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愛しき姫は異世界に  作者: janky
第8章
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キスにカウント

「ん…」


目を開けると、俺を包み込むように莉心も眠りについていた


怪我もそれ以上広がりはなくて

少し痛むが耐えれないほどではなかった



「暗いな」


今の時間も分からず水は引く気配もない

術韻を唱え火を起こし空中へ投げれば光となった



「ん…」


「…」


「龍様?」


目を開けると龍様が起き上がっていた


「ダメです!まだ寝てないと…」

「大丈夫だ

莉心のおかげで良くなった」


「嘘…」


莉心は起き上がって俺を見つめた


「ならもう少し肩、借りていいか?」


「うん」


莉心にもたれ掛かると優しく抱きしめてくれる

心地いいと感じる瞬間だった


「…姉様の事、いつもバカにしてたんだ…」


「え?」

「恋愛に(うつつ)を抜かして、舎羅登さんをカッコイイって騒いでる姉様をいつも冷めた目で見てた」

「そうなんだ…

綺麗な人だね…お姉さん」

「いろんな貴族の人からの求婚も断って、舎羅登さんだけを愛してたんだ…」

「断ってまで好きだったの…?」

「ああ、真っ直ぐで、無垢(むく)で…

だからあんなになったんだ

疑えば良かったんだ…

真実の愛とかそんなもの…目には見えないだろ?」


龍様はそう言いながら私の胸の中に顔を(うず)めた


「なんて無い振りをしてた

姉様が永遠に目覚めない呪いを貰っても」

「うん…」

「でも本当は辛かった…

姉様はいつも笑顔で、

小さい頃から竜使いとしてプレッシャーを感じてた俺にとっては心の拠り所だった」


弱音を吐く龍様に胸が苦しくなる


「でも少し解った…」


グッと顔を上げて私と視線が重なる

触れそうな唇がゆっくり動いた


「誰かを守りたい気持ち」

「龍…様?」


「姉様が言ってた

好きな人の為なら何も怖くないって…」


目を閉じて何かを思い出す龍様をゆっくり抱きしめた


「莉心が俺に優しくするのは

中界に居る好きな人に似てるからか?」


突然の問に驚いた


「実丸が言ってた

酷いことをした俺を許そうとしてるのは

好きな人が苦しんでる顔を見たくないからだって」


「実丸が?」


もう…内緒って言ったのに…



「ああ。

俺はそんなに似てるか?」

「…似てます」


少し離されて再び視線が重なる

こんなに近くに龍様を感じる


「そいつはどれだけ莉心の中に居る?」


強く私を見つめるその瞳は

私の知らない龍様のように思えた


「…え?」


「俺はそいつに勝てるか?」


龍様の言葉に時が止まるような感覚に(おちい)


「龍様?勝てるって…」


絡んだ瞳から伝わる熱い気持ち



「俺だけを見て欲しい」


ゆっくり触れた唇に目を見開く


『莉心…』


龍斗…!


バッと龍様の体を突き放した


「私…」


龍斗を好きなはずなのに

何してるんだろう…


嫌でも解る


私…龍様をどんどん好きになってる


「莉心…」


龍様の優しい手の温もりが顔を包み込んだ


「拒むな」


再び触れた唇に

目を瞑った



「んっ…//」


莉心は優しく俺の背中に手を回した

唇を離せば

目を潤ませて熱を帯びる莉心が居た


「これ以上は…」


グッと我慢をして莉心を抱きしめた


「んんっ」


腕の中で声を上げた莉心を離すと

胸元を強く握りしめていた



「痛い…」

「莉心!?」


襦袢と着物を握る手を離せば血が滲んでいた



「これは…」

「また…」


莉心は胸元を緩め痣に目を落とす



「色づいた」

「これは…呪い?」


「突然出来たの…」

「どうして莉心に…」

「分からない…でも1枚ずつ花びらが色づいてる」


ガッと強く肩を龍様に掴まれる


「俺に移せ」

「え?」

「その呪いを俺に移せ」

「嫌だ…!

またするってことでしょ?」


そう言えば傷ついた顔をした龍様


「……そんなに嫌…か…?」

「当たり前だよ」

「あれはキスにカウントしなくていい」


真顔で言う龍様を見つめた


「あっ…これは言うなって言われたんだ」

「待って、キスが嫌って言ってるんじゃないよ?

呪いを移すってことが嫌なの」

「って事はキスは嫌じゃないのか?」

「…!!…それは///

じゃなくて、痛いでしょ」

「あれぐらいの痛さなら大丈夫だ」

「ダメだよ

そんな事に慣れないで」


優しい瞳がまた俺を捉える


「莉心…」


再び莉心の唇を塞げば感じたこともない熱い熱情が心から溢れてくる

そんな感覚を俺は今知ることができた






__________






「この呪いはしばらく消えそうにないな」


舎羅登さんの呪いを小さくして火傷のあとを最後まで治していた


藩登様の声に阿兎と妃乃瑠と和兎は床に倒れ込みながら聞いている


実丸さえ壁にもたれ掛かっていた


「お前ら、最近鍛錬が足りないんじゃねぇのか」

「藩登様が別格なだけでしょ」


実丸がそう言えば他の3人も頷いた


「明日ややの念を体に戻せるか試そう

舎羅登もしばらくすれば目が覚めるだろ」



バンっと開いた扉には釈愛様が居た



「お兄様、舎羅登は?」

「呪いを少しもらったが大丈夫だ」

「良かった…みんなありがとう」

「目が覚めるまで部屋で待つといい」

「はい。

お兄様…光愛の黄泉の死者が出たと聞きました」

「ああ。あの魂は手強いぞ」

「…私のせいですね…」

「気にするな…あの時はあれが正しい答えだったんだ」


二人の会話から悟る

中界に居た莉心様が知っていた大好きだったお姉ちゃん、光愛は何らかの形で舎羅登さんと関係を持って…

この人たちに消された


でもその念が強すぎて黄泉の死者になってしまったんだろう



『藩登様!大変です』


使用人が慌てて入ってくる


『龍様と莉心様が大広間の絡繰に落ちてしまいました』


「何だと!?」

「あそこの絡繰は、まだ安心です

日の出を待って助けに行きましょ」


実丸がそう言えば藩登様が首を振った


「だめだ、あそこに黄泉の死者になりかけた魂を眠らせてる」

「え?」

実丸の顔色が変わる


「明日の満潮を持って送るために捉えてた

龍や莉心の気に触れれば力が溢れる

黄泉の死者になれ果てるぞ」


「そんな…」


息を切らし阿兎が体を起こした


「龍様のあのダメージを思えばミコトとコハクを使えません」


「それに腹の傷も危ないはずです」


「動けるか?」


藩登様の声に立ち上がる2人


「妃乃瑠、お前はここにいろ

まだ感覚戻ってないだろ」


実丸さんにそう言われた


「行きたい…お願い」


私がそういえば藩登様が頷いた


「無理するなよ。」


優しい実丸さんの声に頷いた


「藩登様。

飛奈と未来弥、九楼、妃乃瑠1人じゃしんどいと思うので治癒部の蓮実にも招集かけます」


実丸が式神を飛ばした



「行くぞ」

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