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愛しき姫は異世界に  作者: janky
第7章
58/220

過去を知る人


「はーなーやーしーきー」

「莉心様、

ちゃんと真面目に読んでください」


実丸に軽く睨まれひれ伏せた机から起き上がる


「花屋敷家の結婚について」

「この書類はしっかり目を通してください」


淡々と私の横に腰を下ろし話す実丸をじっと見つめた


「穴あきます」

そう言われてもじっと見つめる


「妃乃瑠ちゃんやっぱり来ないの?」

「だから、

妃乃瑠は護衛付きを降りて講師になったんです」

「解ってるけど

1回も会えてない」

「八雲が離れるって事は相当ダメージが大きくて、また慣れるまで激しい運動や精神が乱れる事はダメなんすよ」

「実丸は大丈夫なの?

狼さん剥がしたって聞いたよ?

龍様に…」

「俺は後付けだから、そんなに対したズレや副作用みたいなのはないんです

妃乃瑠はお腹にいる頃から犬憑きにされてるので、剥がすと魂まで引きずられるんですよ」


「????」


訳が分からない顔をする莉心様にックスと笑ってしまう



「笑わないでよ

今必死に理解しようとしてるのに」

「ッハハすみません

莉心様さえ良かったら、

妃乃瑠に会ってあげてください」

「私の事は覚えてるの?」

「…はい、もちろんです」

「忘れたのは、

実丸を好きな気持ちだけ?」



そう言えば実丸は私を見つめ数回頷いた



「それでいいの?」

「…もちろんです

妃乃瑠がそれを望んだので」

「実丸って肉食に見えて違うんだね」

「え?」

「見た目、オレの女に触んな系なのに」


っと強気な顔をする莉心様


「なんすかそれ」


ゆっくり実丸の手を握って視線を合わす


「好きな気持ち隠すの辛くない?」


綺麗な透き通るような瞳は

汚れも知らない純白のようで

俺のこのドロドロな黒い闇を

(あぶ)り出しそうに思う


「辛くないですよ」

「嘘。

好きなら辛いよ」

「………」

「実丸。

私ね、この世界に来て思ったの

視線が合う事も

声が聞ける事も

言葉を交わせる事も

触れる距離に居て

その人と同じ時間を生きれる事って

凄く大切な事だったんだって…

当たり前みたいに過ぎていくから気づけないんだけどね


妃乃瑠ちゃんは可哀想なんだよ?

好きな人の変わりなんて…

どこを探しても居ないんだから」

「それでも偽りの記憶を愛して幸せになっていけます。妃乃瑠と舎羅登さんなら…」


優しい瞳は

今もまだ妃乃瑠ちゃんを好きだと伝える


「実丸…」

「正直ホッとしてるんです

妃乃瑠が護衛付きになってから、

毎日本当に気が気じゃなかったんで」

「そうだよね、

あの時の実丸の顔思い出すだけで羨ましくなるもん」

「え?」

「こんなに誰かに愛されてるのっていいなぁって」

ニヤニヤする莉心様に

「何の話っすか?」

と振れば

「注射で刺された時の話、

妃乃瑠ちゃんが倒れてるの見た時の実丸の顔…

大切なんだなって」

「そんな顔した覚えありません」

「まあ、見たの私だけだし?

誰にも言わないよ」

「妃乃瑠には絶対言わないでくださいよ」

「うん。

でもね、実丸も舎羅登さんも勘違いしてるよ?

過去が変わっても、

未来は妃乃瑠ちゃんが決めれるってこと」

「…どういう事ですか?」

「これからの『好き』は妃乃瑠ちゃんが決めれるって事

あんなに好きだったんだよ?

記憶がすり変わったくらいで実丸を意識しなくなるなんて無理だろうなって思う」

「莉心様って乙女なんすね」

「女の子だもん

私も解るよ、好きすぎて辛いって感情…

この先もう…

会えないんだろうなって思うけど…」


「…莉心様…

龍様が必死に探してます

中界へお(とが)めなしで返せる方法を」


「…うん…」



トントントン



『莉心姫様、実丸様…

莉心姫様にお会いしたいと老夫婦が訪ねられてます』


屋敷の使いがそう告げ

実丸と一緒に花屋敷家の門のところへ向かう


「あ!おじいちゃん!おばあちゃん!」


「莉心姫や」

「元気じゃったか?」


私を命にかけて助けてくれた

谷田川地区に住むおじいちゃんとおばあちゃんだった


「永原さん…お久しぶりです

藩登様がお2人にお会いしたいと言ってましたのでご案内します」


「行こう!

美味しいモノも作ってもらおう!」


はしゃぐ莉心様はおばあちゃんの手を引いて屋敷の中へ入っていく


「おい、実丸っと言ったか?」

「はい」

「お清めの儀式はしてないのか?」


「え?」

「莉心姫から出てる白い念は、

黄泉の死者やここ世界に蔓延(はびこ)る悪霊に影響を与えるぞ」

「お清めの儀式…」

「お前ら…ああそうか、釈愛以来長らく花屋敷は女に恵まれなかったんじゃったかな」

「永原さん…

何か知ってるんですか?」

「ワシの元の名は(えい)

「影!!って藩登様の父上、真羅登(まらと)様の代で右腕と言われた

どうしてそのような方が!?」

「真羅登様が亡くなってしばらくして歳も歳だったから隠居してたんじゃ

花屋敷とは離れて谷田川でな」

「あの、お清めの儀式の事も深く聞かせてください。今大変な事になってて」

「ああ、見なくとも解る

入ってからずっと嫌な空気を感じとるからな」


この人が現れたことにより

謎だった事が少しずつ明らかになっていく


そしてより、俺達がしてしまった過ち


莉心様への罪悪感が募っていく事になる



本当なら今も大好きな人の隣で

笑っていれたはずなのに…


それぞれの思惑の為に

当たり前の日々を奪ってしまった


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