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愛しき姫は異世界に  作者: janky
第6章
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第6章 それぞれの思い




「ねぇ舎羅登さん、

もう全部素直に言ったら良いのに…って

思わないですか?実丸も妃乃瑠ちゃんも…」

「阿兎。心配しなくても妃乃瑠はすぐ良くなる」


耐えきれず

舎羅登さんに色んなことを話してから現在まで実丸の秘密は誰も妃乃瑠に伝える事は無かった


「どうして実丸は妃乃瑠ちゃんをあんなに傷つけるの?」

「さあな。実丸じゃねぇから分かんないけど」

「妃乃瑠ちゃんも、早くやめてほかの人に目を向ければ良いのに…あんなやつのどこがいいんだろう…」


「妃乃瑠も実丸もずっと離れられない

離れることなんかできねぇんだよ

分かってるくせにこじれるんだよな」






______





~5年後、現在






「って感じかなって莉心様!」


莉心様は大粒の涙を流していた



「私…何も知らないから…妃乃瑠ちゃんに色々言っちゃってた

わざと二人きりにさせたり

実丸君に無理やり話振ったり…」


「気にすることないっすよ

2人がそんな関係なのが悪いんです」


和兎もそう慰めた


「そんな事ないよ…

実丸君ね、いつも苦しそうだった…

妃乃瑠ちゃんに冷たい態度の時も

きつい事言った後も…


妃乃瑠ちゃん以上に傷ついてたよ…」


「莉心様…」


「阿兎さん、和兎さん…

私2人のこと応援したい

実丸君にとって何が問題なのかは分からないけど…」



「俺達は五年前から応援してます

莉心様と一緒の気持ちです」


「うん

小雪ちゃんは成仏できたのかな?」


「そうだといいですね」


「だから、莉心様も気をつけてください

何かおかしいって思う人の声には耳を傾けないでくださいよ」


「絶式って怖いんだね」


「またその勉強もしましょうね」



妃乃瑠ちゃんと実丸君の過去は

一思いにどうにか出来るものじゃないけど


実丸君の気持ちはわかった気がする



「莉心様、そろそろ九楼(くろ)の授業です」


「はい」


和兎さんに連れられて次の授業へ足を向けた





___________




数時間後






「莉心?」


その部屋に龍様が顔を出した


「あっ…」

「龍様もうすぐ終わるので廊下でお待ちください」


「ッ…解った」


龍様にそう言ったのは私の指導担当をしてくれてる(ゆき)九楼(くろ)先生


阿兎さんや和兎さんと実丸の学年で

トップ5の1人だと舎羅登さんが言っていた


「あの反応の仕方心配してますね」

「え?」

「僕が男だから」

「龍様が?それはないです

九楼先生って男に見えないから」

「ちょっと傷つくな…

これでも式神は実丸より使えるんだよ」

「そうなんですか?

