過去~4
「ねぇねぇ妃乃瑠聞いて、
和兎さんにデート誘われたの」
食堂でご飯を食べる私の横に座ってドヤ顔でそう言って来たのは、治癒部専攻の
篠山 飛奈
私の数少ない心許せる友達
「はあ?和兎さん趣味悪ー」
そう悪態をついてお膳を
机に置き向かいに座るのが
歌鷹 未来弥
今術韻部を専攻してトップを争うくらいにセンスがいい
この2人は私が犬憑きで実丸さんの事件を知っている
黙々とご飯食べる私をよそに
「未来弥、
阿兎さんに振り向いてもらえないからって当たらないでくれる?」
「振り向いてもらえないんじゃねぇし、
ツンデレのツンなだけだし」
2人の言い合いに笑顔になる
「やめなよ、2人とも
そう言えば午後から実演演習だったよね?」
「ねぇ、妃乃瑠も何とか言ってよ」
「妃乃瑠みたいに健気に思っとけ」
「見てるだけでいいなんてドM。
私には無理」
「ちょっと、飛奈…
遠回しにバカにしてない?」
「してない、してない
本当にしてないよ!
でも触れたいとか近づきたいとか思わない?」
「それは思うよ…
でも叶わないからね」
「戦闘バカって呼ばれるくらいだもんな」
未来弥がそう言えば妃乃瑠は悲しそうに笑った
「自分の命なんかお構い無し。
だから支えたいの…
実丸さんがずっと生きていられるように、
何度だって助けたい」
「妃乃瑠…」
カーン コーン
「あ?
休み時間終わりじゃん」
未来弥が平伏してた机から飛び起きた
「門前に集合だったよね!
しかも外に演習でしょ?遅れちゃう」
飛奈も未来弥に続いて飛び起きた
「だから先から言ってるじゃん!急ごう」
妃乃瑠がそう言いながら食堂を飛び出していく
「どうせ爺教官だから走れば先に付けるって」
演習は担任の先生とはまた別に
67歳になるベテラン教官の下
私たちは日々、鍛錬をこなし
いつか活躍できるのを夢に頑張っている
食堂から急ぎ教室に戻り
門前に走った
そこにはもう列を作り並ぶ
クラスメイトが居た
ざわざわしてる理由に足を止めた
「嘘…」
私の足が止まる
「え?阿兎さんじゃん」
「和兎さんも居てる…」
未来弥と飛奈も足を止めた
「お前ら何してるんじゃ!早く来んか!」
教官の声に
「はい」
「はっ」
「は…い…」
2人が足を進めすれ違う人を見上げた
私は声が上ずり息を呑んだ
「お前遅刻とかすんのな」
「え、あ、すみません」
実丸さんに声をかけられ
足が動かなくなる
「あやまんなくていいから、早く座れよ」
「は、はい」
だけど足が動かずオロオロする
「おい」
「わ、わかってます。
だから近づかないで下さい」
顔を真っ赤にする妃乃瑠ちゃんに笑いがこみ上げるが付けたマスクのおかけで見つめる阿兎と和兎の野次を受けずにすんだ
俺たちのやり取りを見つめるみんなに教官が声をかける
「今日の実演演習は、いつもの先生達の他に
実丸、阿兎、和兎
3人が付き合ってくれる
滅多に見れないからな、
いっぱい盗めよいい所」
そう言いながら順番に外へ続く門をぬけていく
「ッというわけでよろしく」
「お願いします」
恥ずかしくて顔を下に向けた
「列から遅れるなよ」
コクっと頷く妃乃瑠ちゃん
意識されすぎてこっちが恥ずかしくなりそう
バーっと飛奈と未来弥の所へ走ってく妃乃瑠ちゃん
「ねー何あのカッコイイの
『お前も遅刻すんのな』だって」
飛奈はそう言いながら悶える
「もう、からかわないで」
「あの声がやばいよ、
何もうマスクつけてて分かんないけど
目がすごく優しかったよ」
興奮する飛奈を見て笑う
「なんで、お前がニヤニヤしてんだよ」
未来弥にもツッコまれ
「あんたもあれくらいカッコイイ男になりなさいよ!」
と逆ギレされていた
演習場は広くついて準備運動と集中力を上げ
演習が始まればみんなが3人を見つめる
相手をしてもらった子は興奮し目を輝かせてる
「でも凄いよね。あの3人」
私がそう言えば
次々組手の相手をする3人を見つめた
「阿兎さんなんか、汗かいてないよ?」
妃乃瑠はそう言いながら阿兎さんを見つめた
「足動いてないよ?
その場所から動かないで戦えるなんて凄いなぁ」
飛奈もそう言えば
「和兎さんも見ろよ!あのガタイ良すぎだろ」
未来弥はそう言いながら自分の体型と見比べる
「あーあいつは、一日腹筋1000回、背筋1000回やってるからな」
突然後ろから聞こえた声に3人が振り向けば
妃乃瑠の後ろにしゃがみこんだ実丸さんが居た
「「「!」」」
「妃乃瑠ちゃん、俺とやろうぜ」
「え?あのあの」
汗だくで忍服の上を脱ぎ腰に巻き付け、上半身裸の実丸さんの誘いに妃乃瑠は全身真っ赤になっている
「ほら」
手を握られ妃乃瑠は
「あっダメです」
っと立ち上がりすぐ倒れ込んだ
「へ?」
実丸さんのマヌケな声に
「妃乃瑠ー!」
飛奈が妃乃瑠を抱き起こす
目をくるくる回したような
腑抜けた顔に
「どんだけだよ!」
未来弥がツッコんだ
「大丈夫です、実丸さん
これ、寝てたらすぐ治ります」
未来弥がそう言えば
「そうか、
日陰に連れてこう」
と妃乃瑠を軽々お姫様のように抱き上げた
「あの人ドS?トドメ指したよ」
飛奈の問に
「見りゃ分かんだろ」
っと実丸さんと妃乃瑠を見つめて未来弥も言った
大きな大木の下に妃乃瑠を寝かせる
「ゆっくり休めよ」
頭を撫でて演習へ戻る
「…実丸さん///」
薄目を開けてみんなの元に戻っていく実丸さんを見つめた
大好きです
そう思えば胸がギュッとなった
まさかこの後大事件が起きるなんて
思いもしなかった




