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愛しき姫は異世界に  作者: janky
第6章
46/220

狙われた姫

「ねぇ龍様…

暗くなってきたけど本当にこっちの道で合ってるの?」


黙々と歩く龍様の背中に問いかける

少しづつ広がる不安にキョロキョロと周りを見回す


「龍様?」


スタッと足が止まり振り向いた龍様に

目を見開いた


「誰…?」


そこにはまったく別の顔をした知らない人が立っていた


第一級貴族(だいいっきゅうきぞく)、花屋敷 莉子様

お初にお目にかかります。

第二級貴族(だいにきゅうきぞく)東円慈(とうえんじ)家の護衛

時沙(ときさ)と申します」


頭を下げたその人は私に指先を向けた


パンッと小さな音がなり

私の手が術韻により後ろ手に結ばれる


「時沙さん?何のつもりですか?」

「我が主君(しゅくん)、東円慈 清麿(きよまろ)様の命により貴方を少し拘束させて頂きます」


笑いながらいうその人に怖くて

後ずさりする


ガサガサっと木の影から


「早くヤッてよ、時沙」


っと女の人の声に時沙さんの後ろの方に目をやった


(あず)様…出てきてはなりません」

「別にいいじゃん

今からそんな事も忘れるくらい嫌な思いするんだから」


不気味に笑うその人はゆっくり足を進めた


「誰ですか?!」


オレンジ色の髪の毛をお団子にして

強めの化粧を施し私を睨むその女の人は梓という名前らしい…




「気に入らないのよ、

第一級貴族だからって龍様の婚約者になるなんて…

私がずっとずっと奥方になるんだって頑張って来たのに…」


「きゃっ」


ドンッと突かれ道に倒れ込む

周りは薄暗くここがどこかも分からない


「龍様の事が好きなの?」

「そうよ。

だから貴方にはその座を退(しりぞ)いて貰おうと思って」


「……退く?」


そう言う梓さんを強く見つめる


「気に入らないの、本当に!

第一級貴族が何なの?

努力もしないで平気で龍様の隣に居てるのが腹立つ。時沙、早くやって!」


横に来た時沙さんにグッと髪を掴まれる


「すぐ良くなります」


ポケットから出した何かを私の方へ向けた

月明かりに先端がキラリと光る


「注射…?」

「痛くないようにしますよ」


笑うその人の腕が振り上がった


「莉心様!」


バッと私を掴む手を打ち

私と時沙さんの間に体を入れたのは


「大丈夫ですか?莉心様…」


「妃乃瑠…ちゃ…ん」


妃乃瑠ちゃんだった


「時沙、梓様…これがどれだけの罪か解りますか?」


「あれが護衛?時沙…」


梓様が心配そうに時沙の後ろに隠れる

二人に妃乃瑠がそう問えば

時沙さんが声を出して笑った


「1人か?妃乃瑠」

「だったら何?」

「実丸が居ないなら余裕だ」


そう言って蹴りを入れる時沙の足を妃乃瑠ちゃんが上手く交わす

私を後ろにし護りながら戦う妃乃瑠ちゃんは本当に凄かった



「妃乃瑠ちゃん!!」


バッと腕を隠れてた梓さんに引っ張られ

倒れ込む


「莉心様!」


気を取られた好きにパチンっと大きい乾いた音が響く


グッとお腹を蹴られ妃乃瑠ちゃんが後ろに軽く飛ぶ


「どうした妃乃瑠?

そういや体調悪いって言ってたな」


再び叩かれた頬

腕を掴み反撃しようとするが本調子がでず

もう1回頬を殴られ

私の横に倒れ込んだ妃乃瑠ちゃんを抱き起こす



「妃乃瑠ちゃん!!