すごいです!」

「まあ、実丸の方が凄いんだけどね

式神は、5体扱えて、戦闘能力はずば抜けて1番だったし体力も3日は走り続けれるくらいあるだろうし」

「3日ってもう人間じゃないですよね…それって」

「アハハっほんとそれ

でもさあいつが唯一人間らしい時って知ってる?」

「うーん、あっ!」

「なになに?」

「妃乃瑠ちゃんの事見てる時?!」

「へぇー莉心様って色々見てるんだね

妃乃瑠の事になると人格変わるからあいつ

色々面白い話しあるからまたしようよ」

「はい、さっき阿兎さんと和兎さんに二人の過去の話聞いたんです」

「絶式憑依の話?」

「そうです」

「あれは大変だったよ」

笑う九楼先生に

「あの…龍様は…龍様も凄い人なんですか?」

「…そうだよ

零恩志家は竜や獣、妖を使って平和の均衡(きんこう)を守ってるんだ

その中でも竜は最も難しいとされてて

龍様は若干16歳にして竜族の中で1番と言われる双方のコハクとミコトと盃を交わし2人を召喚する事に成功したんだ」


「…そうなんだ」


「心配されなくても、それを悪の道に彼は使わないと思います

ただ…家系のため。規律。いろんなしがらみの中で生きているから莉心様みたいな癒しの場所が唯一心休まる場所なんだと思います」


「心休まるのかな?九楼先生も知ってるって聞きました。私の事…

本当に大切な人は私じゃなくて…」


「莉心様。

廊下の方、見てください」


九楼先生に言われて廊下を見つめる

障子に影が行ったり来たり


「あれはどう見ても僕が預かってる子は大切な子だって思うんだけどな」


「…ックス」


「可笑しいね」


「先生、私ね。本当は初め凄く怖かったの

ここに生きてる人たちにとって私は

代わりで大切な存在を生かすためのヒントみたいな…

龍様に大切なやつはお前じゃないって言われた時、色んな感情がこみ上げて

だって龍様は私がずっと好きな男の子にソックリで…

どうしょうもないくらい気持ちが溢れて

龍斗に会いたくて会いたくて…

このまま逃げてたら私、本当に龍斗に会えなくなるから…

だから頑張ろうって思いました」


「ごめんね

僕達の世界が君をこんな目に遭わしてしまって…

実丸達から聞いてるんだ

君を中界へお咎めなしで返す方法を探してるって…

僕も力を貸すから」


「ありがとうございます」


「じゃあ今日はここまでね」


「はい」



廊下に顔を出すと


「終わったか?」


っと優しく笑う龍様に笑顔で頷く


「お待たせしました」


「じゃあ行こう

今日は妃乃瑠の為にまた花を摘みに行きたいって言ってからいい所に連れてってやる」


「ありがとう

凄く楽しみ」


龍様が歩けば周りは頭を下げて

存在するオーラが住む世界が違う事を教えている



「どうした?」


振り向いた瞬間ドキッとする



『莉心、どうした?』


愛しい龍斗だと思ってしまう

本当は龍斗なんじゃないかな?っとか

都合よく考えて

触れてくれる温もりも変わらない


「莉心?」


「ううん」


駆け寄れば話し方も髪の色も違う龍様が居る



なのにずっとドキドキしてしまう


名前を呼ばれたり

手を繋がれたり

頭を撫でられたり



これは


この鼓動は


何に対して反応してるのかな…




「あっ実丸君だ」


妃乃瑠ちゃんの部屋の前でまた苦しそうな辛そうな実丸君が目に入る


「ほっとけよ」


実丸君は私みたい

私がよくしてる表情をしてる

大好きなのに叶わないって…



摘んだお花を廊下に置いて

疲れを悟ってくれた龍様が部屋に連れて帰ってくれた



部屋に帰って1人布団に寝転べば

知らないことを知っていくには頭を使う

それは想像以上に疲れてしまうんだと実感した


夢見心地な気持ちいい時間に

穏やかな風が吹き抜ける


『莉心』


ゆっくり目を開ければ


『龍斗?』


そこはよく知ってる学校のグラウンドだった



『お前な、

応援に来てて居眠りとかありえないぞ』


野球部のユニフォームは泥だらけになり

野球帽を被ったその額からは練習試合の白熱差を伝える汗が流れる


『私じゃなくても沢山の人が応援してくれてるじゃん』


龍斗はかっこよくて運動神経が良くて

誰もが1度は好きになるそんな男の子



『まあ、そうだけど』


女子のファン達がネット越しに龍斗を見つめる



『いいね。モテる人は』


そう言えば龍斗は私の頭をクシャクシャってして


『莉心の応援が1番効くよ』


って言ってくれた


『本当?』


『うん』


この心地いい距離はそれ以上縮まる事も離れる事も無くて



何時でも何処かで

どうにかなるって思ってしまってる自分が居た




より一層強い風に包まれ


瞳を開ける



「龍…斗…?」



起き上がれば日は沈みかけ夕刻を知らせる


「夢…」


温もりを覚えたまま目が覚めて

胸が熱くなる


夢でも触れた感触が体を駆け巡る



トントントン



「はい」


『莉心?俺。龍…』


「龍様?」


ドアを開けると龍様が笑っていた


「莉心、いいご飯屋さん連れてってあげる」


「本当?」


「もちろん。気に入ると思うよ」


「用意してくるね」



少し安心していた


私は生かされて守られているってこと

自覚していなかった





________________






「莉心様…」



私の部屋の前に置かれたクローバーと手紙には


『妃乃瑠ちゃん、早く良くなってね

こないだはごめんなさい

妃乃瑠ちゃんがずっとそばに居てくれたから

嬉しかったです


待ってるね 莉心』



優しい言葉に胸をギュッと握りしめる



「…莉心様…」



そしてその横には

この地区で1番人気のお団子屋さんのみたらし団子が置かれていた


私は落ち込むと必ずここの団子屋さんでみたらし団子を食べる


「…これ…」


それを知ってるのは


「実丸…」


実丸だけ。


名前を呼ぶだけで愛しくて

涙があふれる


「優しく…しないで…」


この気持ちを受け止めて欲しかった


誰でもいいから…



部屋を飛び出し

莉心様のところへ走った


もう1人で耐えることも

思うこともできなかった



優しく頭を撫でて

私を見て笑う実丸はもう居ない



どこで失くしたのか解らない

あの実丸との距離はもう埋まらない




「…ハアハア…」


辺りを夕闇が照らす


花屋敷家の大門を抜け

龍様と歩いていく莉心様を見つめた



「邪魔しちゃ悪いよね」


一呼吸を置いて

ゆっくり足を戻した


「もう部屋出ていいのか?」

「え!?」

「どうした?」

「どうして龍様がここに居るんですか?」

「今から莉心の部屋に行く途中だが」

「莉心様が危ない!」

「え?」

「龍様早く!」

そう言いながら走り出した妃乃瑠を追いかけようとした

しかし足の速さでは到底敵わない


「先に実丸達を呼びに行くか」


莉心は妃乃瑠に任せることにした



「阿兎、和兎!」


大きめの声でその名を呼べば

2人が駆けつける


「莉心が何者かに攫われたみたいだ

阿兎は実丸に、和兎は妃乃瑠ちゃんの後を俺と追いかけてくれ」



「わかりました」

「了解です。行きましょ」


二手に別れ走り出した


「実丸、実丸!」


実丸の部屋に入るが気配は無かった

よく行く練習場や仕事場の部屋にも居なかった



「おー阿兎どうした?」

「舎羅登さん!

実丸見ませんでした?」


そう聞けば首を横に振りながら


「知らねぇけど、焦って何かあったのか?」


そう問いかけられた


「莉心様が知らない人に連れてかれたみたいで、今妃乃瑠ちゃんが追いかけてます」

「妃乃瑠?あいつ体調戻ったのか?」

「いえ、病み上がりに近いですし、あの状態じゃ心配ですね」

「行くか、俺らも」

「でも実丸が」

「あいつが居たら余計こじれるだろ」




舎羅登さんに頷き2人であとを追った








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