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愛しき姫は異世界に  作者: janky
第8章
79/220

飛奈との夜

「え?嘘でしょ?」


「私も嘘だと思いたいよ」


妃乃瑠が夜突然部屋に来たと思うと

顔を真っ赤にして


『実丸さんにキスされた

2回も』


って言うから本気で驚いた



「どうしよう

生徒達にもまた見られたし、

もう…すっごくかっこよかった」


そう言えば飛奈が嬉しそうに笑ってくれた

「はあ…懐かしい」

「え?」

「いつも妃乃瑠言ってたよ?

実丸さんカッコイイって

本当に大好きで…楽しそうだった」

「飛奈…」


「いつからかな…

多分淫魔の事があってから距離が開いてどんどん苦しくなったんだと思う

でもね、周りから見てたら凄く愛されてたよ

ううん、今も愛されてる」


「飛奈!


淫魔は…舎羅登さんって言ったじゃん?」


妃乃瑠の揺らぐ瞳に


「ごめんね、

実丸さんに口止めされてたの…

妃乃瑠の記憶は全部舎羅登さんだと思うけど淫魔も、殲滅戦も全部実丸さんだよ?」


「…私……愛されてた?

記憶の中がどれが正解でどれが偽物なのか自分でも解らない。実丸さんをどういう風に好きで、舎羅登さんをどう思ってて…」


「うん。

妃乃瑠は愛されてたよ」


「嘘…振られたって言ってた…

でもさっきも思ったの

好きって気持ちは確かに辛かったんだと思う

でも思い出は楽しい事もあったんだって


どうして忘れようなんかしたんだろう」


泣き出す妃乃瑠を抱きしめた


「未来弥がね、絶対思い出せるって言ってた

実丸さんが頑張ればの話だけどね

妃乃瑠、これで良かったんだよ」


飛奈はそう言いながら何かを思い出すように話してくれた


「妃乃瑠が記憶を失くす少し前くらいから、いつも苦しそうで、いつも泣きそうで、好きなのに辛いって気持ちでいっぱいだった

だから護衛に居ても、実丸さんや阿兎さんに頼る所も全部和兎さんに頼ってたり、正直いい方向ではなかったんだよ?

それで一旦気持ちを落ち着かせるために護衛を休むって話だったんだけど、実丸さんが藩登様に2年…

2年間頼み続けてたんだって」


「実丸さんが?

何を?」


「妃乃瑠を護衛から高専の講師になれるように」


「どうして?」


「詳しく聞いたわけじゃないけど…

妃乃瑠が目の前で傷つくことが耐えられなかったんじゃないかなって阿兎さんが言ってた」


「……私が…傷つく」


「うん、大切だから…妃乃瑠の事が。

まあ、でも、あんなやり方しなくていいのになって思ったし、私と未来弥は怒ってたから」


「その時の記憶はほとんど無いからどんな事されたかはどうやっても思い出せない。八雲を剥がした事本当にバカだったなって思うし…八雲に申し訳ない」


「それにさ、実丸さんにとってもいいキッカケだったと思うよ?

だって今ね前より優しいし、妃乃瑠の事がずっと気になってるって顔してる

ましてや、素面(しらふ)の時にキスするなんて…

淫魔の時は皇我の気流と淫魔の求愛の行動で興奮してたし、媚薬打たれた時も正気じゃ無かったでしょ?

だから…」


「待って。私…そんなに実丸さんとシテるの?」

「私が知ってるのは…多分2回かな…

でも阿兎さんは3回も手出してって前に言ってたから…」


飛奈の言葉に余計に顔が赤くなる


「明日から…恥ずかしすぎて実丸さんに会えない…」


「大丈夫でしょ

実丸さんって何事も無かったみたいにするからね

だから実丸さんも辛いんだよ?

全部覚えてる方も…」

「そうだよね…」

「だいたい紅月って子苦手なのよね

高専でも実丸さんとの噂流して…いい気で居てる」

「私も苦手…実丸さんの事好きだから邪魔しないでって言われた」

「え?宣戦布告じゃん

それなのに寮でキスしたの?

