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愛しき姫は異世界に  作者: janky
第5章
39/220

過去~7


時刻は22時を回った頃

講堂に顔を出すと

合宿気分なのか楽しむ皆生達に就寝を告げた

まだ妃乃瑠は目を覚まさないで居た



「戸締りちゃんとしろよ」

「はい」

「おやすみなさい」


「実丸さん、妃乃瑠大丈夫ですかね?」

「未来弥、心配なのは解るけど

もしもの為にみんな準備してるから

安心して寝ろよ」

「はい」

未来弥にそう言って

部屋を出ようとした時だった



『いい匂い』


襦袢と気を失った使用人を引きずりながら廊下に佇む妃乃瑠


「妃乃瑠?!」


『妃乃瑠って名前なの?

この子…』


そう言いながら笑う妃乃瑠には

小さな牙が生えていた



「お前ら全員後ろへ下がれ」


俺の声に布団から飛び起き奥へ逃げる皆生達


「実丸大丈夫?!」


反対の廊下から俺の声を聞きつけやって来た阿兎


「阿兎、舎羅登さん呼んできて

術韻破ったって」

「解った」


走り出した阿兎が悲鳴をあげる


「きゃ!」


足を伸びる念の(ひも)で引きずられ部屋の中へ飛ばされる


「阿兎さん!!」


未来弥が阿兎を受け止めたのを見て妃乃瑠に視線を戻した


『あの人…苦手だから呼ばないで

私のお願い聞いてくれなかったし…』


髪の毛を指にクルクル巻き付けながら俺を見上げる妃乃瑠…


「目的は?」


遠目で手を上げる和兎が目に入る

右手で 行け! っとジェスチャーする

姿を消した和兎にホッとした瞬間


凄い力で押し倒される


『ねぇ、名前教えてよ』


襦袢の胸元が乱れた妃乃瑠は気にせず

そう笑う


「早く妃乃瑠の中から出てけ」


襦袢の胸元をキュッと引っ張り正す

グッと突き飛ばし臨戦態勢(りんせんたいせい)に入る


『いいの?

私このまま、この子乗っ取っちゃえるんだよ?』


紫色の念が妃乃瑠を包む


「やめろ」


舎羅登さんが言ってた憑依型のめんどくさい理由は人質が見えない場所に居てるって事だ


今まさに俺らの見えない部分で妃乃瑠は戦ってるかもしれない


『名前…教えて』


再び近寄ってきた妃乃瑠は

俺の顔を両手で包む


「実丸…だ」


『さねまる…?』


グッと顔が近づく


『実丸が1番おいしそう』


「っ」


『ンッ』


突然口を唇で塞がれて離そうと頭を掴むが力が入らない


『…実丸

気持ちいい?』


「…クソ」


力を吸いとられてく意味を知った

体から力が抜けていく


ゾクッと足元に力を感じた

阿兎が念を送ってくれて力が戻ってくる


「あんた達、集中して私の右手に念を込めて」


皆生達の念を阿兎が体に取り入れる


「阿兎、無理すんなよ」


実丸の声に頷いた



『実丸』


再び唇が触れる瞬間

術韻を心で唱え妃乃瑠の両腕を縛り上げる


『ンンッ!降ろせ!』


壁に追い詰めて手を縛る術韻を壁と結び合わせる


後ろ手に張り付く妃乃瑠


「いい加減諦めろ」


俺を睨む妃乃瑠はいつもの健康的で可愛い笑顔とは違い


『…こんな沢山の力。

もっと体の中に欲しい』


妖艶(ようえん)な顔をする妃乃瑠


『…ッいい、若い力は美味しい』


ハッとして妃乃瑠に近づく

念を伸ばし数人の皆生から力を吸い取っていた


「やめろ!」


その念を切り離す


倒れる数人に目をやった



「大丈夫、実丸!こっちにも送るわ」


阿兎が念を入れるのを見て妃乃瑠に顔を戻した


『ねぇ実丸。いい事しよう?』


一瞬で縮まった距離に避けきれず

体が痺れる


「やめろ」


『なんなの?さっきから…

いい事してくれないならもういいよ』


無数の念がまた皆生を捉えた


だけど今度は

操られるように妃乃瑠に数人が寄っていく


『そこで見てて。』


妃乃瑠はそう言って操られた皆生に押し倒される


『いいよ、好きなことして』


そう言えばおもむろに妃乃瑠の襦袢を肌ける皆生



「実丸、舎羅登さんのくれた本に書いてたわ

淫魔とその行為をすれば命を落とすって」


『男なんて…みんなその程度よ…』


妃乃瑠に跨る皆生を見て

自分でも感じたことのない感情が湧き上がる


「離せ…」


『さあ、おいで』


妃乃瑠の声に

体の内側から何かが沸き上がる


「実丸…大丈夫?」


突然実丸を包む空気が変わる

実丸の近くに移動するけど反応はない


「実丸?」


「誰のに触ってんだよ…」


「さね…まる?今何て…」


実丸の体から無数の念が溢れ出す


「実丸!」

阿兎の声も

「実丸さん!」

皆生たちの声も

耳を通り抜けていく


「阿兎!その念全部寄越せ!」


「うん」


再び体に阿兎の念を感じた


「葉月家術韻、皇我(おうが)(かい)


【思い知らさせてやれ】


実丸の本気がこの講堂を包み込んだ


全員が立っていられず座り込む


妃乃瑠ちゃんに跨る皆生の念も外れ吹き飛ぶ

それを受け止めた実丸は私の横にその子達を降ろした


「大丈夫?」


私の声はもう届いてないくらい

妃乃瑠ちゃんを見つめる実丸


その目は獣のような赤い瞳になっていた



『邪魔をするな!』


襲いかかろうとする妃乃瑠ちゃんの両腕を再び術韻で封じてそれを後ろで組ます


そして妃乃瑠ちゃんの唇に噛み付いた


「ちょっと実丸!」


阿兎の静止を横目で流し

深く強く唇を塞ぐ


「ん///」


唇を離せば目をトロンとさせ

俺を誘う妃乃瑠…


「おい、小雪」


妃乃瑠の中に居座るそいつに声をかけグッと抱き寄せ耳に唇を寄せた


「俺の力を吸い取る前に

お前が誰のものか思い知らせてやる」


ガッとより深くキスをしながら

術韻をかける


ゴォォォォっと音が響き俺達の周りを固い壁が取り囲んだ


「実丸!だめよ!

2人っきりになったら」


阿兎の声を無視して

再び妃乃瑠の顔を引き寄せた


『実丸…』


「……」


『嬉しい』




はだけた襦袢の上から首元に噛みつく


「八雲聞こえるか…

そこで妃乃瑠を守れよ


お前達は俺が救ってやるから…」




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