二人の世界
「莉心様!」
『すまない、我がついていながら』
「大丈夫だ、ありがとう皇我」
「皇我。
ありがとう」
実丸に続いて龍様もお礼を言った
「呪いを俺に移す」
龍様はそう言いながら術韻を読もうとした
「それは出来ない」
藩登様が言えば龍様が目を見開き藩登様を見つめた
「どうしてですか?」
「莉心はこの呪いを誰かに移されたのか?」
藩登様の問に龍様は頷いた
「その呪いは莉心の魂まで繋がってる」
「そんな…」
「他に方法はないんですか?」
実丸の言葉に藩登様は、押し黙った
龍様を助けた代償は大きい
「莉心…ごめん」
抱きしめて謝る龍様に全員が目を疑った
「龍様…」
阿兎は呆気にとられ
「何が起こった?」
和兎も頭を抱えた
「実丸さん…龍様ってそうなんですか?」
妃乃瑠はそう俺に聞いてくる
「なのか?」
そこへ
「大丈夫か?何か屋敷がバタバタしてたぞ」
舎羅登さんと飛奈、未来弥、蓮実が駆けつけてきた
「さっきは助かった。みんなありがとう
それよりまた呪いか?
九楼はちょっと手が離せなくて、
今度は何したんだよ?」
舎羅登さんの包帯姿は痛々しかった
「さすがに魂に繋がったこの呪いを私に移しきることはできないです」
妃乃瑠がそう言えば
「蓮実…そうだ蓮実!」
実丸が大きな声を出した
「なっ何?あんた2個下のくせにまた呼び捨て!?」
「怒んなよ
っとにかく蓮実と妃乃瑠が居れば何とかなるかもしれない」
実丸はそう言いながら皇我を再び引き出した
「龍様、呪いを受けてくれますか?」
俺の問に迷いもなく頷いた龍様は
莉心を胸で抱きとめて俺達の方へ向き直る
「藩登様、皇我が居れば魂についたあの呪いを離すことが出来ると思います」
「あっ…」
阿兎はそう言いながら実丸を見つめた
「皇我は確か人に使えてた時、魂につく邪悪なものを消し去る事が出来たのよね」
「ああ」
『もう何百年としてないが』
「蓮実の治癒力は呪いを受けてる間龍様に注いでくれ。
舎羅登さんと藩登様は俺を念で抑えててください
暴走しそうなら迷わず傷つけてください
和兎と阿兎は莉心様に念で気を送って、意識がないから消耗も激しい、飛奈は阿兎に未来弥は和兎に気を送って」
的確に指示する実丸さんは私を見つめた
「妃乃瑠は俺の側に居ろ」
「え?」
全員がそんな事を言う実丸に驚いた
「八雲を出して皇我の側に」
言われる通りに八雲が皇我の背中に乗った
「八雲、しんどいと思うが皇我の名前を呼び続けて欲しい」
『ワン』
「妃乃瑠…」
実丸さんの手をゆっくり握れば
「/////」
ギュッと抱きしめられる
「妃乃瑠、俺の名前呼んで
出来れば気も送ってくれ」
見上げた実丸さんは凄く優しい顔をしていた
「実丸、大丈夫か?」
藩登様の声に頷いた
「皇我を一気に解放します
全員気合い入れてください」
「「「はっ」」」
「葉月式 全・解放 皇我!」
ブワッと皇我の気流が駆け巡れば
藩登様以外足を地につけた
『「行くぞ」』
皇我が莉心の体から魂を引っ張り上げる
「皇我、食べるなよ!」
藩登様の声に皇我は獣目を大きく揺らしている
『皇我!皇我!』
それを八雲が必死に止めていた
「ッグッッッ」
実丸さんの体を凄い圧が襲いかかる
皇我をコントロールしてるせいで意識のバランスが壊れそうになる
「実丸さん頑張って」
私の声に瞳を開けて
私を確認する
「実丸さん!」
『グゥゥ』
魂から呪いの本体を取り除き
龍様に向けて皇我が飛ばす
スーッと魂が莉心様に戻って行った
「ハア…ハア」
実丸さんを支えれば
皇我も正気に戻り実丸さんも肩で息をしながら
行く末を見守った
「舎羅登、俺達も龍に念を送るぞ」
「はい」
「ッッッ」
魂に呪いが広がる前に術韻を必死に唱える龍様
「我神の名の元に…
零恩志式術韻 呪縛・解」
そう言えば龍様から凄い念が舞い上がる
「あの念は…焔様」
「ああ…そうだ」
藩登様と舎羅登さんは信じられない顔を莉心様にに向けた
「あの子は本当に何者なんだ?」
「ッッッぅああ」
バシュンっと最後の念が飛び出し龍様が後ろに倒れるのを阿兎と和兎が支えた
「龍様…お疲れ様です」
「ご無事で何よりです」
「…ハア…心配かけたな」
起き上がり莉心を抱きかかえ直し俺に跨いだ状態にして声をかけた
「莉心、莉心!」
「龍様…」
目を開けた莉心は俺を見下ろし強く俺に抱きついてきた
「生きてて…良かった
何回も呼んだんだよ?
龍様…って」
「ああ…助けてくれてありがとう」
少し離れた莉心はゆっくり俺を見つめた
「痛くない?」
「もう大丈夫だ」
ゆっくり顔を近づける莉心に軽く唇をつけた
「ちょっと何やってるんですか!」
阿兎の声に2人でビクッとなった
「しまった…」
2人じゃないことを忘れてた
「あっ/////」
莉心は恐る恐る後ろを振り返った
少し戸惑った顔をする藩登様
意味がわからないって顔をした舎羅登さん
驚いた顔をした実丸と実丸を支えながら顔を赤らめる妃乃瑠ちゃん
「あの…違うんです」
「嘘だろ、いつの間にそんな関係に」
和兎さんの言葉に
莉心様は勢いよく立ち上がり
顔を真っ赤にした
「今のはカウントしないやつです」
そう言いながら妃乃瑠ちゃんと実丸の方へ走り
2人へ抱きついた
「隠れたい」
「莉心様…」
グッと妃乃瑠が抱き寄せて
俺が皇我を呼び出し3人で先に帰ることにした
「先に行っておきます」
妃乃瑠の声に頷いた全員が見送った
「龍、どういう事だ?」
藩登様は龍様の横に座り肩を抱き寄せた
「え…それは」
「莉心は確か
今のはって言ったな…
カウントするやつをしたのか?」
「藩登様、俺も帰ります」
急いで式神を出しその場を逃げる龍様のあとを阿兎と和兎が頭を下げてから追いかけた
「何だよ」
藩登様そう言って残ってる俺らに笑いかけた
「叔父貴が笑った」
「激レアです」
「すげぇ」
「初めて見ました」
飛奈と、未来弥と蓮実は目を丸めて藩登様を見つめた
「やめろ
俺も帰る」
そのまま藩登様も帰って行った




