってるとかじゃねぇの?」

「そんな事例聞いたことないだろ?」

「ねぇよ」

「だろ。

莉心様の、調子も戻ったし…今日にするか?

ややの話聞くの」

「そうだな

そう言えば聞いたか?

こないだの中界事件」

「あー…確か第二級貴族の姫様だっけ?」

「おう、それそれ

第五級貴族の護衛になりたての子達が運命の輪繋ぐ練習してて閉じれなくなったんだって。それで先生呼びに行ってる間にその中に落ちたみたいだ」

「んで、今は?」

「それが帰ってきてないみたいなんだよ

確か蓮実と(たすく)も行ったきりって聞いた」

「丞の所か…なら安心だろ」

「丞の妹の遊音(ゆん)可愛いよな」


笑う和兎を見つめた


「解ってるって、お前は妃乃瑠一筋…わ!」


実丸の箸が目に刺さる寸前で止まる


「場所を考えろ」


箸が離れゆっくり周りを見回すと

実丸と俺が一緒に居ることで院生達が周りを少し距離を開けて囲んでいた


「遊音姉が聞いたら絶対喜びます!」


実丸の隣に座る子がそうニコニコ言えば


「丞の所の一番下」

と実丸が言った

「…早く言えよ」

「ちなみに妃乃瑠のクラスだ

この机に座ってるの」


壁に背をつける実丸と向かいの俺の両隣には6人程座ってる子達が居てウキウキしながら俺を見ていた


「悪かった」

(たもつ)、こないだの演習1位だったみたいだな」

「実丸さん、知っててくれたんすか?嬉しいです」

「妃乃瑠と廊下で抱き合って喜んでんのたまたま見た」


普通に言ったはずなのに保の顔色が悪くなる


「お、俺は決して下心で抱きついた訳じゃ」

「おい」

「先生としてしか見てません」

「待て」


保が焦りながら何か勘違いしてるのを止めようとする

和兎は笑いながらそれを見ていた


「第1、俺は実丸さんから先生のこと頼まれてるんで

そんな事しません!」


っと強く立ち上がり言い切った


「え?何、実丸お前、妃乃瑠の事頼んでたのか?」


和兎はまたニヤニヤしながら保と俺を交互に見て笑った


「保、落ち着け頼むから」


っと立ち上がっていた保を引っ張り座らした


「それより実丸さん、

こないだの寮前の話聞きたいです」


座っていた生徒がそう言えば周りもザワザワしだし、女子は意味もなくキャーとか言い出した


「俺、行くわ」


立とうとする俺の腕を両側の院生に掴まれた


「あの日ヤバかったんすから!

みんな全然寝れなくて」

「そうですよ!

次の日授業も大変だったんすよ

妃乃瑠先生ボーッとし過ぎてまた教官の意識飛ばすくらい術韻かけてました」


生徒達が優しく笑うのを見ていて妃乃瑠は愛されてて慕われているのが伝わってきた


「妃乃瑠は、瞬発力と気流の集め方が上手いから確り教えてもらえよ」


「話そらすなよ、実丸」


また笑いながら和兎がからかう


「…そらしてねぇし、話すことなんてねぇだろ

あれは妃乃瑠のもう一つの術韻を解くためにやった事だから」


「絶対嘘だ!」


生徒達が口々にそう言い出す


「俺一番初めの引き寄せる所から覗いてましたけど、絶対本気でしたよ」


そう言われて思わず下を向いた


「実丸がこんな言われてるの初めて見たわ」

「笑い事じゃねぇだろ」


実丸が疲れた顔を俺に向けた


「良かったじゃねぇか、妃乃瑠の大変さが解って」

そう言えば珍しく


「だな」

っと優しい笑顔に全員が固まった


「実丸さんが」

「「「笑った」」」


「だから俺って…どんな印象だよ」


そこにまたガヤガヤと騒がしくなる


生徒達をわけながら


「何の騒ぎ?」


っと飛奈が顔を出した


「誰か居てる?」


っと続いて妃乃瑠が顔を出した


「実丸さん!」


驚いた声に


「俺も居るぞ!」

っと和兎の声に


「珍しいですね

2人でご飯なんて」

「阿兎が谷田川に出張任務だからたまたま会っただけ」


飛奈は迷いもなく和兎さんに駆け寄る


「先生ほら、隣座れよ

お前ら1個ずつずれて」

「え、だだ大丈夫だよ」


実丸さんと和兎さんの横が空けば

実丸さんと視線がぶつかった


「……」

「……座れよ」


っと大好きな声が聞こえる


ゆっくり実丸さんの横に腰を下ろしてトレーを机に置いた


「いただきます」


っとご飯を食べ始めた妃乃瑠

院生達のニヤニヤした顔が目に入る


そこに近づいてくる誰かに目を向けた


「お疲れ様です

妃乃瑠ちょっといいか」


未来弥が1人の女の子を連れて来た

俺達に頭を下げた未来弥は


「演習中に間違えて呪いを顔に貰ってしまったんだ」


女の子が顔に巻いてた包帯を取れば右側の目元から上が爛れていた


「消せないか?」

「うん、いいよ

女の子だもん」


妃乃瑠はそう言いながら手をかざそうとした


「妃乃瑠が呪いを貰うんじゃない?

いいの?」


飛奈が心配そうに聞いた


「私は治癒力が高いから」

「悪い…」


未来弥も申し訳ない顔をした

女の子は泣いていた


「大丈夫だよ

先生が治してあげる」

「先生…ごめんね」

「みんなも、呪いをもらう意味をちゃんと考えてね

この傷はその対象の想いの強さだから」


妃乃瑠がそう言えば、生徒達の顔が真剣になってく


「先生らしいじゃん」

「だな」


実丸は机に肘をつき手に顔を乗せ優しく見守っていた


術韻を唱えて妃乃瑠の手から呪いが移動していく

綺麗に消える頃には妃乃瑠の目元に移っていた


普通は口移しによる呪い移しがメインだが

妃乃瑠は術韻で受けることが出来る


「先生…ありがとう」

「妃乃瑠悪い…」

「ううん、これくらいなら1週間で治せるよ」



笑う妃乃瑠の背中を見つめた

昔院生の時にも、同じクラスの子が貰った呪いを身に受けて顔が爛れた時があった

その時は1週間学校を休んで見舞いに行ったけど追い返されたことがあった


『実丸さんには見られたくないんです』


って泣いてたくせに…


妃乃瑠は成長して大人になっていく

大切に守りたい生徒達が居る


守るために無茶をする…


結局護衛でいようが講師でいようが

妃乃瑠は全力だから。


危ない目には合うんだな…


子供くさい自分の意地に嫌気がさしそうだった


「妃乃瑠、大丈夫?」

「ちょっと酷いな」


飛奈と和兎さんが心配そうにそう言いながら

顔を机越しに覗いてくる


「大丈夫ですよ

痛くも痒くもないです」


そう笑えば


「我神の名の元にその呪い(うけたまわ)

花屋敷式術韻 呪縛移式(じゅばくいしき)」」


実丸さんの小さな韻を読む声に顔を向けた


突然視界が真っ暗になる


「妃乃瑠」

「え?ンンッ///」


突然塞がれた唇に目を見開いた

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