やるねぇ妃乃瑠」


飛奈は笑いながらコップを取り出しお酒を注いでくれた


「じゃあ妃乃瑠がまた実丸さんにドキドキしたお祝いに

カンパーイ」


「何のお祝い?

しかも絶対楽しんでる」


そう言えば飛奈はニヤニヤしながら


「ねっねっ、実丸さんってキス上手い?」


突然そんな事を聞いてくる


「ちょっと///////」

「前の淫魔の時はね、実丸さんの…んー」

「飛奈!」


飛奈の口を手で抑える


「変なこと言わないで」

「アハハ、ごめんごめん」


妃乃瑠とまた実丸さんの話ができて嬉しかった

私や未来弥が妃乃瑠を心配してる以上に

実丸さんはいつだって妃乃瑠を心配して妃乃瑠中心で世界が回ってる


それをまた私達は実感することになる





___________




「実丸」


「和兎?」


屋敷に帰り部屋に向かう中、和兎が廊下で待っていた


「ややは妃乃瑠の所か?」

「おう、知ってたか

しばらく居させてくれって」

「そうか。ややなら大丈夫だろ」

「本体はちゃんと居るからな」

「明日の夜、俺たちでややと舎羅登さんの過去を聞かねぇか?」

「俺たち?」

「実丸、俺、阿兎、飛奈、未来弥、龍様…そして莉心様だ」

「は?莉心様?」

「聞いただろ?莉心様の知ってる奴が黄泉の死者だったんだぞ。

中界にも何か原因があったんじゃねぇかって思って」

「そうだな

莉心様には気がかりなことが沢山ある」

「今日の(ほむら)様の呪いも、考えてみろ。

おかしいだろ、焔様の血を強く引いたのは莉心様じゃなくて莉子姫の方だ」

「…俺たちの知らない所で何かがあるはずだ

明日妃乃瑠を連れて莉心様の部屋に集まろう」


頷いた和兎はしばらく俺を見つめて


「あんな所でキスすんのはどうかと思うけど」

っと真顔で言ってくる

「どんな情報網だよ」


そう言えば20体程のハートマークの柄やピンク色の式神を出して俺に見せる


「大事だろ?こういう情報網も」

「まさか院生に手を出してるとは思ってもなかった」

「バカ、人聞き悪いだろ

院生達と交流を持ってるって言えよな」

そこへもう1体オレンジの可愛い式神が届く

パンッと弾ければ

「和兎さーん実丸さんが妃乃瑠先生にキスしてましたー!」

っと声が聞こえヒラヒラと床に式神が落ちていく

「だってさ」

和兎がそう笑えば

「阿兎はよく耐えてんな、こんな兄貴」

「おい、こんな?って言っただろ

しかもあいつは俺を兄貴とは思ってない」

「まあ、そうだろ

顔も性格も似てない、血も繋がらない双子もどきだろ?」

「実丸、お前オブラートって知らねぇの?

はっきり言いすぎ」

「デリカシーない和兎の真似しただけだ」

「…久しぶりだな

こんな話すの」


和兎は伸びをしながら月を見上げた


「実丸。

俺達はいつだって味方だ」

「解ってる…

だから頼ってるだろ」

「お前、可愛げって言葉知ってるか?」


笑う和兎に俺も少し笑顔がこぼれた


「知らねぇよ」

「愛されたい人に愛される事ってこの世界で当たり前じゃない

だから大切にしろよ」


「和兎…」



和兎のその言葉は俺たちが思う以上に重いもので

その反動が今の和兎を作り上げていた


「1人の人見つけたらいいんじゃねぇの?」

「いらねぇ。

特別は何時か失くなるもんだろ」


心の闇は誰にだってある

人と人が接する上で

乗り越えなきゃ行けない育ってきた環境の違いもある


和兎はこの世界で絶対的な愛を知らずに生きてきた


だから来るもの拒まず去るもの追わず


もうずっとそんな恋ばかりしていた

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