実丸の異変
「未来弥が飲みに誘ってくれるなんて怖いんですけど…飛奈は?」
「今日は2人」
居酒屋でそう言いながらコップを合わせる
「どう?舎羅登さんとの毎日は」
「うわっ興味ない顔で聞かないでよ」
「ねぇだろ、普通に。社交辞令だよ」
「あのね、顔がいいからって性格治さないとモテないよ?」
「モテなくていい」
「もう飛奈とくっついちゃいなよ?」
「はあ?ない」
未来弥は大きい目に中性的な雰囲気が人気で女子ウケも男子ウケもいい
昔から中心にいるような子で
口元のホクロがまたセクシーだって生徒が騒いでる
「ってか、慣れた?学校」
「うん、いい子達ばっかりで楽させてもらってる」
「聞いたぞ、こないだ術韻の加減間違えて、手伝いに来てた先生気絶しかけたんだろ?」
「っあれは、っていうか、術を加減してって言うのが私には難しいのよ」
「まあ、そうだよな
それは護衛付きと講師との違いだわ」
ペースをあげて呑む妃乃瑠は自然と実丸さんの話を振ってくる
「実丸さんの狼がね、なんか怖い」
「狼?皇我?」
「うーん。こないださ、実丸を忘れたか?って聞かれて…忘れたって何?って思って
だって覚えて話してるのに」
「他に何か言ってた?」
「うん、番がどうこうって…」
「…なるほど
妃乃瑠!」
「キャッ!」
グッと未来弥が首元に顔をうずめてきた
「何?」
「吐きそー」
「え?ちょっと待って」
「っ嘘」
顔を上げた未来弥はイタズラに笑っていた
「もう、いつも人を騙すんだから」
「いつも騙される妃乃瑠が悪い」
そんな言い合いをして久しぶりに笑って話せる
安心した雰囲気と
心落ち着く時間に身を預けて行った
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「おはよう」
『先生、顔やばい』
『ほら、シャキッと』
生徒達に体を支えられ
教室から演習室に向かう
「みんな順番に入ってね」
生徒が入って行くが黄色い声に中を覗いた
「妃乃瑠ちゃんおはよう」
「阿兎さん!?」
「俺も居てるぞー」
「和兎さんまで
今日はどうしたんですか?」
走り寄ってくる妃乃瑠の足が数歩手前で止まった
「はよ」
「実丸さん…おはようございます」
どうして今日に限って実丸さん達が居るんだろう
鏡を見て寝癖をコッソリ隠す
ハッとして周りを見ると生徒達がクスクスって笑っていた
「じゃあ授業始めます」
妃乃瑠がそう言った時
ガラガラっと演習室の扉が開く
「妃乃瑠、忘れ物」
舎羅登さんがそう言いながら
妃乃瑠の式神を入れてる小さな箱を投げる
「ありがとうございます!
昨日忘れたの気づいてなかった」
「じゃあな」
「はい」
優しい笑顔を向ける妃乃瑠に胸がざわざわしてギュッとなる
「阿兎、俺やっぱり」
小声で阿兎に任務の方へ行こうと伝えようとした
「ダメよ、藩登様命令だって言ったでしょ」
冷たい瞳と声に、本気で怒らす前に口を閉じた
「じゃあ初めに集中して術韻を飛ばして戻す練習するよ」
妃乃瑠の声に生徒達が広がる
再びガラガラっと開いた扉には飛奈と未来弥の姿が合った
術韻部の数名を連れて参加しに来ていた
「今年のエース達ってとこだな」
和兎はそう言いながらさっそく声をかけに行った
「今年の掛け持ち組ですか?」
実丸がそう聞いてくる
「うん、私たちがいる時はこっち優先らしいわよ」
「ふーん」
「懐かしいって実丸は全部習ったんだよね」
「まあ、いらないやつもあったけど」
「なにそれ」
「……」
笑う実丸さんと阿兎さんを見ると胸がモヤモヤしてくる
どこかで味わった事があるような不思議な感覚
『先生危ない!』
「え?キャッ」
『わっ//』
『見えなかったよ今』
私をグッと抱き寄せて片手で打ち間違えた術韻を受け止める実丸さんが居た
「大丈夫か?」
「はい…」
どうしてこんなにドキドキするんだろう
「ごめんなさい」
謝って顔をそらした妃乃瑠を見て
一瞬で体が熱くなる
首元に咲く赤い印に
目が離せなかった
『昨日忘れちゃったの気づいてなかった』
妃乃瑠の言葉に
舎羅登さんと妃乃瑠の情事を悟る
その瞬間だった
「え?」
ブワッと風が舞い上がり
バンッと風が勢いよく吹き荒れる
『キャー』
生徒達が壁まで押しやられ
阿兎さん達も立っていられず後ろへ風に押される
「ちょっと実丸!」
阿兎さんの声にみんなが実丸さんを見ると
赤い目をした実丸さんが風の中心で1点を見つめてた




