過去~8
「阿兎、何だこれ?」
皆生達を避難させ
阿兎が汗だくになり1人講堂の前で舎羅登さんと俺を待っていた
「和兎……遅い…よ」
「悪かった、この人全然起きないから」
「悪い、色々案探してたら寝てた
んで今の状況は?」
そう言えばため息をつきながら阿兎は
「実丸が妃乃瑠を抱いてます」
「は?」
和兎は目を丸くして私と壁を何回も交互に見る
「あらら、そうなったか。
実丸の気が弱いな。
何個同時にしてる?」
「妃乃瑠ちゃんを縛った術韻が三つと壁の術韻です」
「結構ヤバイな」
舎羅登さんはそう言いながら
講堂の中へ入っていく
「阿兎、和兎お前ら帰っておく?
もしかしたら聞こえるぞ今から」
「俺は居ます」
「私も」
「聞いた俺が悪いな…
実丸!聞こえるか?」
『……』
「おい、皆生は避難して大丈夫だから
壁はやめろ!
このままじゃ力吸われるのがオチだ」
それからすぐ壁が消えていけば
汗だくの妃乃瑠を
体中傷だらけの実丸が抱えて壁に持たれ座っていた
「お前らどうした?そんな激しかったのか?」
笑う舎羅登さんに本気の睨みを返す
「嘘だって」
謝りながら実丸から妃乃瑠を預かれば
何となく想像はついた
「さすが、オール主席だな」
「からかわないで…ください…
部屋帰ります」
立ち上がる実丸の背中には
何度も爪を立てられた後があり
快感の時間を物語る
「実丸…」
「阿兎、助かった。
命は取られず済んだ」
実丸がそう言えば
「…抱いたのか?」
和兎は少し眉間にシワを寄せ
実丸にそう問いかけた
「和兎、デリカシーないってば」
「デリカシー?
妃乃瑠はキスさえ初めてなんだぞ?
いくら憑依されてたからって…」
「抱いてない、安心しろ」
そう短く告げて実丸は部屋に帰っていった
「和兎!」
「妃乃瑠の気持ちは知ってるけど、
だからってこんなんじゃ可哀想だろ!」
「そうだけど…」
ガチャっと、講堂のドアが開き舎羅登さんが妃乃瑠を抱いて出てきた
「ダメだ、まだ憑依されてるから
正午過ぎに手があくからそこで祓おう
って、なんだこの空気」
「和兎が実丸に変なこと言うから」
「だから、変なことじゃなくて
妃乃瑠はキスだってした事ねぇのに
いくら実丸が好きでもこんな事で奪われるなんて可哀想だと思ったんだ」
和兎の顔を見る舎羅登さんは少し笑いながら
「心配しなくても妃乃瑠を抱いてないよ、実丸は」
「けど、見たでしょ
爪の後」
「お前達はまだ受けてないけど、
実丸は忍耐の試験で異例の時間を出してるの知ってるだろ?」
「知ってるけど…」
「自分を傷つけてでも理性を守るんだよ」
「あの体中の傷はそういう事なんですか?」
実丸の太ももや腕は刀で切れたのか血だらけだった
「現に妃乃瑠は抱かれてないからね
よく淫魔の気に当てられながら耐え抜いたもんだよ
あの爪後がクッキリしてたのは淫魔特有の求愛行動だから心配しなくていいよ
その爪先から興奮しやすい気が相手に入るようになってるんだけどよく耐えたよ」
「やっぱり…実丸には敵わないね」
「ああ、明日会ったら謝っておく」
「一旦今日はおやすみ
お疲れな
妃乃瑠は俺が封印しておくから」
舎羅登さんに頭を下げた
「キスはしてたけどね」
「は?本気?」
「妃乃瑠ちゃんからね」
「ったく…そんな事知ったら妃乃瑠…倒れるぞ
見るだけでもあんなになるのに」
「アハハ。本当だね
でも今日少し分かったことがあるの
こないだ舎羅登さんが言ってたヒエラルキー」
「おう、何か言ってたな」
「実丸は獣系がついてると思う
目が少し赤くなってたし」
「獣?」
「しかも、妃乃瑠が他の皆生操ってね
操られた子達が妃乃瑠に跨ってたら実丸何て言ったと思う?」
「何?」
「『誰のに触ってんだよ』って怒ってたの」
「誰のに?へ?何?
あいつらもしかして…」
「多分、何かあるんだよ…
妃乃瑠ちゃんも知らない秘密」
2人で寮部屋に帰る中そんな話で盛り上がった
それぞれの明日の役目のため早めに就寝することにした