ひどい…女の子にこんな事…」


「この世界に女も男もないですよ

俺も任務なんで…」



「莉心様…お逃げ下さい…」


妃乃瑠ちゃんの声に首を振る


「置いていけないよ」

「私は大丈夫です…早く」


しかし梓様が横に来て


「時沙、こうなったら2人ともに刺して」


そう冷たく言い放った


「了解しました」


「莉心…さま…小さく丸まって」


ゆっくり起き上がり私に覆いかぶさった妃乃瑠ちゃん


「おうおう、健気だな

じゃあ妃乃瑠お前からやってやるよ」


振りかざした注射器が月に反射して怪しく光る


「やめて、やめて!」


苦しそうに息をする妃乃瑠ちゃんには

動く気力がもう無かった


ガッと振り下ろされて

目をつぶった


「おまえ…」


妃乃瑠ちゃんに被さるように実丸君が居た


「時沙」


刺さった注射器を抜きながら実丸君の声に怒りが宿る


「…さ…ねまる…?」

「実丸君!」


「こんな物騒なもの、打とうとしたのか?」

「いや…これは」


さっきまで強気だった時沙は後ろにゆっくり足を進めていた


「前に言ったよな?」


実丸君の体から煙のような物が立ち上がる


「本気で俺を怒らせるなって」


バンっと実丸君から風が舞い上がり時沙が木にぶつかる


「グワッ」


ぶつかり落ちる時沙のお腹に実丸の蹴りが入る


カサカサっと逃げる音に

実丸の術韻が元凶を引きずり出した


「やめて!ごめんなさい」


泣きながら謝る梓様を目の前にしても実丸君の怒りは収まってないようだった


「お前にも刺してやるよ」


実丸君は注射器を拾い上げ

梓様に刺そうとした


「ストップ!」


注射器を持つ手を和兎さんが止めた


「おいおい、実丸理性はどうした?」


そう言いながら注射器を奪い取る


「和兎…?」


ハッとした実丸君は

私と妃乃瑠ちゃんの方へ目を向けた


ううん、妃乃瑠ちゃんしか視界に入ってないようだった


「大丈夫よ、気を失ってるだけみたいね」


駆けつけた阿兎さんが妃乃瑠ちゃんを術韻で調べそう言った


「実丸。

さすがに貴族に手を上げるのはヤバかったぞ」

「時沙はいいけどさ」


舎羅登さんと和兎に

言われてる途中に目の前が揺れ出す


「梓様も一応第二級貴族のお姫様だから…」


阿兎の声に

グッと片足を踏ん張り耐えるが

(たま)らず膝まづいた


「実丸!?」

和兎が抱き起こそうと触れる

「熱っ」

っと驚き舎羅登さんを見つめた


「おい、実丸どうした?」

「ハアハア…」

どんどん息が上がっていく


「早く、中和剤打って上げてください」


時沙が血の出る口を袖で拭き

泣きじゃくる梓様を抱えそう言った


「どういう事だ?」


舎羅登さんが険しい顔をして時沙を見つめた



「梓様こちらへ」

「先にお風呂に入って休んでてください」


東円慈の迎えが来て梓様だけ先に返した時沙は



「話します

先に実丸に治療を」



っと舎羅登さんのお薬処へ来てことの経緯を説明した


「闇ルートって…禁忌だぞ」


舎羅登さんの少し呆れた声に


「解ってます

梓様がよく行く散歩の先にたまたま居たそいつから買ったみたいなんですが」

「つまり話をまとめると、

梓様が闇ルートから興奮剤を買って、それを莉心様に使い清い体を汚し、零恩志との婚約を破談にしようとしたのね」

「そうです。しかし実行したのは俺なので梓様と東円慈には何もしないでください」


頭を下げる時沙に


「こっちも実丸が行き過ぎた

その事は黙っててくれ」


舎羅登さんがそう言って

実丸に術韻をかけ出す


「とにかく中和剤2回目打ったけど治まりそうにないから5号棟にある監牢獄(かんろうごく)に入れておこう」

「5号棟の監牢獄って…1番強固な所ですよ」

和兎がそう言うと

舎羅登さんは頷いた


「当たり前だろ。

興奮剤でボルテージ上がった実丸に暴れられてみろ。この世界は壊滅すんぞ

しかも止めれる奴がいないだろ

俺ら3人でも負けるよ」


阿兎と和兎は納得したのか深く頷いた


「でもしばらくしたらすぐ終わるんじゃないんすか?」

「和兎、中和剤が効かないなんて有り得ないんだよ?」

「分かってますけど」


苦しそうな実丸を見つめる


「これ、本当に興奮剤?」

「戦闘前とかに飲んでアドレナリン出すようなやつって事ですよね?」


和兎と阿兎が舎羅登さんに聞けば

何かを考えてハッと気づき

実丸の血を注射器で抜き出した


それをビーカーに垂らし

術韻をかけた式神を置く



「赤色だ…」


そう呟いた舎羅登さんは天を仰いだ


「興奮剤より質がわりぃ

しかも、闇ルートで手に入れたせいか効果も何倍にもなってそうだな」


「どういう事ですか?」


「時沙、お前達どこを散歩してた?」

「…谷田川の近くにある広場です」

「あそこは出入り禁止だろ?」

「そうですけど。

あの近くにある氷屋が好きで、内緒で行ってたんです」


「興奮剤どころじゃねぇよ…」


阿兎が解らない顔をしてるが

察した和兎と時沙は目を伏せた


「娯楽場に連れてきますか?」


和兎はそう言った


「さすがにそうしてやらないと可哀想だな」

「まさか、媚薬ですか?」


察した阿兎の言葉に頷いた舎羅登さんが

実丸の術韻を解こうとした


「いらない…っす

牢獄で…おねが…いします」


苦し紛れにそう言う実丸


「きついぞ今回は」


「大丈夫…っ…す…」


「実丸は言い出したら聞かないから無理だな」

和兎がそう言って実丸に肩をかす


「阿兎は莉心様のそばに居て上げて」

っと和兎に言われ頷いた


「実丸…大丈夫なのか?」


時沙がそう心配するが


「あれを莉心様に使おうとしてたなんて

最低ね」


阿兎にピシャリと切り捨てられる


「悪かった」

「護衛は言いなりじゃダメなのよ。

仕えた人が道を外さないように正すことも必要なの。

特に莉心様や梓様みたいな若い子達は、良し悪し解らず感情のまま動いてしまうから」


そう言えば時沙は頷いた


「そうだったな…

お前達に追いつきたくて聞くことが当たり前になってたよ…。

ちゃんと後日に謝罪に行くよ」


時沙はそう言って東円慈の屋敷へ帰っていった



「実丸…頑張れ」


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